Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 消化器
シンポジウム1 超音波を用いた肝細胞癌の診断および治療法の進歩

(S233)

最新の超音波装置を駆使したRFA治療

RFA using the new various assist systems of ultrasonography

田中 弘教1, 東浦 晶子1, 吉田 昌弘1, 山平 正浩1, 岩井 孝史2, 高嶋 智之2, 會澤 信弘2, 池田 直人2, 西口 修平2, 飯島 尋子1, 2

Hironori TANAKA1, Akiko HIGASHIURA1, Masahiro YOSHIDA1, Masahiro YAMAHIRA1, Takashi IWAI2, Tomoyuki TAKASHIMA2, Nobuhiro AIZAWA2, Naoto IKEDA2, Shuhei NISHIGUCHI2, Hiroko IIJIMA1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科学肝胆膵科

1Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, 2Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Department of Internal Medicine, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【目的】
2003年の日立メディコの発表した世界初の穿刺ナビゲーションシステムであるRVSはRFA治療に大きな足跡を残した.2005年に発表された東芝Aplioに搭載されたマイクロコンベックスプローブのPVT-328BTは,通常のコンベックス型と比べても違和感の少ないB-mode画像に加え,造影にも対応し穿刺手技に大きく貢献した.2007年に認可された造影超音波剤ソナゾイドは,バブルを壊さず繰り返し観察可能となったため造影超音波下の穿刺を身近なものとした.2008年に発表されたGE Logiq E9 に搭載されたVolume navigation systemは位置合わせの煩雑さが改善し,ナビゲーションシステムを一層身近なものとした.高周波プローブの解像度の改良も目覚ましいものがあり,非常に高解像度の肝表の観察を可能とした.また2010年よりは3D穿刺システムも使用している.今回これらの超音波機器を実際,どの様に利用しているかについて検討した.
【方法】
当院でGEのVolume Navigation systemが使用可能となった2011年2月17日より11月17日までの約9カ月間にRFAを施行したのべ100人,129結節を検討した.当院では通常Toshiba Aplio MXにマイクロコンベックスプローブを組み合わせて穿刺治療を行っているが,これのみでは不十分と判断した時には,ナビゲーションシステム(GE LOGIQ E9 volume navigation および日立メディコEUB8500 RVSシステム),高周波プローブ(東芝,4Dプローブ(PVT-375MV),人工胸・腹水法,などを適宜選択している.今回,これらの頻度や使い分け,有効性について検討した.
【結果】
129結節のうち,穿刺補助システムを利用した結節はそれぞれ,ナビゲーションシステム49結節,高周波プローブ9結節,造影US22例,人工胸腹水法15例,3Dプローブ2例であった.ナビゲーションシステムは38%と最も多くの症例で使用したが,B-modeで指摘困難例の発見補助のみならず,USでしか発見できない結節のCT・MRI上での位置表示にも応用可能であった.また脈管や周囲臓器との詳細な位置関係の把握が容易であった.比較的サイズの大きい腫瘍は焼灼によりバブルで範囲が判定しにくくなるケースもあるが,CT・MRIのみならず治療前US画像も参照画像にすることができ,確実なステップで治療が可能となった.またGPSマーカーを利用して穿刺位置を示しておくことで,追加部位が効率よく穿刺可能であった.また学生の教育・理解にも大きく貢献した.高周波プローブは9例で使用したが,肝表の小結節でコンベックスプローブのB-modeで観察困難例であっても描出を改善した.穿刺角度が浅く設定可能なことも肝表の穿刺に有利であった.さらに体壁と肝表の境界を高解像度で観察可能であることより,体壁の熱傷なく治療が可能であった.造影USはナビゲーションシステムによりその使用頻度は減少傾向であったが,追加治療時などでは焼灼部位が明瞭となるため,ピンポイントの位置把握が容易となり,ナビゲーションより有用な症例が認められた.
【結語】
ラジオ波治療の穿刺補助システムの技術は進歩し続けているが,機種によっても特性がある.これらの現状を理解し,適切に選択あるいは組み合わせて治療を行うことが重要である.