石川 かおり¹, 野口 早苗¹, 多田 亜由¹, 中石 浩己¹, 宮内 友香², 岡本 尚子², 野間 貴久², 大森 浩二², 河野 雅和², 村尾 孝児¹

Kaori ISHIKAWA¹, Sanae NOGUCHI¹, Ayu TADA¹, Hiromi NAKAISHI¹, Yuka MIYAUCHI², Naoko OKAMOTO², Takahisa NOMA², Koji OHMORI², Masakazu KOHNO², Koji MURAO¹

¹香川大学医学部附属病院検査部, ²香川大学医学部附属病院循環器・腎臓・脳卒中内科

¹Clinical Laboratory Medicine, Kagawa University, ²Cardio-renal, cerebrovascular medicine, Kagawa University

キーワード :

肺高血圧患者の予後指標としては肺血管抵抗および平均肺動脈圧の低下が最も有用であり治療の目標でもある．肺血管抵抗の低下を心エコー検査で推測する方法はいくつか報告され,右室の機能評価および肺高血圧患者の予後指標となりうるか議論されている．しかし,実際の患者において右室機能低下は長期に進行した状態で起こる状態であり,早期の指標とはなりにくい．我々は組織ドプラ法を用いて,肺動脈性肺高血圧を含む肺高血圧症例を検討したので報告する．
【対象】
当院に通院および入院中の肺高血圧症例50例
【方法】
超音波装置はGE社製Vivid7およびVividE9を使用．診療内に施行された心エコーの際に通常計測にあわせて,右心系の組織ドプラ法およびスペックルトラッキング法を施行した．さらに我々は,右室流出路を描出し肺動脈弁輪のSeptal側,心尖部四腔像を描出し 三尖弁輪のlateral側にsample volumeを置き組織ドプラ法にてPulmonary annular velocity （Pulmonary E’:pE’）, Tricuspid annular velocity（tricuspid E’:tE’）を測定．右心カテーテルのPVRと心エコーで得られた各種右心機能の心エコー指標とpE’およびtE’の関連性を評価した．
【結果】
Peak early diastolic pulmonary annular velocity（pE’）はPVRやmPAPと強い負の相関を示した．RVτとの関連性は認めず,後負荷の指標となりうる可能性がある．Peak early diastolic tricuspid annular velocity（tE’）はRVτ・RAPと負の相関を示し,前負荷,右室拡張能に影響を受ける指標と思われた．Peak early diastolic pulmonary annular velocity（pE’）は,右室後負荷の指標となりえ,肺血管抵抗の評価に有用であると思われる．