小島 貴則¹, 中島 博行^{1, 2}, 亀山 剛義⁴, 田淵 晴名³, キミロバ エレナ¹, 西條 芳文⁵

Takanori KOJIMA¹, Hiroyuki NAKAJIMA^{1, 2}, Takeyoshi KAMEYAMA⁴, Haruna TABUCHI³, Elena KHMYROVA¹, Yoshifumi SAIJO⁵

¹東北大学大学院医工学研究科医工学専攻, ²東北厚生年金病院中央検査部, ³東北厚生年金病院循環器センター, ⁴宮城社会保険病院循環器科, ⁵東北大学大学院医工学研究科医用イメージング研究分野

¹Biomedical Engineering, Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, ²Department of Laboratory, Tohoku Kosei Nenkin Hospital, Sendai, Japan, ³Department of Cardiology, Tohoku Kosei Nenkin Hospital, Sendai, Japan, ⁴Department of Cardiology, Social insurance Hospital, Sendai, Japan, ⁵Biomedical Imaging Laboratory, Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
近年,Echo-Dynamography（Vector Flow Mapping）法［1,2］による血流速度ベクトルの二次元分布表示方法が実用化されており,臨床的な有用性が認められている．また,数値シミュレーションによる速度場での妥当性についても検証され,一定の条件下ではほぼ正確なベクトル分布を示すことが確認されている［3］. しかし,in vivoにおける妥当性に関する報告はなされていない．そこで,本研究では3次元空間の血流ベクトルを計測することができるMRIシーケンスの一種である位相コントラスト法（PC-MRA）によって血流ベクトル二次元分布および渦パターンを表示し,Echo-Dyanamographyと比較することで妥当性につき検証を行うことを目的とした．
【対象と方法】
測定対象は健常成人男子で,評価対象の心臓断面は三腔像と四腔像とした．ほぼ同一観測面におけるPC-MRAとカラードプラ画像を取得し,PC-MRAによる観測面上の血流成分表示とEcho-Dynamographyによる2次元速度分布を比較検討した．時相についてはPC-MRAの時相とほぼ一致する超音波ドプラ画像を用いた．また,超音波ドプラ画像と類似の画像が得られるように,MRIのT2強調画像における心尖部に仮想プローブポイントをとり,仮想ドプラ画像を取得し,　超音波画像のための参考画像とした．
【結果】
図は等容収縮期の解析結果を示す．両者の二次元血流ベクトル分布はほぼ一致し,Echo-Dynamographyでは確認できない小さな渦も位相コントラスト法では確認できた．主流の渦の位置や大きさについては両者でほぼ一致した．
【まとめ】
巨視的な側面からみると,Echo-DynamographyはPC-MRAによる血流速度場計測を実現できていると考えられる．今後,両者の数値的な妥当性について深く検証する必要がある．
【参考文献】
［1］Ohtsuki and Tanaka, Visualization, Vol. 9, No. 1 （2006）69-82
［2］田中元直：循環器専門医,12,2（2004）363-374.
［3］Uejima T, Koike A, Sawada H, et al, Ultrasound Med Biol 36: 772-788, 2010.