Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 消化器
ワークショップ1 超音波内視鏡の進歩−診断と治療への応用−

(S260)

超音波内視鏡ガイド下胆管・膵管ドレナージ術の治療成績

Efficacy and safety of endosonography-guided biliary drainage and endosonography-guided pancreatic duct drainage

小川 貴央, 洞口 淳, 藤田 直孝

Takahisa OGAWA, Jun HORAGUCHI, Naotaka FUJITA

仙台市医療センター消化器内科

Department of Gastroenterology, Sendai City Medical Center

キーワード :

【目的】
超音波内視鏡ガイド下胆管ドレナージ術 (Endosonography-guided biliary drainage, ESBD) および膵管ドレナージ術 (Endosonography-guided pancreatic duct drainage, ESPD) の有用性と安全性を検証すること.
【方法】
対象は2007年1月から2011年10月までに,経乳頭的なドレナージが困難なためESBDを行った42例と,ESPDを行った2例である.ESBD,ESPDの男女比,平均年齢はそれぞれ19:23, 74歳,2:0, 50歳である.ESBD施行例の胆道閉塞原因は膵頭部癌24例,胆道癌11例,消化管癌のリンパ節転移5例,総胆管結石2例であった.ESPDを行った2例は慢性膵炎の急性増悪により,膵性腹水を伴い,DIC状態であった1例と,膵管・胃吻合術後の吻合部狭窄症例であった.方法は電子コンベックス型超音波内視鏡 (GF-UC240P, GF-UCT240, Olympus) を用い胆管および膵管を描出し,経消化管的に19G針 (Echo Tip, Cook Co.など) を用い目的管腔を穿刺した.穿刺後管腔を造影し,ガイドワイヤーを胆管,膵管内に送り込み,穿刺ルートを細径バルーンなどで拡張した後,ステントを留置した.胆管結石の1例ではRendezvous法を試みた.ESBD, ESPDの手技成功率とドレナージ効果,早期偶発症につき検討した.
【結果】
ESBD: 42例中28例では肝外胆管, 14例では肝内胆管に穿刺を行った.ESBDを施行した42例中41例でステント留置に成功し,37例で良好な減黄が得られた.Rendezvous法を試みた胆管結石の1例は,胆管穿刺,造影は可能であったが,ガイドワイヤーが結石を越えて乳頭側に進まず,ESBDを断念した.非切除悪性胆道閉塞例の40例中21例では,metallic stent留置を行った(一期的留置7例,二期的留置14例). ESPD: 慢性膵炎の急性増悪例では経胃的に拡張膵管を穿刺し,狭窄部を超えてstent先端を乳頭部から十二指腸内に, 他端は拡張膵管内に位置するように留置し,膵性腹水が消失し, DICから離脱した.胃・膵管吻合部狭窄例では同様に尾側の拡張膵管を穿刺後,穿刺ルート部にステントを留置してドレナージを行った.短期的なドレナージ効果は良好であったが,約1年後にステントが逸脱し,再留置が困難となったため,最終的に手術でのドレナージを行った.手技に伴う早期偶発症はESBDの 17%(7例)(限局性腹膜炎4例,ガイドワイヤー逸脱3例,ステント迷入1例,重複を含む)にみられた.限局性腹膜炎は抗生剤投与による保存的加療で改善し,ステント迷入例は同部より再ESBDを行い内科的に治療した.
【結語】
ESBDは治療効果が高く安全に施行可能で,経乳頭的アプローチ困難例に対する有用なドレナージ手技と考えられた.一方,ESPDは長期的な成績を含めて評価していく必要がある.