福田 浩之¹, 沼田 和司¹, 守屋 聡¹, 野崎 昭人¹, 近藤 正晃¹, 森本 学¹, 田中 克明¹, 伊藤 龍², 大藤 正雄², 唐沢 英偉³

Hiroyuki FUKUDA¹, Kazushi NUMATA¹, Satoshi MORIYA¹, Akito NOZAKI¹, Masaaki KONDO¹, Manabu MORIMOTO¹, Katsuaki TANAKA¹, Ryu ITO², Masao OHTO², Eii KARASAWA³

¹横浜市大附属市民総合医療センター消化器センター, ²さんむ医療センター内科, ³国際医療福祉大学熱海病院消化器内科

¹Gastroenterological Center, Yokohama City University Medical Center, ²Internal Medicine, Sanmu Medical Center, ³Department of Gastroenterology, Iuhw Atami Hospital

キーワード :

【目的】
体外式集束強力超音波（high intensity focused ultrasound: HIFU）は高エネルギー超音波を微小焦点域に集中して,熱凝固により癌組織を壊死させる穿刺を必要としない低侵襲治療法である．しかしHIFU治療機のモニターは,画質の点や二次元超音波画像のため,照射や効果判定の立体的把握に限界があった．今回,US,CT,MRIの三次元画像を用いて,モニター画面と同一立体面で相補的に表示し,HIFUの治療計画,効果判定に応用した．
【方法】
対象は,HIFUを施行した腫瘍径30mm以下の肝細胞癌22例である．3D USはAPLIO（東芝製）,LOGIQ 7（GE製）を用いた．3D CT（Light Speed Ultra,GE）,3D MRI（SIGNA HDX 3.0T）の立体情報は,三次元画像作成ワークステーション（ZioM900）に入力した．HIFU装置の超音波プローブの角度情報から3D US,3D CT,3D MRIの同一断面を作成した．HIFU装置は,重慶Haifu社製JC200を使用した．超音波造影剤はソナゾイドを用いた．
【成績】
HIFU治療時のモニターにおける二次元超音波像と同一断面を,3D US,3D CT,3D MRIの同一立体面で相補的に直交3断面表示することが可能であった．3D USは高分解能で腫瘍の正確な進展度診断に有用で,マージンを含めた照射範囲の設定に有用であった．3D CT,3D MRIは病変を含め広く安定して表示でき,照射経路における消化管,肺の存在など安全性の確認に有用であった．EOB-MRIを用いた3D MRIの2例では,CTで描出できない小さな病変の治療計画に有効であった．造影3D USは,治療直後の追加治療の判断に有用であった．22例中,18例において,一回の治療で,完全壊死することが可能であり,平均照射時間は708秒,平均治療時間は207分であった．全例において,重篤な合併症は認めなかった．2年で局所再発率は8％,他部位再発率は33％であった．平均照射時間は11分,平均治療時間は207分であった．腫瘍に対する肋骨の遮蔽率が30％以下,皮膚からの距離が50mm以下の場合,有意に治療時間が短かった．
【結語】
HIFUは,安全で有効な治療であり,US,CT,MRIの三次元画像のアシストが有用であった．現在RFAと比較し,治療時間の長いことが課題であるが,腫瘍に対する肋骨の遮蔽率,皮膚からの距離により,HIFUにて短時間に治療できる症例の選択が重要と考えられた．今後は,呼吸トラッキングシステム,温度モニター等の工学的工夫により,治療時間のさらなる短縮が必要と考えられた．

文献
1.Fukuda H, Numata K, Nozaki A, et al. Usefulness of US-CT 3D Dual Imaging for the Planning and Monitoring of Hepatocellular Carcinoma Treatment Using HIFU. Eur J Radiol. In press,
2. Fukuda H, Numata K, Nozaki A, et al. Hyperecho in ultrasound images during high-intensity focused ultrasound ablation for hepatocellular carcinomas. Eur J Radiol. In press