Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 領域横断
ワークショップ13 ボリュームデータとしての超音波診断と治療ナビゲーション

(S166 - S165)

磁気センサーによるFusion画像と穿刺Navigationの現状と展望

Current status and future of fusion image and needle navigation by magnetic navigation system

今井 康晴, 佐野 隆友, 村嶋 英学, 市村 茂輝, 平良 淳一, 杉本 勝俊, 山田 幸太, 古市 好宏, 森安 史典

Yasuharu IMAI, Takatomo SANO, Eigaku MURASHIMA, Shigeki ICHIMURA, Junichi TAIRA, Katsutoshi SUGIMOTO, Kouta YAMADA, Yoshihiro FURUICHI, Fuminori MORIYASU

東京医科大学消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Tokyo Medical University

キーワード :

【目的】
肝癌の診断・治療における磁気センサー搭載超音波装置によるFusion画像の有用性は多数報告されている.しかし,Fusion画像を用いて診療していく上で問題点も認められる.その問題点を明らかにし,解決方法について考察した.また,磁気センサーを用いた穿刺Navigationも開発され,実臨床に導入されている.Fantom実験及び臨床例の初期経験を通して現状と展望について述べる.
【対象と方法】
対象は,肝癌に対して日立アロカメディカル社製超音波装置に搭載されたReal-time Virtual Sonography(RVS)を施行した249例,GEヘルスケア社製LOGIQ E9に搭載されたVolume NavigationのFusion(V-Navi)を行った25例,東芝メディカル社製Aplio 500に搭載されたSmart Fusion(SM-F)を行った6例である.磁気センサーを用いた穿刺Navigationは,GEヘルスケア社製LOGIQ E9に搭載されているNeedle Trackingを用いた.
【結果と考察】
(1)位置合わせの方法は,断面画像を合わせていく断面同期(RVS)と軸を合わせた後に点で補正していく軸同期(V-Navi,SM-F)に分かれる.断面同期はリアルタイム超音波画像と仮想画像のねじれ(軸の不一致)を意識して断面を合わせる必要があり,ある程度の習熟が必要であった.対処法としては,軸の不一致を補正するために病変部以外に血管の分岐部などの構造物にもMarkerを置いて,位置合わせが正確であるかどうかを確認することが勧められる.軸同期は最初の軸合わせが正確であれば簡便に位置合わせすることができた.しかし,仰臥位以外の体位など肝臓が変形する条件で行った場合,軸同期では位置合わせが困難なことがあった.(2)呼吸が不安定で息止めが不良の場合,同期の際に指標となる血管などの構造物がない肝辺縁に病変がある場合,仰臥位以外の体位や人工胸水・腹水作成時にFusionの位置合わせが不良であった.このような場合も軸の不一致を補正することで同期が可能な場合があったが,困難なことも多かった.また,Fusion画像を軸の不一致を含めてミリ単位に同期させることは困難なことが多く,超音波描出不良肝癌の穿刺治療や肝癌の治療効果判定においてFusion画像を用いる場合は,病変部以外の肝内にもMarkerを置くなどして慎重に判断すべきと考える.(3)Needle Trackingは,穿刺針の針先が超音波断面像以外にあってもその位置を認識することが可能であり,自由な角度で穿刺することも可能であった.条件がそろえば,仮想画像(Needle in-plane)を参照しながら,probeを当てている場所と異なった部位(Off-plane)からの穿刺も可能であった.リアルタイム3D画像にNeedle Trackingが導入されると,穿刺角度の自由度がさらに増すと考えられた.
【結語】
磁気センサー搭載超音波装置によるFusion画像では軸の不一致を意識して使用することにより,その有用性がさらに高まる.今後,断面同期と軸同期の組み合わせが可能な装置の開発が期待される.