Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
循環器:症例1

(S372)

Ebstein奇形,大動脈二尖弁,大動脈弁狭窄に合併した重複僧帽弁口の1例

Double orifice mitral valve with Ebstein anomaly and aortic valve stenosis

面家 健太郎1, 金子 淳1, 寺澤 厚志1, 後藤 浩子1, 桑原 直樹1, 岩垣 重紀2, 宮崎 真実3, 大西 紀之3, 佐藤 則昭3, 桑原 尚志1

Kentaro OMOYA1, Atsushi KANEKO1, Atsushi TERAZAWA1, Hiroko GOTO1, Naoki KUWABARA1, Shigenori IWAGAKI2, Mami MIYAZAKI3, Noriyuki ONISHI3, Noriaki SATO3, Takashi KUWAHARA1

1岐阜県総合医療センター 小児医療センター小児循環器内科, 2長良医療センター産科, 3岐阜県総合医療センター臨床検査科

1Department of Pediatric Cardiology, Children’s Medical Center, Gifu Prefectural General Medical Center, 2Department of Fetal and Maternal Medicine, Nagara Medical Center, 3Clinical laboratory, GIfu Prefectural General Medical Center

キーワード :

【はじめに】
重複僧帽弁口(double orifice mitral valve)はまれな先天性心疾患である.今回Ebstein奇形,大動脈弁狭窄と合併した重複僧帽弁口の症例を経験したので報告する.
【症例】
胎児心エコーにてEbstein奇形,大動脈弁狭窄が疑われ,在胎37週5日,3132gで出生,当科入院となった.心音:整,Levine II/VIの収縮期雑音を聴取した.胸部レントゲンにて心胸郭比58%.心電図は洞調律,QRS軸+135°であった.心エコー図は左室拡張末期径18.2mm(正常比100%),三尖弁はplasteringを認め,三尖弁逆流は中等度.大動脈弁は二尖弁で上行大動脈血流は2.6m/sと加速していた.僧帽弁は重複僧帽弁口を有していた(図:肋骨弓下左室短軸僧帽弁レベル).僧帽弁逆流は軽度,僧帽弁流入波形はE=71cm/s, A=88cm/s, E/A=0.80, DcT=139msec.二つの弁口はほぼ同等のサイズであった.以後,臨床症状に加え,胸部レントゲンや心エコー図を中心に経過観察しているが,生後6ヶ月現在,利尿剤および水分管理で良好な経過を認めている.
【考察】
重複僧帽弁口はまれな心奇形であり,単独または他の先天性心疾患と合併することが知られている.合併心疾患としては房室中隔欠損が多いが,左室流出路病変と合併することもある.本症例は大動脈二尖弁・大動脈弁狭窄とともにEbstein奇形と合併したまれな症例であった.重複僧帽弁口は発生機序等明らかにされていない部分が大きく,合併奇形を含めた今後の症例の蓄積が必要である.