Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
消化器:膵1

(S410)

EPSガイド下に腫瘍核出術を施行し得た膵頭部Solid-pseudopapillary neoplasmの1例

A case of Solid-pseudopapillary neoplasm in the head of the pancreas enucleated successfully using preoperative EPS (endoscopic pancreatic stenting)

浅利 貞毅, 松本 逸平, 新関 亮, 外山 博近, 後藤 直大, 木戸 正浩, 楠 信也, 味木 徹夫, 福本 巧, 具 英成

Sadaki ASARI, Ippei MATSUMOTO, Makoto SHINZEKI, Hirochika TOYAMA, Tadahiro GOTO, Masahiro KIDO, Nobuya KUSUNOKI, Tetsuo AJIKI, Takumi FUKUMOTO, Yonson KU

神戸大学肝胆膵外科

Hepato-Biliary-Pancreatic Surgery, Kobe University

キーワード :

EUS-FNAによる確定診断後,EPSガイド下に術中USで主膵管をモニタリングすることにより安全に腫瘍核出術を施行し得た膵頭部SPNの1例を経験したので報告する.症例は36歳男性.主訴なし.2005年検診にて膵頭部腫瘍を指摘されたが経過観察していた.2008年12月,前医EUS-FNAでSPNと診断され根治手術を勧められたが放置していた.その後,外科治療を希望し当院紹介受診となった.MDCTで,膵頭部主膵管に近接した,32mm大の被膜に石灰化を伴う境界明瞭な腫瘤を認めた.内部は不均一で,嚢胞や出血を疑う成分と動静脈相とも淡く造影効果を受ける充実成分が混在していた.MRIで,内部は不均一な充実性腫瘤として描出され,一部に嚢胞成分が混在していた.MRCPで,主膵管は軽度圧排されていたが,拡張や狭窄を認めなかった.EUSで,膵頭部に腫瘤辺縁にAcoustic shadowを伴う34mm大の腫瘤を認め,主膵管と接していた.最終的にEUS-FNAでSPNと診断された.術前EPSを留置し主膵管のガイドとすることにより,術中USで主膵管の位置を確認しながら腫瘍核出術を施行した.腫瘍と主膵管が最も近接した部位で1.2mmであった.術後経過は良好で9日目に退院となった.SPNは膵腫瘍の0.1-2.7%を占めるまれな腫瘍で,低悪性度の腫瘍のため近年では縮小手術を選択する傾向にある.膵臓の部分切除や腫瘍核出術は機能温存を目的としているが,しばしば膵管損傷による膵液漏を合併し,難治化重症化に至ることがあり,必ずしも低リスク手術とはいえないのが現状である.EPSを主膵管のガイドとすることにより,術中USで主膵管との距離を正確に測定することが可能である.また,損傷時にはドレナージによるサルベージが期待される.これらの手技により,腫瘍が膵頭部主膵管に近接した症例に対しても積極的な縮小手術の選択が可能になるものと考えられた.