Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

奨励賞演題:基礎

(S321)

強力集束超音波による生体ファントム内部温度分布の熱画像測定

Measurement of temperature distribution of phantom using thermography caused by high intensity focused ultrasonic irradiation

佐久間 優, 田中 伸, 土屋 健伸, 遠藤 信行

Suguru SAKUMA, Shin TANAKA, Takenobu TSUCHIYA, Nobuyuki ENDOH

神奈川大学電気電子情報工学専攻

The course of Electrical,Electronics and Information Engineering, Kanagawa University

キーワード :

【緒言】
現在,超音波を用いた診断装置は安全かつ簡便な診断法として広く普及しており,生体に悪影響を与える超音波出力での使用が規制されている.しかし,最近の診断装置の中には,瞬時的にではあるが,強い超音波を照射する装置が開発・使用されており,従来の規格内ではあるが懸念がある.このため,集束強力超音波を照射した際,生体内における発熱を考えなければならない.そこで筆者らは,熱画像法による分割ファントム内部の温度上昇測定を行ってきた[1].本報告では集束強力超音波照射による生体内部での発熱の影響を調べるため,サーモグラフィを用いた熱画像法により,集束強力超音波によるファントム内部での温度分布測定を行った.
【測定方法】
測定に用いた分割ファントムの減衰係数は0.38 [dB/cm/MHz at 3.5MHz]であり,他のパラメータはJISの記載と同じである.測定環境図をFig.1に示す.使用する送波器は,周波数1.1 [MHz], 直径64 [mm],曲率半径 62.6 [mm]の凹面型,超音波出力は10 [W]の連続波を照射した.熱画像の測定方法は[1]に沿うが,本報告では分割ファントムと周囲温度の違いによる温度の変動を避けるために,超音波照射を水中で行い,熱画像測定を空気中で行った.まず分割ファントムの温度を室温と同じ20 [℃]まで恒温槽で温める.その後,恒温槽の中で分割ファントムと8 [mm]離れた距離に配置した送波器から10分間超音波を照射する.照射後,空気中に分割ファントムを移動させ,接合面を開く.分割ファントムとサーモグラフィまでの距離を500 [mm]とし,分割ファントム内部の温度分布の熱画像を測定した.
【結果】
測定した熱画像をFig.2に示す.送波器から48.4 [mm]の距離で最大温度上昇値15.9 [℃]を示した.Fig.3に送波器中心軸上における温度分布を示す.また,Fig.4に最大温度上昇値を示した距離での方位方向の温度分布を示す.温度上昇値が1 [℃]以上となる部分に着目すると,中心軸上では全ての距離において温度上昇値が1 [℃]以上であったが,方位方向では42 [mm]の温度上昇値が1 [℃]以上となる熱の広がりが生じていた.
【結論】
 強力集束超音波照射時のファントム内部の温度分布の測定を熱画像法により行った.本測定により,照射条件が連続波における強力集束超音波照射時の分割ファントム内部の温度分布を取得した.今後はPRFと音響強度を変更し測定を行っていく予定である.
[1]佐久間,他,音響会 (秋), 2011, pp.1249-1250