Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
基礎:バブル

(S342)

2焦点同時観測による気泡ミストの3次元的ダイナミクスの観察

Observation of the three-dimensional dynamics of the bubble mists by simultaneous observation at two focal planes

小澤 知享, 中野 宜泰, 郡 裕路, 三輪 空司, 山越 芳樹

Tomoyuki OZAWA, Yoshiyasu NAKANO, Hiromichi KOHRI, Takashi MIWA, Yoshiki YAMAKOSHI

群馬大学大学院工学研究科電気電子工学専攻

Department of Electronic Engineering, Graduate school of Gunma University, Faculty of Engineering

キーワード :

【目的】
超音波支援によるドラッグデリバリシステムにおいて,微小気泡に超音波を照射すると気泡クラウドが形成される.また,強力超音波を照射すると気泡クラウドは破壊され,ソノポレーションにより微小窪みが形成される.気泡クラウド破壊の過程でキャビテーションにより気泡ミストが形成されることを確認したが[1],本稿では気泡ミストのダイナミクスを3次元的に観察するために深さ(Z)方向の異なる2焦点での同時撮影を可能とする系を構成し,気泡ミストの3次元構造と微小窪みとの関係を実験的に検討したので報告する.
【実験方法】
模擬血管としてNIPAゲルを用いた.気泡(レボビスト)をゲル流路に流し,ポンピング超音波を照射して流路壁面に気泡クラウドを形成させる(プリトラッピング).この気泡クラウドに強力超音波を照射するとキャビテーションにより気泡ミストが生じる.この気泡ミストを顕微鏡で観察するが,鏡筒内に配置したビームスプリッタにより光路を分岐し,結像レンズと撮像素子の間隔を長さの異なる鏡筒を用いて変化させることで対物レンズ前面に2つの焦点を形成した.一般に画像の輝度値は焦点で最大となり,焦点から離れるにつれ小さくなる.また焦点距離の異なる2つの撮像素子で同時に撮影した場合,輝度値が最大となる位置が撮像素子毎に異なってくる.したがって輝度値のZ方向依存性(校正値)を予め計測しておけば両者の輝度値を比較することで焦点位置からの相対的な物体の位置を知ることができる.校正値は壁面に付着した気泡クラウドを対象として測定した.
【結果】
図1に壁面に付着した気泡クラウドを2焦点同時観察した結果を示す.図1(a),(b)を比較すると,焦点面で撮影した図(a)は焦点をずらした図(b)より輝度値が高くなる.これらの画像から校正値を求めた.強力超音波照射後100~600μsに観測される気泡ミストの画像を図2に示す.また,推定した気泡ミストの3次元構造画像(3値化)を図3に示す.図中の白色部分は壁面からZ方向に0~20μm,灰色部分は21~50μmに存在する気泡ミストである.
【結論】
ゲル流路壁面に形成される微小窪みを評価し,気泡ミストとの関係を明確にすることは,微小窪みを制御するために重要であるが,今回気泡ミストの3次元構造を観測できる系を構成した.
【参考文献】
[1]山口,山越ら 第23回日超医関東地方会抄録集 p.123