Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 領域横断
パネルディスカッション5 全身の血管病を診る:動脈硬化・血栓

(S149)

日常診療での動脈硬化評価とフィードバック

Evaluation of Atherosclerosis and Feed-back to Patients

石橋 豊

Yutaka ISHIBASHI

島根大学医学部総合医療学講座

Department of General Medicine, Shimane University Faculty of Medicine

キーワード :

動脈硬化の発生,進展を血管内皮機能低下,血管弾性の低下,プラーク形成による血管形態の変化ととらえると,動脈硬化の早期診断の臨床的意義は形態変化の発生を如何に抑えるか,あるいはすでに明らかなプラーク形成を来している症例においてその進展を如何に抑えるかということになる.しかし,ここで問題になるのが,動脈硬化の程度評価を如何に行うか,そして観察して得られた動脈硬化評価を如何に被検者にフィードバックするかである.早期診断の基礎となる内皮機能低下,弾性低下の判断は検査装置,検査手技により未だ定まったものがない.また,得られた評価においては,担当科,担当医師によりばらつき,また治療方針もそれぞれに異なったものになってしまうことが案じられた.そこで,島根大学ではこの問題点の解決を目的に,島根大学では,診療科,職種を超えての横断的な組織であるバスキュラ・ラボ(Vascular Lab)を立ち上げ,1)技師,若手医師を対象とする検査手技の習得 2)島根大学独自での内皮機能,血管弾性の正常値の設定 3)検査結果の評価の統一化 4)下肢潰瘍,動脈瘤,脳梗塞など,動脈硬化病変の進行症例での,診療科,職種を超えての横断的動脈硬化カンファレンス 5)血管に関しての横断的共同研究 6)一般市民への血管に関しての啓蒙活動を行っている.発表では,島根大学Vascular Labからの報告として,健常人を対象とするFMDを使った血管内皮機能検査,ニトログリセリン舌下による血管拡張反応(NMD)およびPWV/CAVIを使った血管弾性検査結果について報告し,横断的動脈硬化カンファレンスの結果とフィードッバクの実際などを紹介する.加えて,現在進行中の横断的共同研究である,動脈硬化ドックでの動脈硬化早期診断と各危険因子,炎症マーカ,酸化ストレスマーカとの関係についても報告する.