英文誌(2004-)
一般口演
基礎:バブル
(S341)
二周波積層探触子を用いたマイクロバブル圧壊制御及びモニタリング手法の検討
Microbubble destruction control and monitoring method using dual frequency bilaminar transducer
東 隆1, 松本 洋一郎1, 古幡 博2
Takashi AZUMA1, Yoichiro MATSUMOTO1, Hiroshi FURUHATA2
1東京大学工学系研究科, 2東京慈恵会医科大学ME研究室
1School of Engineering, University of Tokyo, 2ME laboratory, Jikei University
キーワード :
【目的】
超音波照射に伴うマイクロバブルの崩壊を用いて脳組織への薬剤の送達効率の向上をはかるBBB(Blood Brain Barrier)オープン治療は,その報告以来大きな注目を集めいている[1].通常の腫瘍血管においては,血管を構成する細胞同士の結びつきが緩く,薬剤の血管壁透過性が良いことが知られている.しかし,抗がん剤の治療効果の向上と,副作用の低減を同時に実現するには,腫瘍周辺での薬剤の血管透過性の更なる向上を目指すことの意義は大きい.我々は,脳血管以外の腫瘍血管に対してマイクロバブルの崩壊に伴う周囲血管への損傷を引き起こすことで,腫瘍と正常組織の薬剤濃度分布のコントラストを向上出来るのでは無いかと考え,超音波画像Navigation下のバブル崩壊法の検討を行っている.
【方法】
マイクロバブルが圧壊する場所を腫瘍周辺の血管中に局在させるには,超音波撮像によるモニタリングと,モニタリングした場所に精度良く圧壊用超音波を送波出来ることが必須となる.本研究ではモニタリングとバブル制御に二つの異なる周波数帯域を用いることで,バブル制御の選択性や圧壊したバブルからの信号と他の信号の峻別比を向上する手法を検討する.我々はこれまで経頭蓋脳血栓溶解治療を目的として,64chの2MHzアレイと16chの500kHzの二つのアレイを積層した二周波積層セクタ型トランスデューサの開発を行っている[2].このトランスデューサを用いたバブルの圧壊及びその超音波モニタリングに関する検討結果を報告する.マイクロバブルはsonazoidを用いた.
【結果】
基礎的な検討により,上記の二周波トランスデューサで送波可能な音響強度と周波数により,500kHz,2MHzのいずれにおいてもsonazoidを圧壊させることが出来ることを確認した.今後,マイクロバブル圧壊用の超音波周波数帯域と別の周波数帯域を用いることで,圧壊からの信号を特異的に取得する方法に関して検討を行い,二つの周波数帯域を用いたことによる峻別比の向上に関して報告を行う.
【参考文献】
[1]N. Sheikov, N. McDannold, N. Vykhodtseva, F. Jolesz, K. Hynynen, Ultrasound Med Biol., vol. 30, 979-89 (2004).
[2]T. Azuma, M. Ogihara, J. Kubota, A. Sasaki, S. Umemura, and H. Furuhata, IEEE Trans. Ultrason, Ferroelectr, Freq. Control, vol. 57, 1211-1224 (2010).