Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 消化器
パネルディスカッション1 腹部超音波検査における要精査の基準と検診間隔

(S246)

【基調講演】“腹部超音波がん検診基準”におけるカテゴリー判定について

Category classification of ultrasonographic findings for abdominal cancer screening.

田中 幸子

Sachiko TANAKA

大阪府立成人病センター検診部

Department of Cancer Survey, Osaka Medical Center for Cancer & CVD

キーワード :

超音波検査は腹部領域の多数の臓器の診断に広く用いられ,特に肝・胆道・膵・腎のがんのスクリーニング検査には不可欠の検査方法として認識されている.また,各種腫瘍に特徴的な画像パターンも報告され鑑別診断に役立っている.本学会の用語診断基準委員会においては,診断基準についての論議がなされ,肝腫瘤,胆嚢癌,膵癌の診断基準ないしは(案)が公表され,継続的に改訂作業も行われている.しかしながら,病理組織学的に同一の腫瘍であっても肉眼形態は多様であることが多く,超音波画像所見と病理組織診断が常に1対1で対応するわけではない.また,画像診断法の本質的な問題として画像所見の客観的な言語表記は難しく叙述的な表現をされることが多い.また,その表現法も各施設により微妙に異なっているため共通の基準で数値化されることもなく,診断精度の標準化や客観的評価が困難である.日本消化器がん検診学会が2011年に作成した腹部超音波がん検診基準においては,腹部臓器がんの超音波によるカテゴリー判定基準を提示した.このカテゴリー判定が日超医の診断基準と異なるところは,①腫瘍の鑑別診断ではなく良悪性の判定を主目的としていること,および②精査ではなく,スクリーニングにおける判定であること,が特徴である.カテゴリー判定基準作成にあたっては,複雑すぎないようにという配慮と,高度な画像診断の知識を十分に反映させたいという意図との葛藤があった.そのため,臓器によって所見の取り上げ方に差があり,今後も改善の余地があると思われる.本学会の用語診断基準委員会との共同の小委員会にて判定基準の改訂を目指していただきたいと考えている.また,それと同時に,このカテゴリー判定基準を広く普及させることにより,腹部超音波検査の悪性腫瘍に対する判定基準の共通化を諮り,癌のスクリーニング検査法としての精度および有効性の評価を行うことを目指したい.今回のパネルディスカッションのテーマである,要精査の基準と検診間隔については,腹部超音波がん検診基準では触れられていないが,概ねカテゴリー4,5は要精査,カテゴリー3は超音波検査の再検ないし経過観察と考えられる.日本消化器がん検診学会 腹部超音波がん検診基準は日本消化器がん検診学会雑誌(2011: 49(5): 667-685)に掲載されているが,学会ホームページからもダウンロードできる.カテゴリー分類を表示する.