Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 産婦人科
ワークショップ5 皆で共有したい印象に残る産婦人科症例

(S283)

胎児超音波検査にて特異な大腿骨像を呈した1例

Prenatal diagnosis of sirenomelia with single femur: a case report

加地 剛, 前田 和寿, 七條 あつ子, 中山 聡一朗, 佐藤 美紀, 苛原 稔

Takashi KAJI, Kazuhisa MAEDA, Atsuko HICHIJOU, Soichiro NAKAYAMA, Miki SATO, Minoru IRAHARA

徳島大学病院周産母子センター

Department of Obstetrics and Gynecology, Tokushima University Hospital

キーワード :

超音波ビームは骨の表面でほとんどが反射されるため,超音波検査で描出される骨像は超音波ビームが入射した骨表面の輪郭部分だけとなる.そのため超音波検査では胎児骨の詳細な形態評価は難しく,最近ではCTが併用されることも多い.今回超音波検査にて特異な大腿骨像を呈した人魚体シークエンスの胎児例を経験したので報告する.
【症例】
妊娠28週4日IUGRおよび羊水過少を認めたため28週5日当科に紹介となった.初診時の超音波検査にて羊水は認めず,両側の腎臓および膀胱は描出されなかった.胸郭はベル状で,単一臍帯動脈も認めた.羊水過少のため四肢の描出は困難で大腿骨は一本しか確認できなかった.この大腿骨は途中から2本に分岐しているようにも描出された(図1).同日MRIを施行し両側腎臓が無形成であることを確認した.また下肢は一本に見えた.以上から人魚体シークエンスが強く疑われたため3D-CTを行ったところ下肢は一本のみであることが確認され確定診断に至った.また超音波検査にて2本に分岐しているように見えた大腿骨は,扁平で幅が非常に広い形状であることが判明した(図2).3D-CTを参考にし,幅広な大腿骨に対し通常の外側からではなく,幅広な面が超音波ビームに垂直になるようにプローブをあて3D超音波像を構築することによりCT像に近い像を描出できた(図3).
【結論】
超音波検査での胎児骨の観察には限界がありCTに劣る.ただし超音波の特性を理解し3Dを利用することで骨の形態評価の精度が上がる場合がある.