Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

一般口演
基礎:イメージングⅠ

(S336)

鏡面反射を利用した穿刺針映像法に関する一考察

Considerations on mirror reflection capture method for puncture needle

神山 直久, 金山 侑子

Naohisa KAMIYAMA, Yuko KANAYAMA

東芝メディカルシステムズ超音波開発部

Ultrasound Division, Toshiba Medical Systems

キーワード :

【はじめに】
超音波診断装置は,穿刺術のガイドとしても有用なツールとして臨床で利用されているが,針の視認性に関してはまだ課題がある.金属製の針自体は強反射体であるが,超音波が針に対して斜めに入射した場合は,反射波は超音波振動子面から外れるため,受信信号として検出できないことが理由である.この現象は,超音波走査線に対して鋭角となる深部への穿刺の場合,より大きくなる.本稿では,この鏡面反射を別走査線で捕獲し映像化する手法 (以下Mirror Reflection Capture; MRC法)についてファントム実験にて考察したので報告する.
【手法】
生体擬似寒天グラファイトファントム(RMI 403GS; 0.5dB, GAMMEX)に,生検針(SONOPSY-C1; 21G, 発光メディカル)を角度θ(<45°)で挿入する.探触子は8 MHzリニア型 (PLT-805AT; 8 MHz, 東芝)を用い,送受信3.8/7.6 MHzのharmonic modeを使用した.MRC法では,受信走査線は送信走査線に対し距離w [mm]だけ離れた位置に設定される(Fig.1).wが送信メインローブから十分外れている場合,散乱体からの受信信号は微小となる.一方,針に照射された送信波は,鏡面反射後に,受信走査線上の散乱体(S)によって振動子に戻るため,信号として検出が可能となる.ただし,このとき映像化される信号(P)は,送受信の距離wに依存した迂回があるため,正確な位置には表示されない.ここで,異なる2つの距離w1, w2について各々画像を得ることで,幾何学的関係(式省略)から,θが未知であっても正確な針位置を算出することが可能となる.
【結果】
Fig.2(a)は通常B-mode像,(b)はMRC法(w = ±5.7 mm)による針位置推定画像である.(b)には参考まで,推定前の2つのMRC画像も重畳してある.3本の針像のうち,両外側がMRC法による画像であり,ファントムからのエコーが抑制され,B-mode像(a)と比べて,良好なコントラスト比で映像化されていることが分かる.中央の針像は,MRC画像を推定計算式により移動表示したものであり,針の真位置と一致した.
【まとめ】
MRC法により,穿刺針の視認性が大幅に向上することが示唆された.本法の適用は,肝臓のように穿刺角度θが鋭角の場合を想定している.よって振動子形状はコンベックスプローブが好適であるが,幾何学的関係の推定式が複雑となる.この検討については今後の課題としたい.