英文誌(2004-)
特別企画 循環器
パネルディスカッション3 成人先天性心疾患への心エコーによるアプローチ
(S198)
医療情報システムを活用した成人先天性心疾患の心エコー検査への取り組み
Echocardiography in adult patients with congenital heart disease using integrated hospital information system
野間 充
Mitsuru NOMA
九州厚生年金病院医療情報部
Medical Informatics, Kyushu Kosei-Nenkin Hospital
キーワード :
【背景】
成人先天性心疾患症例では,すでに手術やカテーテル治療を受けている症例が少なくない.このような治療に関する情報は,検査申し込みの記載内容だけでは十分な情報を得ることが困難な場合が多い.また,先天性心疾患では,立体的な解剖を把握して検査をすることが重要となるので3次元CT(3DCT)の結果や心臓MR検査(CMR)の結果を参照したり心エコー結果と比較することで検査方法の見直しをしたり同様の症例でのアプローチが容易になることを経験している.また,過去画像との比較検討を容易にできることも検査や診断に欠かせない.患者さんの情報を総合的に把握するだけではなく,検査室のあり方や小児循環器医師と心臓血管外科医と成人循環器が共同で検討できる場も重要となる.このように総合的な環境と共同診療体制でこれまで様々な症例に対応してきた.
【目的】
成人先天性心疾患の心エコーでのアプローチを容易にするために医療情報システム活用が有用であることを実例から明らかにすること
【対象】
当院における成人先天性心疾患症例
【方法】
当院では,画像情報を心カテと中央検査室の心エコー画像について2001年からをDICOM化してサーバー保管を行ってきた.2004年からは心エコー画像については,中央検査室のみならずNICUと手術室,ICUにおいてもサーバー保管を可能とし,さらにポータブル検査機器からの画像も保管できるようにした.2008年3月にサーバー更新に伴い超音波画像・心カテ画像・放射線画像をID連携できるようにするとともに超音波検査報告書も小児・成人ともに電子入力とした.2009年から中央検査室に3D経食道心エコーを導入し翌2010年には手術室にも追加導入した.現在,3Dエコーのraw dataについて集中管理は出来ていないが高性能ノートPCで画像参照と再処理を可能として紹介患者さんの情報を確認している.
【考察】
当院での成人先天性心疾患の心エコー検査において小児循環器医師と成人循環器医師が同じ場所で検査できる環境に加えてシステム的にもシームレスな環境を構築することで心エコー検査における課題解決に役立つとともにチーム医療にも役立っていると考えられる.