福岡 嘉弘, 網屋 俊, 青崎 眞一郎

Yoshihiro FUKUOKA, Syun AMIYA, Shinichirou AOSAKI

済生会川内病院循環器内科

division of cardiology, saiseikaisendai

キーワード :

【目的】
心房細動の血栓塞栓リスクとして左心耳血流低下,CHADS2,CHA2DS2-VAScスコアがあるが,本研究ではそれらの関係を検討する事．
【対象と方法】
経食道心エコーを施行した心房細動,心房粗細動患者連続46名．経食道心エコーで左房血栓の有無,左心耳最大血流（Vmax）を計測した．CHADS2,CHA2DS2-VAScスコアを計算し,CHADS2,CHA2DS2-VAScスコア2点以上,左心耳血流低下（Vmax＜20cm/s）を血栓塞栓高リスク,それ以外を低リスクとして,それぞれ2群間で比較検討した．また血栓の有無で比較検討した．
【結果と考察】
CHADS2スコア2点以上が34名（73.9％）,CHA2DS2-VAScスコア2点以上が41名（89.1％）であった．左心耳内に血栓を6名（12.8％）認め,すべてCHADS2スコア2点以上,CHA2DS2-VAScスコア2点以上の高リスクであった．血栓（+）群は血栓（-）群に比しVmax 低値（Vmax30.5±13.1 vs. 42.8±21.4 cm/s,np）であった．Vmax＜20cm/s はCHADS2スコア1点以下に2 /12名（16.7％）存在したが,CHA2DS2-VAScスコア1点以下 （5名）には存在しなかった．VmaxとCHADS2スコア,VmaxとCHA2DS2-VAScスコアとの相関はそれぞれr=-0.30,-0.36（p＜0.05）であった．
【結論】
左房血栓を有した例はすべてCHADS2スコア1点以下で除外できた．左心耳血流低下はCHADS2スコア1点以下でも存在し,CHA2DS2-VAScスコア1点以下で除外できた．