入江 喬介¹, 長谷川 智仁¹, 佐藤 正和¹, 田川 憲男², 守屋 正³, 吉澤 昌純⁴, 伊東 紘一⁵, 横山 卓⁶, 熊谷 秀規⁷, 谷口 信行⁸

Takasuke IRIE¹, Tomohito HASEGAWA¹, Masakazu SATO¹, Norio TAGAWA², Tadashi MORIYA³, Masasumi YOSHIZAWA⁴, Kouichi ITOH⁵, Taku YOKOYAMA⁶, Hideki KUMAGAI⁷, Nobuyuki TANIGUCHI⁸

¹マイクロソニック株式会社技術開発部, ²首都大学東京大学院システムデザイン研究科, ³首都大学東京（名誉教授）, ⁴東京都立産業技術高等専門学校ものづくり工学科, ⁵常陸大宮済生会病院内科, ⁶常陸大宮済生会病院外科, ⁷常陸大宮済生会病院小児科, ⁸自治医科大学臨床検査医学

¹Reserch and Development, Microsonic Co., Ltd., ²Graduate School of System Design, Tokyo Metropolitan University, ³（Emeritus）, Tokyo Metropolitan University, ⁴Monozukuri Department, Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology, ⁵Department of Internal Medicine, Hitachi-Omiya Saiseikai Hospital, ⁶Department of Surgery, Hitachi-Omiya Saiseikai Hospital, ⁷Department of Pediatrics, Hitachi-Omiya Saiseikai Hospital, ⁸Department of Clinical Laboratory, Jichi Medical University

キーワード :

【はじめに】
我々は,穿刺型超音波顕微鏡1）等への応用のため,100MHz以上の超高周波超音波が石英ファイバーを経由して超音波媒体中に入射し,反射及び透過することを確認した2） - 4）．また,テーパー状の石英ファイバーを用いて水中に置いた硬貨の高周波Cモード像を得ることができた 5）, 6）．今回は,棒状の石英ファイバーを用いて水中に置いた人工骨の高周波Cモード像を得ることができたので報告する．
【実験システム構成】
使用機器および機材としては,超音波送受信器（JSR Synergetics, Inc. 製パルサー/レシーバーPR002）,送/受信用探触子（Panametrics製V2113；中心周波数220MHz, 周波数帯域95〜278MHZ）,オシロスコープ（Tektronix製TDS5104B）,画像構築装置（パソコン/SONIXJD5520DT-ATX）,モニター,X/Y/Z移動装置,伝送用ファイバーとしては棒状石英ファイバー（長さ：約37 mm,直径：約600 μm）,人工骨としてはバイオセラミックス“ハイドロキシアパタイト”（直径：約13 mm,厚さ：約2 mm,PENTAX製CELLYARDTM pellet）を用いた．
【測定及び画像化】
超音波送受信器で発生した超音波パルスを探触子からファイバーの端面に入射させ,他方の端面に音響媒体（水）を介して人工骨を置き,人工骨からの反射波が最大になるようにファイバー端面と人工骨間の距離を（移動装置のZ方向で）調整した．次に,移動装置のX-Y方向に超音波ビームを走査（走査幅：約16×16 mm,走査間隔：最小で5 μm）し,各ポイントから戻ってきた反射波を用いて画像化を行った．
【結果】
直径約600 μmの棒状石英ファイバーを通して水中に置かれた人工骨から最大周波数約160 MHz,最大振幅約200 mVの反射波を検出することができ,人工骨の高画質Cモード像を得ることができた．
【考察】
前回得られた硬貨のCモード像では硬貨から返ってくる反射波の最大周波数が約140 MHz,最大振幅が約100 mVに対し,今回の実験で得られた人工骨からの反射波では,それぞれ約160 MHz,200 mVと改善,向上がみられた．これは,送受信システムにおける総合的なS/N改善,向上及び超音波ビームの被測定物（人工骨）に対する走査面の微細調整を行ったことによるものと推察される．今後,これらの要因について詳細検討を行うと同時に,ファイバーから発射される超音波ビームのフォーカシング等を行い,性能向上を進める予定である．
【文献】
1）吉澤昌純,他．J Med Ultrasonics Vol.36 Supplement.S295 （2009）
2）入江喬介,他．J.Med.Ultrasonics Vol.34 Supplement.S570 （2007）
3）橘内　洋．他．J Med Ultrasonics Vol.35 Supplement.S285 （2008）
4）入江喬介．他．J Med Ultrasonics Vol.36 Supplement.S304 （2009）
5）入江喬介．他．J Med Ultrasonics Vol.36 Supplement.S348 （2010）
6）入江喬介．他．J Med Ultrasonics Vol.38 No3, 119 （2011）