Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 消化器
ワークショップ1 超音波内視鏡の進歩−診断と治療への応用−

(S260)

当院におけるInterventional EUSの現状

State of Interventional EUS in our hospital

石川 英樹, 大塚 裕之, 清野 隆史, 森島 大雅

Hideki ISHIKAWA, Hiroyuki OTUKA, Takashi SEINO, Tomomasa MORISHIMA

公立学校共済組合 東海中央病院消化器内視鏡センター

Digestive endoscopy center, Tokai Central Hospital

キーワード :

【目的】
当センターでのInterventional EUSの現状および成績を報告すること. 
【対象】
2008年1月〜2011年11月で当センターにおいて施行したEUS-FNA 104例を対象とし,①診断的EUS-FNAを施行した93例と②治療的EUSを施行し11例(EUS-BD:6例,EUS-CD:3例,EUS-CPN:2例)である.
【適応と方法】
当センターでの適応は①充実性腫瘍の鑑別診断,悪性腫瘍の進展度診断(リンパ節,腹水など),化学療法前の病理学的確証を得ることである.②については急性膵炎後の仮性膵のう胞,閉塞性黄疸,癌性疼痛とし,いずれも経乳頭的ドレナージを試みて不可能であった症例とした.穿刺針は症例に応じて25G,22G,19Gを使用した.
【内訳】
①男性:女性=57:36,平均年齢は68.4歳(42〜86),膵疾患27例(膵癌16例,慢性膵炎6例,自己免疫性膵炎3例,内分泌腫瘍1例,SCN1例),肝疾患2例(肝内胆管癌1例,肝平滑筋肉腫1例),胆嚢癌1例,腹腔内リンパ節23例,縦隔リンパ節8例,消化管SMT19例(胃12例,十二指腸3例,食道1例,胃GIST3例),腹腔内腫瘍12例(副腎腫瘍4例,十二指腸癌1例,胃癌1例,後腹膜神経原性腫瘍3例,骨盤内腫瘍1例,前立腺癌1例,リンパ管腫1例),腹水1例であった.②男性:女性=6:5,平均年齢は68.2歳(40〜92),EUS-BD 6 例,EUS-CD 4 例,EUS-CPN 1例であった.
【成績】
①全症例における,のべ穿刺回数は165回で平均穿刺回数は1.77回であった.組織採取率は97.8%(91/93),正診率は92.4%(86/93)であった.また偶発症0%であった.診断不可であった7例のうち2例は検体不良で,標的腫瘍が2cm以下と小さいことが原因であると推測した.他の4例は左副腎腺腫,迷入膵がEUS-FNAではそれぞれリンパ節と胃GISTと診断され,いずれも切除病理診断と異なった.いずれも初期症例であり病理側の要因と推測した.疾患別では膵疾患,肝疾患,胆嚢疾患,腹腔内リンパ節,縦隔内リンパ節,腹腔内腫瘍,腹水では100%診断が可能であったが,消化管SMT(13/19)と副腎腫瘍(3/4)で68.4%,75%の診断精度と低率となった.②EUS-CD4例の嚢胞消失率は100%であり,EUS-BDによる減黄は良好であった.子宮留膿腫症例には経直腸的に子宮壁を穿刺し,外瘻チューブを挿入し,外科的切除をすることなく子宮留膿腫のドレナージ・治療が可能となった.十二指腸癌症例はEUS-BDから原病死までの353日間,チューブ交換せず黄疸,胆管炎は出現しなかった.EUS-CPN症例は施行後より麻薬の減量が可能となった.偶発症は0%であり,手技成功率は91%(10/11)であった.
【結語】
当センターでの平均1.77回の穿刺における診断的EUS-FNAの診断成績は良好で治療方針決定に有用であり,また治療的EUS-FNAは患者のQOLに貢献した.