加藤 久美子¹, 神尾 麻紀子¹, 野木 裕子¹, 武山 浩¹, 鳥海 弥寿雄¹, 内田 賢¹, 中田 典生², 宮本 幸夫²

Kumiko KATOU¹, Makiko KAMIO¹, Hiroko NOGI¹, Hiroshi TAKEYAMA¹, Yasuo TORIUMI¹, Ken UCHIDA¹, Norio NAKATA², Yukio MIYAMOTO²

¹東京慈恵会医科大学外科学講座, ²東京慈恵会医科大学超音波診断センター

¹Department of Surgery, Jikei University School of Medicine, ²Department of Radiology Diagnostic Ultrasound Center, Jikei University School of Medicine

キーワード :

【目的】
乳腺腫瘤の造影超音波検査において,しばしば腫瘤内部に不染域を認める．また,線維線種に代表される良性腫瘤では均一に染まる傾向を有する．腫瘤におけるpatho-sonological correlationを明らかにするために,画像所見と手術標本を対比した．
【対象】
2009年6月から2011年5月までに院内倫理委員会の承認のもとにソナゾイドによる造影超音波検査を行い,手術標本との比較を行い得た乳癌症例14例および線維腺腫3例．
【方法】
使用機器はGE LogiQ7,探触子は9Lを用いた．accumulation/contrast modeで不染域を同定し,手術標本と対比した．
【結果】
癌症例において不染域は14例中11例（78.5％）で認められた．この11例中9例においては不染域は腫瘤内の間質結合織の増生部もしくは腫瘤に巻き込まれた脂肪織に一致した．3例は超音波検査と病理標本の割面が異なったために比較検討ができなかった．線維線種3例のうち,2例では造影超音波検査では概ね均一に腫瘤が造影され,組織学的には均一に上皮成分が増生した管内型線維腺腫であった．残る1例は不均一に造影され,組織学的には管内型と類臓器型の混在する線維線腫であった．
【考察】
今回の検討では,不染域は腫瘤内部の間質や脂肪織に一致すると考えられた．また,線維線種では組織型により異なる造影パターンを持つものと考えられた．