Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
血管:血流評価

(S399)

慢性腎臓病の病気分類からみた超音波ドプラ検査による大動脈・腎内血流評価について

Ultrasound Doppler measurement of Aortic blood flow and intrarenal vascular resistance in chronic kidney disease.

阿部 倫明1, 小泉 賢治1, 山本 多恵1, 井上 隆輔2, 清元 秀泰1, 宮崎 真理子1, 森 建文1, 佐藤 博1, 伊藤 貞嘉1

Michiaki ABE1, Kenji KOIZUMI1, Tae YAMAMOTO1, Ryusuke INOUE2, Hideyasu KIYOMOTO1, Mariko MIYAZAKI1, Takefumi MORI1, Hiroshi SATOH1, Sadayoshi ITO1

1東北大学病院腎高血圧内分泌科, 2東北大学病院医療情報センター

1Nephrology, Endocrinology and Vascular Medicine, Tohoku University Hospital, 2Medical Informatics Center, Tohoku University Hospital

キーワード :

【目的】
腎動脈超音波ドプラ検査による腎内血流評価(Resistive Index, RI)は,腎臓予後の予測因子として有用であると報告されている.最近,慢性腎臓病の病気分類とRIとの関係について調査した研究報告が散見される.しかしながら,腎血流の基になる大動脈流速を加味した検証はあまりされていない.今回,我々は超音波ドプラ検査による大動脈血流と腎内血流評価が,慢性腎臓病の病気分類とどのような関係に有るかを検討した.
【方法】
横断研究.対象は,2007年1年間に,東北大学病院腎高血圧内分泌科を受診し,腎動脈超音波ドプラ検査を施行された慢性腎臓病・高血圧・糖尿病の男性患者184名.腎血管性高血圧患者は除外した.腎動脈超音波ドプラ検査日前後に検査した血清クレアチニン値を使用し,MDRD簡易式をもちいてeGFR(mL/min/1.73m2)を評価した.区域または葉間動脈の腎内血流の評価項目(収縮期最高速度,拡張末期速度,RI)・腎サイズについて,慢性腎臓病の病気分類別に評価した.
【結果】
大動脈血流速度は,若年者(40歳未満)・Stage 1ではより速かった.腎内の区域または葉間動脈とも収縮期最高速度,拡張末期速度はeGFRと有意な相関を認めなかった.腎内RIは,年齢との間に40歳以上でより強い相関が認められた.また腎内血流抵抗(RI)は,CKD Stage1-3a, Stage 3b, Stage4-5の順に増加した.
【考察】
腎動脈超音波ドプラ検査による腎内RIは,慢性腎臓病の病期を反映する可能性が考えられた.ただし,若年者では大動脈血流速度が比較的速い事を考慮する必要がある.