英文誌(2004-)
特別企画 消化器
ワークショップ6 消化器疾患診療における超音波Elastography の有用性
(S265)
超音波エラストグラフィーによる非アルコール性脂肪性肝炎診断
Diagnosis of Nonalcoholic Steatohepatitis by Ultrasound Elastography
矢田 典久, 工藤 正俊
Norihisa YADA, Masatoshi KUDO
近畿大学医学部消化器内科
Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University Faculty of Medicine
キーワード :
【はじめに】
非アルコール性脂肪性肝炎(以下NASH)は,肝硬変や肝癌へ進展する可能性のある病態であるが,近年患者数が増加しており非アルコール性肝障害(以下NAFLD)からNASHの絞り込みが重要である.しかし,NASHの確定診断には肝生検を必要とするため容易に診断できないという問題があり,非侵襲的診断方法の確立が望まれている.
【目的】
肝生検組織診断とReal-time Tissue Elastography(以下RTE)およびFibroScan(以下FS)による測定結果とを比較検討し,RTEやFSでNASHの診断が可能かどうか検討した.
【方法】
2010年8月から2011年8月の間,当院で肝生検診断を行ったNAFLD患者53症例を対象とした.肝生検当日にFSおよびRTEを行い,その結果と肝生検組織診断(Bruntの分類)とを比較した.
【結果】
FSは16例で測定不能あるいは測定困難であった.一方,RTEは全例施行可能であった.FSの測定値Liver Stiffness Measurement (LSM)は,stagingやgradingとの間に有意な相関関係は認めなかった.一方,RTE画像から得た特徴量解析では,staging上昇に伴い相対的歪みの平均MEANの低下,相対的歪みの少ない部位(硬い部位,青シグナル領域)の面積AREAの増加や形態の複雑化などを呈した.重回帰分析を行いstage3以上の予測能について検討したところ,AUROC 0.926と非常に高い診断能が得られた.
【結語】
RTEは,NASHの診断に非常に有効な非侵襲的検査ツールである.