和久井 紀貴¹, 高山 竜司¹, 一森 美生江¹, 松清 靖¹, 金川 武徳¹, 神山 直久³, 丸山 憲一², 住野 泰清¹

Noritaka WAKUI¹, Ryuji TAKAYAMA¹, Mioe ICHIMORI¹, Yasushi MATSUKIYO¹, Takenori KANEKAWA¹, Naohisa KAMIYAMA³, Kenichi MARUYAMA², Yasukiyo SUMINO¹

¹東邦大学医療センター大森病院消化器内科, ²東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部, ³東芝メディカルシステムズ超音波開発部

¹Division of Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center, ²Division of Clinical Functional, Toho University Omori Medical Center, ³The Ultrasound Systems, Development Department, Toshiba Medical Systems Corporation

キーワード :

アルコールの大量かつ慢性的な摂取は肝硬変や肝細胞癌,食道静脈瘤の発生原因となる．その治療は禁酒が一番重要であるが,飲酒状況の把握には現存の検査法では個人差が大きく,結局,禁酒できたか否かは自己申告に頼らざるを得ない．今回,肝実質病変の進展度評価に有用と目されているSonazoid造影USを用いたArrival-time Parametric Imaging （At-PI）が飲酒状況の把握に有用であった大酒家の2症例を経験したため報告する．使用装置は東芝AplioXGと3.75MHコンベックスプローブを使用した．装置の条件は,MI値0.22-0.29,frame rateは15-18 fpsと設定し,右肋間から肝臓・腎臓を同一画面に描出した．Focusは腎臓の深さにあわせ6〜8cmに調節した．その後,推奨量のSonazoid を肘静脈より注入．注入直後から約40秒間をraw dataとして装置のハードディスク内に保存した．US終了後,装置付属の超音波画像解析ソフトを用い,肝実質染影所見に対しAt-PIを作成し染影動態の解析を行った．その方法は,まず腎臓の実質にROIを描き,保存した動画をスタートさせる．その後,腎臓に置いたROI内が80％染影された時点で自動的にAt-PI の作成が開始される．作成開始時間を0秒とし,肝実質像の各ピクセルに造影剤が到達するまでの時間を適宜色分けし,カラーマッピング画像を得る．今回,色分けする時間とその配色は0〜1秒を赤色,1〜2秒を橙色,2〜3秒を黄色,3〜4秒を黄緑色,4〜5秒を緑色,5〜6秒を水色,6秒以降を青色に設定した．なお本研究は院内倫理委員会の承認と患者の同意を得て行った．At-PIは自己申告に頼らず客観的に飲酒状況のおおよその把握が可能であった．今後,飲酒マーカーの一つとして有力な手段になる可能性が示唆された．