Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2012 - Vol.39

Vol.39 No.Supplement

特別企画 領域横断
パネルディスカッション4 携帯超音波検査による診療体系の変化−診療報酬も含めて−

(S144)

真の簡便さを実現する携帯超音波検査の有用性

Usefulness of the pocket echo which realized true simplicity

小川 眞広1, 松本 直樹1, 中河原 浩史1, 山本 敏樹1, 後藤 伊織1, 山本 義信1, 石綿 宏敏1, 森山 光彦1, 小野 良樹1, 石田 秀明2

Masahiro OGAWA1, Naoki MATSUMOTO1, Hiroshi NAKAGAWARA1, Toshiki YAMAMOTO1, Iori GOTOU1, Yoshinobu YAMAMOTO1, Hirotoshi ISHIWATA1, Mitsuhiko MORIYAMA1, Yoshiki ONO1, Hideaki ISHIDA2

1駿河台日本大学病院内科, 2秋田赤十字病院超音波センター

1Gastroenterology and Hepatology, Nihon university school of medicine, 2Center of Diagnostic Ultrasoud, Akita red cross hospital

キーワード :

【目的】
超音波診断装置の小型化が進みついにポケットに入る超音波診断装置が誕生した.これまでの小型超音波診断装置はノート型のPC位の大きさであり常に携帯するにはおよばない大きさであった.今回さらに小型化が実現し臨床的に常に携帯可能な携帯エコーが実現した.これにより真の簡便さを兼ね備えた超音波診断装置により消化器領域においてどのような変化が医療上起こったかを検証したので報告する.
【方法】
消化器内科の病棟グループの研修医に常に超音波診断装置を携帯させ業務を行い診療体系にどのような変化がおこるかの検討を行った.いつでも使用可能なように常に携帯させ,どのような状況で使用しどのような結果が得らたかの記録を行い有用性の検討を行った.
【成績】
使用環境は,主に病棟回診中に施行し,症状の訴えに対して施行する他に,採血データの異常に対して,治療前後の状態の把握,血管造影時など治療手技中の確認,救急患者の診察などに対してあった.症状に対しては,腹部膨満感時の腹水の有無,胸水の有無,膀胱内の尿の有無,消化液の貯留の有無,などであり,疼痛では,胆石症の有無,閉塞性横断の有無,水腎症の有無,などである.さらに発熱時の胆嚢・胆管炎の有無,動悸・息切れ時の心不全の有無の確認などである.セクタプローブのみのためプローブ直下の2-3cmの観察が不良であり,痩せている症例などで一部観察不良となることがあり関心領域を指摘距離に持って行く技術は必要と考えられた.診療時に気軽に超音波検査が施行できるため検査件数の増加は言うまでもないが精密診断としての検査室における超音波検の検数も増加しており超音波診断に対する意識の向が高まったと考えられた.
【考案】
現状では描出範囲,画像管理の面からスクリーニング検査として使用することは好ましくないが,臨床的に目的を持ちスポットを当てる感覚で使用するには非常に有用であることが確認された.特に研修医においては操作も簡単なため超音波検査に興味を持つきっかけになることは間違いないと考えられた.また通常の診断装置と異なる撮影技術などを習得する必要はあるが,通常の装置より調節できる部分も少なくその分習得しやすいと言う結果も得られた.常に携帯が可能な小型エコーの有用性は消化器領域に対しても十分な有用性が示唆され,消化器用のマイクロコンベックスプローブなどの装置の開発によりさらに有用性が高まることが予想された.
【結語】
ポケット型の超音波診断装置は消化器領域の診療に有用であり今後の開発に期待がかかる.