Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 整形外科
シンポジウム9 動画で考える頭の再教育−動きで運動器疾患の病態を理解する−

(S315)

膝の痛みを動的解析

Utility of Ultrasonogram to the Knee Disease by Real time images

松崎 正史

Masashi MATSUZAKI

ソニックジャパン株式会社CEO

CEO, Sonic Japan Co., Ltd.

キーワード :

 二足歩行をする動物,ヒトにおいて下肢は重要な運動器である.下肢は股関節,膝関節,足関節の3つの関節があり,そのそれぞれが体を動かす可動性の機能と体重を支える支持性の2つの機能を担っている.特に,膝関節は歩行から屈伸まで広い範囲の可動性を保持した関節である.また,二足歩行するゆえに全体重の支持性を担っている機能は,平地歩行でも自重の1.5〜2倍,昇降時においては2〜3倍がこの膝関節にかかっているのである.つまり,膝関節は,自重を超えた支持性を維持しながら広い範囲の可動性を常に行っている運動器なのである.膝関節疾患の障害としてあげられる一つとして,長期にわたる荷重によって生じる変形性関節症があげられる.変形性膝関節症は,膝関節である大腿骨関節軟骨が経年にわたって体重を支えながら可動を行うことによって,関節軟骨の摩耗によって菲薄化することで変形が生じる障害である.この変形性膝関節症の病態診断は,X線撮影によって行われるが関節軟骨はX線撮影では直接的に映像化することができないため,関節の位置関係によって間接的に診断することになる.関節軟骨の状態を直接的に映像化する手法は,核磁気共鳴画像 (Magnetic Resonance Imaging:MRI )があり,X線撮影で病態判断が可能な関節の位置関係の変化が生じる前の段階における軟骨の状況を観察できるのである.しかし,いずれの画像診断においても扱う画像は静止画である.一方,超音波画像(Ultrasonogram:US)は,優れた空間分解能を保持しており,変形性膝関節症における関節軟骨を直接的に画像評価できるが,USはX線撮影やMRIにないリアルタイム性による動的診断によって,異なる視点から変形性膝関節症に対して病態観察することができるのである.今回,USの動的診断による変形性膝関節症に対するアプローチから,予後予測,治療方針までのプロセスのみならず,スポーツ傷害によって生じた靭帯損傷における病態把握,治療経過,アスレチックリハビリの開始時期の決定など動的診断を通じて行う臨床現場の最前線について紹介する.