Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:消化管2

(S423)

LS比を用いた食道静脈瘤進展度予測

Assessment of LSratio using CEUS by Sonazoid in patient with Esophageal varices

山平 正浩1, 田中 弘教1, 2, 吉田 昌弘1, 吉本 直喜1, 柴田 陽子1, 東浦 晶子1, 橋本 眞里子1, 赤尾 憲二3, 西口 修平2, 飯島 尋子1, 2

Masahiro YAMAHIRA1, Hironori TANAKA1, 2, Masahiro YOSHIDA1, Naoki YOSHIMOTO1, Youko SHIBATA1, Akiko HIGAHSIURA1, Mariko HASHIMOTO1, Kenji AKAO3, Syuhei NISHIGUCHI2, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科肝胆膵科, 3東芝メディカルシステムズ株式会社兵庫サービスセンター

1Department of Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, 2Division of Hepatobiliary and Pancreatic diseases Department of internal medicine, Hyogo College of Medicine, 3Hyogo service center, Toshiba Medical Systems Corporation

キーワード :

【目的】
これまで我々は,肝と脾の輝度の比(以下LS比)が肝線維化の進展度に相関することを報告してきた.脾輝度は門脈圧亢進症との関連が想定されるため,今回LS比と食道静脈瘤診断における有用性について検討した.
【対象】
対象は,2008年6月から2011年9月まで当院で造影超音波を施行したC型慢性肝疾患症例のうち上部内視鏡検査により食道静脈瘤の観察を行った235名(男性145名,女性90名,平均年齢68.2歳)とした.内訳は,F0:121例,F1:88例,F2:25例,F3:1例であった.
【方法】
ソナゾイド(推奨用量の1/2量)をbolus 静注し,20分以降の後血管相(以下Kupffer相)で肝と脾を撮像した.超音波診断装置は東芝アプリオXGを使用し,撮像モードはPS-Low,音圧はMI値で0.16-0.29を用いた.輝度解析は,Off lineで専用ソフトを用いてfocus付近に5か所のROIを設定し,解析した結果を平均し輝度値とした.また,食道静脈瘤の形態は門脈圧亢進症取り扱い規約に従い診断した.食道静脈瘤予測能の評価は,血小板数,SpleenIndex(S.I.),LS比によるROC曲線下面積(AUROC)により検討した.
【結果】
食道静脈瘤の進展度別の肝輝度,脾輝度は,それぞれF0で-25.4±4.4,-25.1±3.9,F1で-26.6±3.9,-23.1±4.3,F2で-28.6±4.5,-23.4±3.1と食道静脈瘤の進展とともに肝輝度は低く,脾輝度は逆に高くなる傾向があった.これらを組み合せたLS比は,F0:-0.3±4.3,F1:-3.5±4.4,F2:-5.2±4.7となり,食道静脈瘤の進展とともに低下した(p<0.001).また,食道静脈瘤診断能(F1以上)および治療適応静脈瘤診断能(F2以上)のAUROCで検討したところ,それぞれLS比:0.783,0.806,血小板数:0.835,0.762,S.I.:0.807,0.750であり,F1以上の診断能は血小板数が最も良好であったが,F2以上の診断能はLS比が良好であった.
【結語】
治療を検討する必要のあるF2よりも進展した食道静脈瘤の予測にLS比は有用である.