Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
基礎:組織性状

(S357)

“Twinkling Sign”を応用した微細石灰化検出法のシミュレーションによる検討

A Simulation Study for Microcalcification Detection Based on “Twinkling Sign”

田邉 将之1, 劉 磊2, 田川 憲男3, 西本 昌彦1, 小笠原 正文4

Masayuki TANABE1, Lei LIU2, Norio TAGAWA3, Masahiko NISHIMOTO1, Masafumi OGASAWARA4

1熊本大学大学院自然科学研究科, 2GE ヘルスケア・ジャパン超音波技術部, 3首都大学東京大学院システムデザイン研究科, 4GE ヘルスケア・ジャパン超音波研究開発部

1Graduate School of Science and Technology, Kumamoto University, 2Ultrasound Engineering, GE Healthcare Japan Corporation, 3Graduate School of System Design, Tokyo Metropolitan University, 4Ultrasound Research and Development, GE Healthcare Japan Corporation

キーワード :

【はじめに】
現状の超音波機器で検出可能な乳がんステージよりも早期の乳がんの検出を可能とするべく,がん組織と深い関係のある微細石灰化の新しい検出方法の検討を行なっている.1990年代序盤から臨床現場において,膵石や腎石などの比較的大きい結石や石灰化組織が,超音波のカラードプラやパワードプラモードなどの血流計測法に対して特異的なエンハンスを示すことが報告されている.この現象はTwinkling Signと呼ばれ,臨床への応用の可能性が指摘されてきた.近年,Coded Excitationを用いた超音波血流計測手法の一つであるB-Flow(GE社製超音波診断機器に搭載)を用いて微細石灰化によるTwinkling Signが確認され[1],その後,微細石灰化を模擬した直径200μmのガラス粒子を用いたin vitro実験においてもTwinkling Signを示すことが確認された[2].しかしTwinkling Signの発生メカニズムは現在においても十分には解明されていない.今回,Twinkling Sign発生メカニズムを検証するために,微細石灰化を配置したモデルを構築し,音波伝搬シミュレーションを行ったので報告する.
【方法】
時間領域有限要素法ソフトウェアPZFlex(Weidlinger Associates, Inc.)を用いて,水中にコンポジット型振動子と微細石灰化を模擬したガラス球単体を配置したモデルを作成し,伝搬過程の水中音圧,ガラス球内部の音圧・変位・粒子速度,そして振動子で取得したガラス球からのエコー信号を求めた.照射信号はB-Flow用信号(中心周波数4.3MHz)を利用し,ガラス球の直径を100μmから1mmで変化させ,これらの比較を行った.
【結果・考察】
シミュレーションの結果,ガラス球の直径が大きくなるほどエコー信号の強度も高くなった.一方で球の直径が大きくなるほどガラス球中心の振動変位の最大値は小さくなるが,直径が300μm以上ではガラス球が照射信号長より長く振動するようになり,この振動は直径が大きくなるほど長くなった.今後の研究では,複数のガラス球を配置し,これに伴う相互作用を観察・解析する予定である.
【謝辞】
本研究は,独立行政法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP; Adaptable and Seamless Technology Transfer Program through target-driven R&D) フィージビリティスタディ(FS)ステージ 探索タイプ(Exploratory Research) における成果である.
【参考文献】
[1]Luca Brunese et al., Journal of Ultrasound in Medicine, 2008, Volume 27, pp. 1187-1194.
[2]Lei Liu et al., Japanese Journal of Medical Ultrasonics, 2011, Volume 38, Supplement, p. 324.