Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 腎泌尿器
シンポジウム10 泌尿器科癌取扱い規約にみる超音波診断基準の問題点

(S294)

泌尿器科癌取扱い規約にみる超音波診断の問題点:腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約

The problem of diagnostic ultrasound based on General rule on renal pelvic, ureteral and bladder cancer

丸上 永晃, 齊藤 弥穂, 平井 都始子

Nagaaki MARUGAMI, Miho SAITO, Toshiko HIRAI

奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部

Department of endoscopy and ultrasound, Nara Medical University

キーワード :

超音波機器にはCTやMRと同様に目覚ましい発達・進歩があるにも関わらず,2011年に新たに改定された「腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約」の画像所見記載法には,CT,MRIを中心とした最新の知見が大幅に追加された一方で,超音波の記載はわずかにとどまっている.血尿を主な主訴とする尿路上皮癌に関して,日本の血尿診療ガイドラインでは超音波検査は勧められているものの,2008年の米国放射線専門医会(American College of Radiology: ACR)では,超音波検査が5点(9点満点)である一方,CT urographyが最高点である9点,IVUが6点と,超音波検査よりも高評価されている.さらに欧州泌尿器学会(European Association of Urology: EAU)の尿路上皮癌のガイドラインでは,診断の項目に超音波の記載すら無く,尿路上皮癌診療において現時点ではエビデンスレベルの低い検査法であると言わざるをえないのが現状である.今回のシンポジウムでは,CTやMRなどの他のモダリテイーと比較しながら,現時点における尿路上皮癌の診断における超音波検査の位置付けや優劣を明らかにしたい.超音波検査は非侵襲的で簡便な検査法であるために,スクリーニングや初期診療としての位置付けは臨床的には確立されてはいる.超音波検査がEBMに介入するための今後の指針となるような有意義なシンポジウムであれば幸いである.