Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
循環器:弁膜症

(S391)

3D経食道心エコーによる三尖弁逆流における三尖弁拡大の評価と新しい指標

New Assessment of Tricuspid Annular Dilatation in Patients with Tricuspid Regurgitation by Three-Dimensional Transesophageal Echocardiography

池永 寛樹, 河越 卓司, 井上 一郎, 石原 正治, 嶋谷 祐二, 三浦 史晴

Hiroki IKENAGA, Takuji KAWAGOE, Ichiro INOUE, Masaharu ISHIHARA, Yuji SHIMATANI, Fumiharu MIURA

広島市立広島市民病院循環器内科

Department of Cardiology, Hiroshima City Hospital

キーワード :

【背景】
三尖弁形成術 (TAP)は三尖弁逆流症 (TR)に対する治療法として一般的に行われているが,術後TRが残存する症例も多く,TRが残存する症例の予後は不良であることが知られている.三尖弁輪拡大 (tricuspid annular dilatation: TAD)がTRの原因の一つに考えられるが,2D心エコーでは術前の三尖弁の評価が困難である.しかしながら近年3D経食道心エコー (3D TEE)の発達により,より詳細に三尖弁の評価が可能となってきた.今回我々の研究の目的は,TRと3D TEEによって評価されたTADとの関係を検討することである.
【方法】
3D TEEを施行し,三尖弁を明瞭に評価出来た81症例を対象とした.TRの程度により,3つのグループに別け,比較検討を行なった [group: TR0 (n=53), group: TR1-2 (n=20), group: TR3-4 (n=8)].3D TEEにより得られた画像をQLAB softwareを用いて,Tricuspid annular area (TAA),3 intercommissural distances (ICD) (anterior, posterior, and septal ICD),3 intercommissural height (anterior, posterior, and septal ICH)を測定した (figure 1).
【結果】
(1) group: TR3-4のTAAは group: TR0,group: TR1-2に比べ有意に高値であった (18.8±4.62mm2 vs 11.3±3.0mm2, 11.8±3.47mm2 p<0.001, figure 2).
(2) それぞれのICDはTAAと有意な相関を示したが (anterior ICD; r2=0.71, posterior ICD; r2=0.56, septal ICD; r2=0.61, p<0.001, respectively),特にanterior ICDがTAAと最も良い相関を示した (figure 3).
(3) group: TR3-4のSeptal ICHは group: TR0,group: TR1-2に比べ有意に高値であったが (3.16±0.38mm vs 2.38±0.49mm, 2.48±0.62mm p<0.001, figure 4),それぞれのICH/ICD比には有意差は無かった.
【結語】
TADはTR gradeと有意な相関を示し,TADを評価するのに最も良い指標はanterior ICDであった.三尖弁輪は右室free wall方向と,またsever TRでは右室拡大を反映しseptal方向にも拡大することが示唆された.