Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:膵2

(S418)

膵神経内分泌癌のエコー所見の検討

Study of ultrasonography findings in pancreas neuroendocrine carcinoma

高倉 玲奈, 有本 伸子, 蘆田 玲子, 井岡 達也, 吉岡 二三, 福田 順子, 仲尾 美穂, 上田 絵理, 田中 幸子

Rena TAKAKURA, Nobuko ARIMOTO, Reiko ASHIDA, Tatsuya IOKA, Fumi YOSHIOKA, Jyunko FUKUDA, Miho NAKAO, Eri UEDA, Sachiko TANAKA

大阪府立成人病センター検診部

Cancer Survey, Departments of Cancer Survey and Gastrointestinal Oncology Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Diseases

キーワード :

【はじめに】
膵神経内分泌腫瘍の多くは膨張性発育をきたす多血性腫瘍であり,エコーでは境界明瞭,辺縁整で内部均一な低エコー腫瘤像を呈することが多い.また,主膵管狭窄をきたす膵神経内分泌腫瘍に悪性度が高いとの報告が散見されている.今回,悪性度の高い膵神経内分泌癌のエコー所見について検討したので報告する.
【対象と方法】
対象は2003年7月から2011年8月までに当院で造影エコーを含む体外式US検査を施行した膵腫瘤のうち,外科的手術が施行され,病理組織診断にて膵神経内分泌癌と診断された6症例.男性2例,女性4例,平均53.2才(38-75).USでの腫瘍径平均40.7mm(18.5-75.7).部位は頭部2例,体部2例,体尾部1例,尾部1例.使用装置はEUB-6500/8500(日立メディコ)またはLOGIQ7(GE),造影剤はLevovist 8ml(300mg/ml)またはSonazoid 0.015ml/Kgを使用.撮影条件はLevovist:高音圧間欠送信 multi-step trigger方式(MI 1.2〜1.4)Sonazoid:低音圧連続送信(MI EUB 0.26〜0.30 LOGIQ 0.19 〜0.30)膵病変の観察を造影剤静注後の約2分間行い,全肝のpost vascular phaseの観察を5分後(Levovist)or 15分後(Sonazoid)に行った.造影前のエコー像,造影エコーでの周囲膵と比較した血流の多寡,腫瘍実質染影の均一性について検討した.
【結果】
造影前B-mode像は6例全例低エコーを呈し,全例境界はやや不明瞭〜不明瞭であった.2例に内部無エコー域が見られ,この2例についてはカラードプラでの血流像を認めた.尾部の1例を除き5例で尾側主膵管の拡張を認めた.造影USで周囲膵と比べたvascularityは,hypovascular 5例,hypervascular 1例.膵腫瘍実質の染影は,hypovascular/hypervascular各症例のうち1例ずつ均一であり,他4症例は不均一であった.なお,post vascular phaseで肝に欠損像を認め,多発肝転移と診断した症例が1例あった.
【まとめ】
膵神経内分泌腫瘍における乏血性の造影パターンは,悪性度の高い膵神経内分泌腫瘍を示唆する所見と考えられ,造影USの有用性は高いと考えられた.しかし,造影USのみで乏血性腫瘍が大半を占める浸潤性膵管癌との鑑別は困難であり,今後症例の蓄積による更なる検討が必要と考える.