Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

奨励賞演題:腎・泌尿器

(S327)

前立腺癌密封小線源治療における恥骨弓の形状評価

Evaluation of pubic arch interference in patients with prostate cancer undergoing prostate brachytherapy

押野見 和彦1, 森田 將1, 冨士 幸蔵1, 深貝 隆志1, 小川 良雄1, Lederer John2

Kazuhiko OSHINOMI1, Masashi MORITA1, Kohzo FUJI1, Takashi FUKAGAI1, Yoshio OGAWA1, John LEDERER2

1昭和大学医学部泌尿器科, 2ハワイ大学外科

1Department of Urology, Showa University School of Medicine, 2Department of Surgery, University of Hawaii

キーワード :

【目的】
限局性前立腺癌の密封小線源治療は,経会陰的アプローチの手技の特性から,ニードルの穿刺時に恥骨弓が干渉し,前立腺辺縁への刺入が困難なことがある(Pubic Arch Interference:PAI).大きい前立腺体積や狭骨盤の症例では,一般にPAIが発生しやすい.日本人は欧米人との体格差から狭骨盤症例が多いと考えられ,PAI発生の頻度に関与している可能性がある.今回,経直腸的超音波像での日本人,白人における恥骨弓の形態評価およびPAI発生との関連について検討した.
【対象と方法】
2003年1月から米国関連施設で密封小線源永久挿入治療を施行した白人患者50例と2005年3月から当院にて施術した日本人患者50例を検討した.白人患者群と日本人患者群の年齢中央値はそれぞれ71,70歳,治療前PSA中央値は8.6,12.6ng/ml,前立腺体積の中央値は31.4,23.1mlであり,前立腺体積のみで両群間で差がみられた.評価項目は,1:恥骨弓内側縁と前立腺最大横断面外縁との距離,2:恥骨弓の角度,3:恥骨弓内側縁の交点と前立腺最大横断面腹側縁との距離4: 2,3による恥骨弓の形態分類,の4項目とした.超音波装置はAlokaSSD4000,TRUS bi-planeプローべを使用して評価した.
【結果と考察】
全症例での1,2,3の中央値はそれぞれ0mm,94度,17mmであった.2の中央値94度を基準に恥骨弓の角度を‘Wide’と‘Narrow’に,3の中央値17mmを基準に相対的な恥骨弓の位置を‘High’と‘Low’に分類した.‘Low-Narrow’,‘Low-Wide’,‘High-Narrow’,‘High-Wide’の4群に分類すると,日本人患者では‘Low-Wide’が27例(54%),白人患者では‘High-Narrow’が29例(58%)を占め最も多かった.人種間で恥骨弓の形態に特徴的な傾向を認めたものの,PAIの発生頻度は,日本人患者が22例(44%),白人患者が19例(38%)であり有意差を認めなかった.
【結論】
今回の検討では,人種間でのPAIの発生頻度の有意差は認めなかった.恥骨弓形態には人種間で特徴的な傾向を認めたが,PAIの発生は前立腺体積や前立腺最大横断面積との関連による影響が大きいことが示唆された.