Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 体表臓器
ワークショップ11 甲状腺結節の超音波スクリーニング−放射線被ばく後検診をめぐって−

(S310)

福島県甲状腺超音波検診の現状と今後の展開

Current and future of Fukushima Thyroid Ultrasound Survey

鈴木 眞一

Shinichi SUZUKI

福島県立医科大学器官制御外科学講座 乳腺内分泌甲状腺外科

Department Breast Thyroid and Endocrine Surgery, Fukushima Medical University

キーワード :

2011年3月11日14時46分,東日本に未曾有の大震災をもたらした.M9.0という国内観測史上最大の規模の大地震と大津波が東日本沿岸を襲った.さらに東京電力福島第一原発でも地震津波の影響で非常用電力供給も断たれ,冷却機能を失った原子炉では爆発がおき,大量の放射性物質が大気中に放出された.
地震,津波,原発事故という最悪のトリプル連鎖が起こった.今回の原発事故はチェルノブイリと同等のレベル7といわれてはいるが環境中に放出された放射能量は7分の1である.従って,福島県内ではチェルノブイリの事故で唯一健康影響が確認された小児甲状腺がんは発症しないのではないかと考えられているが,実際の住民の不安は解消されていない.そこで福島県および福島医大では未だ解決していない放射線被ばくによる不安の解消を目的に県民健康管理調査を行うことを決めた.そのなかで詳細調査の一つに甲状腺超音波検査を事故当時0才から18才以下の36万人の小児に対して2011年10月9日より開始し,長期にわたる県民への見守り事業を開始した.本学会を始めとする7学会の支援を受け,専門の医師,技師の皆様の多くの支援を受けている.この長きにわたる大規模な超音波検診の立ち上げおよび現在までの経過と,県外移住者,避難者に対する全国的な対応も含め今後の展望につき報告する.