Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 循環器
パネルディスカッション3 成人先天性心疾患への心エコーによるアプローチ

(S199)

心房中隔欠損症のカテーテル治療半年後に観察された,心房中隔の偏位像

Specific Morphological Change of Inter Atrial Septum After Implantation of Amplazter Septal Occluder; 3 cases report

磯谷 彰宏

Akihiro ISOTANI

社会保険 小倉記念病院循環器内科

Department of Cardiology, Kokura Memorial Hospital

キーワード :

【目的】
 心房中隔欠損症(ASD)に対しAmplatzer閉鎖栓による経カテーテル治療を行った症例の,遠隔期の心房中隔形態の変化を観察する.
【対象と方法】
 小倉記念病院にて ASD に対し Amplatzer閉鎖栓を留置した症例の内,半年後の経食道心エコー図検査(TEE)を施行し得た3例を対象とした.症例は26才男性,22才女性,58才女性で,それぞれ34mm,22mm,18mmのdeviceを留置した.手技中のguide TEE で3例ともdeviceがrimを適切に挟んでいることを確認した.また留置直後ではdeviceと心房中隔組織は概ね平行の位置関係であった.いずれも合併症なく手技を終えた.6〜8か月後に,3D-TEE を施行した.
【結果】
 3例ともdevice emboliはなく,欠損孔を適切に閉鎖していた.心房中隔を詳細に観察すると,3例とも心房中隔組織が左房側に偏位している像が観察された.部分的にはディスクが外れているようにみえる像もあったが,短絡血流は描出されず,心房中隔の偏位と考えた.心房中隔が左房ディスクの左房面まで偏位している部分も観察された.こうした偏位像は,主に後下壁から下壁で観察された.
【考察】
 ASD の治療では,欠損孔を通じた血流が遮断されることで,心内血行動態には容量負荷の点で大きな変化が生じる.ASDに対してAmplatzer閉鎖栓による低侵襲治療を行った半年後のTEEにて,心房中隔の左房側への偏位像が観察された.容量負荷がとれた際の容量負荷軽減は,右房・左房のリモデリングに対して異なった影響を与えている可能性がある.また,慢性期の形態変化を詳細に観察することは,留置するdeviceのサイズ選択に有用な情報ともたらすものと考えた.