Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 整形外科
シンポジウム9 動画で考える頭の再教育−動きで運動器疾患の病態を理解する−

(S315)

手のしびれ 原因は動き?

Numbness of the hand, Its problem is solved from motion of something.

山口 睦弘

Mutsuhiro YAMAGUCHI

独立行政法人労働者健康福祉機構 千葉労災病院検査科

Clinical Laboratoly, Japan Labor Health and Welfare Organization Chiba Rosai Hospital

キーワード :

手指のしびれを訴える症例の多くは手根管症候群であり原因が定かでないことが多い.手根管症候群は,手関節部の手根骨と横手根靱帯に囲まれた手根管内で正中神経が圧排されることによって生じる疾患である.その原因としては,手根管内を通る屈筋腱や腱鞘の炎症による腫大や腫瘤による正中神経の圧排であったりする.この手根管症候群の検査法としては,従来から神経伝導速度が用いられてきたが,高度な神経障害では捉えられなかったり,診断するには有用であるが原因究明には至らないといったデメリットがある.また,超音波検査を用いた報告も多く見られるが,手根管内の体積変化を推測する方法であったり,正中神経の圧排を断面積で評価したりと手根管内の変化を2次的に捉えるに過ぎなかった.しかし,近年の.超音波検査装置の発展により浅部の分解能が向上し手根管内の正中神経や屈筋腱を明瞭に描出することが可能になってきた.これによって,手根管症候群に対する超音波検査の役割は,手根管内を直接的に評価し手根管内での正中神経の圧排像や偽神経腫を捉えたり,原因の一つである屈筋腱や腱鞘の状態の把握も可能になってきた.また,手根管内のガングリオンなども明瞭に捉えられるようになった.しかし,手根管内に超音波検査では原因を見つけることが出来ない症例も多々ある.こういった症例では,超音波検査の最大の武器であるリアルタイム性を活かして手根管内の正中神経と屈筋腱の動的観察を行うことであり,これによって正中神経,屈筋腱,横手根靱帯の3者の関係が明瞭となり原因が明らかになることもある.今回は手根管内での正中神経と屈筋腱の動的観察について,自験例や文献的考察を加えて報告する.