Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 消化器
ワークショップ1 超音波内視鏡の進歩−診断と治療への応用−

(S259)

切除不能悪性胆管狭窄患者に対する超音波内視鏡下胆管ドレナージの検討

EUS-guided Biliary Drainage for malignant bile duct stenosis

肱岡 範, 原 和生, 山雄 健次

Susumu HIJIOKA, Kazuo HARA, Kenji YAMAO

愛知県がんセンター中央病院消化器内科

Gastroenterology, Aichi Cancer Center Hospital

キーワード :

【背景と目的】
近年,胆膵領域におけるInterventional EUSの進歩めざましく,中でもTherapeutic EUSの分野は,今後ますます発展していくことが予想されている.我々は,2003年以降,EUS-BDを切除不能悪性胆管狭窄患者77例に対して施行してきた.今回は,EUS-BDの安全性と有効性に関して検討を行った.
【対象】
2003年9月から2011年8月までにEUS-BDを施行した77例を対象とした.77例の内訳は,超音波内視鏡下胆管十二指腸吻合(EUS-guided choledochoduodenostomy: EUS-CDS)57例,経胃ドレナージ10例(内rendezvous 2例),経空腸ドレナージ4例,経食道ドレナージ6例(内rendezvous 5例).
【方法】
経胃,経小腸ドレナージは,EUS下で経消化管的に肝内胆管を穿刺し,穿刺経路を拡張後にステントを留置する方法とした.EUS-CDSは超音波内視鏡ガイド下に肝外胆管と十二指腸球部との間に胆管ステントを置く方法とした.
【結果】
1.手技の成功率は,96% (74/77例) であった.2.10.3% (8/77 例)に限局性の軽症から中等症までの腹膜炎を認めた.3. 重篤な偶発症として,血管塞栓術を要した出血1例,肝膿瘍1例,ステント迷入を2例に認めた.4. EUS-BDの手技に要した時間は中央値30 分 (range10-52)であった.5. 術翌日から経口摂取が可能であった.6. ステントを挿入可能であった全例(73例)に良好な肝機能障害の改善が得られた.7. 8例に穿刺時腹水を認めたが,手技は全例に成功し,偶発症も認めなかった.
【まとめ】
EUS-BDは,比較的安全に施行可能であると考えられた.全例で良好な肝障害の改善を認めており,胆道ドレナージとして有効な方法であると思われた.