Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 消化器
パネルディスカッション11 超音波による肝癌スクリーニングの現状

(S253)

治療前スクリーニング超音波検査で診断できなかった肝細胞癌結節の検討

Assessment for hepatocellular carcinoma which cannot be depicted by ultrasound

広岡 昌史, 越智 裕紀, 小泉 洋平, 畔元 信明, 古川 慎哉, 日浅 陽一, 阿部 雅則, 松浦 文三, 恩地 森一

Masashi HIROOKA, Hironori OCHI, Yohei KOIZUMI, Nobuaki AZEMOTO, Shinya FURUKAWA, Yoichi HIASA, Masanori ABE, Bunzo MATSUURA, Morikazu ONJI

愛媛大学大学院先端病態制御内科学

Department of Gastroenterology and Metabology, Ehime University Graduate School of Medicine

キーワード :

近年Angio-CT,EOB-MRIなど画像診断の進展により乏血性結節や小結節の検出能が飛躍的に向上した.このため外来で施行した超音波検査で指摘されない結節がCTやMRIを施行することにより診断されるケースが増加している.
【目的】
外来スクリーニング超音波検査で指摘された結節と指摘できなかった結節を比較しその特徴を明らかにする.
【方法】
期間は2010年1月から2011年10月.CTHA,CTAP,EOB-MRIを施行しラジオ波焼灼術を施行した肝細胞癌208例240結節.男性140例,女性68例.平均年齢は73.7±10.7歳.HBs抗原陽性15例,HCV抗体陽性165例,HBs抗原HCV抗体ともに陰性が28例.超音波で発見された結節と超音波で発見されずCTやMRIで発見された結節に分けて検討した.施行医は超音波診療に携わってから4年以上の者が行った.施行医の経験年数,エコー所見,腫瘍径,場所,画像検査の間隔を比較した.さらに超音波検査でみえなかった結節についてはスクリーニング検査時に見えなかった理由を検討した.治療時に人工胸水または人工腹水を注入することや仮想超音波像で場所を同定した上で,再度詳細に超音波で結節を検出可能かどうか検討した.
【成績】
スクリーニング超音波検査で検出された結節は150結節(62.5%)であった.腫瘍径は超音波検査で見つけた群は12.8mm,超音波検査で見えなかった群は13.1mmで有意差はなかった.その他施行医の経験年数,肝区域,内部エコー,haloの有無,画像診断の間隔で有意差は無かった.超音波で見えなかった予想し得る理由については前治療部近傍のため2結節,超音波検査の死角に存在していたためが64結節,音場が悪く造影が不十分であったことが12例,不明が12結節であった.治療時に人工胸水または人工腹水を入れることや仮想超音波像で場所を同定した上で再度詳細に検討することで88結節は超音波検査で同定可能であった.残り2結節については等エコー像でEOB-MRIのみで検出される結節であった.
【結論】
スクリーニング超音波検査で結節を指摘できるかどうかは施行医の経験年数や結節の超音波像よりは死角に結節があるかどうか,音場の弱さなどといった超音波検査特有の欠点によるものの方が影響するのではないかと考えられた.