江田 廉¹, 渡會 展之¹, 重原 伸彦¹, 伊藤 拓未¹, 南出 歩¹, 桝田 晃司¹, 池田 誠一², 新井 史人², 宮本 義孝³, 千葉 敏雄³

Ren KODA¹, Nobuyuki WATARAI¹, Nobuhiko SHIGEHARA¹, Takumi ITO¹, Ayumu MINAMIDE¹, Kohji MASUDA¹, Seiichi IKEDA², Fumihito ARAI², Yoshitaka MIYAMOTO³, Toshio CHIBA³

¹東京農工大学大学院生物システム応用科学府, ²名古屋大学工学部, ³国立成育医療センター臨床研究開発部

¹Graduate School of Bio-Applications and Systems Engineering, Tokyo Univ. of Agriculture and Technology, ²School of Engineering, Nagoya Univ., ³Department of Clinical Research Development, National Center for Child Health and Development

キーワード :

【はじめに】
これまで我々は,単純な分岐を有する人工血管において気泡が流れる経路を能動的に選択する研究を行ってきた［1-3］．生体内の末梢部位を流れる気泡に対し体外から音波を照射する場合,気泡の流れに対向する音波照射による制御が必要となるが,先行研究では音波の照射角度に制限があり,対向照射には対応できなかった．また,複雑な分岐流路における気泡誘導の可否も不明であった．そこで今回は複数音源を用いて多分岐流路を流れる気泡に対して3次元的な音場形成の検討を行い,気泡の経路選択実験を行った．また,音波の照射切り替えによって気泡の効率的な制御を試みた．
【実験】
まず,超音波透過性の高いPVAハイドロゲルの材質の多分岐流路人工血管を用意した．その内部にF-04Eマイクロバブルの懸濁液を流速50 mm/secで流し,連続する分岐部2カ所に気泡の流れと対向するように集束音波を照射した．照射音波は最大音圧500 kPa,中心周波数5 MHzの連続波,または2カ所の集束位置で500 μsec毎に照射が切り替わる同条件のバースト波とした．その時の微小気泡群の挙動を倒立顕微鏡に接続したハイスピードカメラにて録画した．そして連続波照射の場合とバースト波切り替え照射の場合で気泡誘導性能の比較を行った．
【結果およびまとめ】
連続波を照射した場合の観察結果を図に示す．分岐部に対し別々の音源を使用することで,多段階の分岐流路においても所望の血管に気泡を誘導できることが分かった．またバースト波の切り替えにおいても同様に気泡制御が可能なことを確認した．このことから,音波の照射時間を抑制した低侵襲な気泡の動体制御が可能なことが示唆された．
【参考文献】
［1］K.Masuda, Y.Muramatsu, S.Ueda, R.Nakamoto, et al.: JJAP, Vol.48, 07GK03, 2009
［2］K.Masuda, N.Watarai, R.Nakamoto, et al.: JJAP, Vol.49, 07HF11, 2010
［3］渡會展之ほか：超音波医学,Vol.38, No.4, pp.433-445, 2011