Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
循環器:携帯エコーなど

(S362)

携帯型超音波診断装置(Vscan®)による弁逆流の重症度評価

Estimation of severity of the valvular regurgitations by the portable ultrasound (Vscan®) in heart disease

数野 直美1, 松村 誠2, 三村 優子1, 山本 哲也1, 三原 千博1, 岡原 千鶴1

Naomi KAZUNO1, Makoto MATUMURA2, Yuuko MIMURA1, Tetsuya YAMAMOTO1, Chihiro MIHARA1, Chiduru OKAHARA1

1埼玉医科大学国際医療センター中央検査部, 2埼玉医科大学国際医療センター心臓内科

1Clinical Laboratory, Saitama Medical University International Medical Center, Saitama, Japan, 2Cardiology Department, Saitama Medical University International Medical Center, Saitama, Japan

キーワード :

【目的】
携帯型超音波診断装置(携帯型装置) のVscan®を用いた弁逆流の重症度評価の妥当性について検討した.
【方法】
対象は弁逆流を有する54例(年齢66±16歳,大動脈弁閉鎖不全症;AR25例,僧房弁閉鎖不全症;MR41例).汎用高性能超音波診断装置(標準装置)を用いたルーチン検査後,携帯型装置により同一断面,同一アプローチで弁逆流画像を記録した.各装置における逆流ジェットの最大到達距離,最大面積を計測,重症度(ARジェット幅/左室流出路径比,MRジェット/左房面積比に基づく)を算出して比較した.
【結果】
1.ARジェット:到達距離(5.1±2.2mm vs 4.9±1.8mm)や最大面積(5.7±4.6cm2 vs 6.0±3.9cm2)には両装置間で有意差を認めなかった.しかし,ジェット幅(9.1±4.3mm vs 10.5±3.8mm,p<0.01)及びジェット幅/左室流出路径比(41±17% vs 48±16%,p<0.01)では携帯型が有意に大きかった.また,傍胸骨アプローチでのジェット面積(4.0±2.4cm2 vs 4.7±2.9cm2,p<0.01)は携帯型装置で有意に大きかった.2.AR重症度:逆流ジェットの大きさからスコア化(軽度:1,中等度:2,高度:3)して比較したが両装置間で有意差はなかった(1.9±0.5 vs 2.1±0.4).しかし,携帯型装置では25例中6例で重症度を過大評価した.3.MRジェット:到達距離(5.4±2.9mm vs 5.4±2.4mm)や最大面積(9.5±8.9cm2 vs 9.9±7.7cm2),ジェット面積/左房面積比(34±23% vs 35±21%)には両装置間で有意差を認めなかった.傍胸骨アプローチにおける左房面積(28±11cm2 vs 25±9cm2,p<0.01)は携帯型装置で有意に小さかった.4.MR重症度:逆流ジェットの大きさからスコア化した重症度を比較したが両装置間で有意差はなかった(2.1±0.8 vs 2.1±0.8).しかし,携帯型装置では41例中7例で重症度を過大評価し,5例で過小評価した.
【結語】
携帯型心エコーによる弁逆流の検出率は高く,標準装置と同様,重症度評価に有用である.しかし,実際の応用に際しては,携帯型装置では標準装置より画角は狭く,解像度が低いために弁逆流の重症度が過大に評価される可能性があることを正しく理解した上で使用するべきである.