Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 領域横断
パネルディスカッション6 超音波専門医および検査士制度における領域の見直し:消化器領域を腹部領域とすることを議論する

(S153)

消化器領域を腹部領域にすることを議論する:泌尿器科の立場から

Discussion regarding the new certification “abdominal ultrasound”from the view point of urologsist.

千葉 裕

Yutaka CHIBA

東北公済病院泌尿器科

Urology, Tohokukosai hospital

キーワード :

 泌尿器科とは後腹膜臓器の外科的治療と尿路および男性生殖器疾患の治療を担当する領域であり,その関与する主な臓器は,男女に共通した副腎,腎,尿路(腎盂尿管,膀胱,尿道),そして男性の前立腺,精嚢,精巣,精巣上体などである.これらの臓器は超音波検査にとっても,その有用性が発揮されやすい臓器であり,泌尿器科診療の現場において,超音波は欠かすことのない画像検査法となっている.一方,超音波検査は,その簡便性,非侵襲性,そして優れた診断能から,腹部スクリーニング検査法としても広く活用されており,その腹部スクリーニング検査の現場において,副腎の偶発腫瘍,腎腫瘍,尿路結石,膀胱腫瘍,前立腺肥大症といった多くの泌尿器疾患が無症状で発見される機会が増加している.今回,従来消化器領域といわれた領域で超音波検査を担当されている専門医の中から,これら泌尿器科やさらには婦人科領域も含めた,広く腹部疾患のスクリーニング検査を行える超音波専門医や検査士育成の必要性を訴える声が上がり,今回のこのパネルディスカッションのテーマが企画されたものと理解している.一方で泌尿器科領域の超音波専門医の現状に目を移すと,2012年現在泌尿器科領域の専門医は全国でも50名足らずで,しかもその8割が50歳以上であり,専門医試験の受験者も毎年1名いるかいないかといった現状が続いている.今回は消化器領域の見直しがメインテーマではあるが,同時に今後の泌尿器科領域の見直しも検討する必要があると実感している.今年度から検査士制度委員会でも指導検査士制度(腹部領域)といった新しい領域にのっとった認定制度も始まることが決まっており,このパネルディスカッションをきっかけに,泌尿器科領域の見直しも含めた従来の消化器領域から腹部領域への変更の議論が活発になされ,より良い新たな領域の実現に少しでも力になれればと考えている.発表当日は私が日本超音波医学会に関わってきた30年余りの泌尿器科領域の変化と現状,その抱える問題,そして泌尿器科専門医の立場から新たな領域再編への提言が出来ればと考えている.