阿部 信隆¹, 荒井 修², 仲本 秀和¹, 窪田 純¹, 佐々木 明¹

Nobutaka ABE¹, Osamu ARAI², Hidekazu NAKAMOTO¹, Jun KUBOTA¹, Akira SASAKI¹

¹株式会社日立メディコ応用機器開発室, ²株式会社日立メディコUSシステム本部

¹Application Development Office, Hitachi Medical Corporation, ²Ultrasound Systems Division, Hitachi Medical Corporation

キーワード :

【背景と目的】
高強度収束超音波（HIFU）などの低侵襲局所療法において，リアルタイム性や操作性に優れるUS画像と，軟部組織濃度分解能と温度感受性の高いMRI画像を融合させた画像誘導手法は，重要な技術であり，それを実現するのが，Real-time Virtual Sonography（RVS）※［1］などの優れたナビゲーションシステムである．本研究では，昨年度に引き続き，RVS機能を備えたナビゲーションシステムの開発を行なっているが［2-4］，操作性の向上を目的として，新たな機能の開発を行なったので以下に報告する．
【方法】
　以下の2項目について試作・評価した．（1） 画像空間と現実空間の位置合わせ（レジストレーション）機能の自動化（2） HIFU照射領域の履歴作成機能の自動化前者に関しては，DICOMに格納される画像位置情報と，MRIガントリおよび撮像対象に設置した光学式センサの位置検出マーカを基にして，レジストレーション情報を作成し，自動的に位置合わせを行なう機能を試作した．後者に関しては，東京女子医科大学が試作したHIFU制御システムとの通信機能を設け，履歴の自動作成機能を試作した．なお，撮像装置は，オープン型MRI装置AIRIS Elite※と，US装置EUB-7500（Hitachi Medical Corp.）を使用した．光学式センサはPolaris Spectra※（Northern Digital Inc.）を使用した．
【結果および考察】
（1）に関しては，撮影時のそれぞれの位置を取得する必要はあるものの，従来の手動によるレジストレーションに比べて，大幅な時間短縮が可能であり，人手を介さないため再現性も高く，有効な手段であると考える．（2）に関しては，正常に動作することを確認し，操作者への負担軽減を実現した．ただし，プローブ位置が検出できなった場合の処理方法については課題が残る．
【結論】
レジストレーション自動化機能およびHIFU照射履歴自動作成機能を試作し，正常に機能することを確認した．また，これらの機能を備えることにより，ナビゲーションシステムの操作性の向上を実現した．本研究は，独立行政法人　新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）からの委託研究として実施した．
※ RVS：Real-time Virtual Sonography　※ Real-time Virtual Sonography, AIRIS, AIRIS Elite は日本における（株）日立メディコの登録商標です．※ Polaris はNorthern Digital Inc.の登録商標です．
1. O.Arai, et al.; “Integration Computer Tomography in Ultrasound Diagnosis Named Virtual Sonography”, 2003 Scientific Assembly and Annual Meeting Program of Radiological Society of North America （2003） p.807, 9424IMA-i
2. 荻原，仲本，佐々木，窪田; 2008日超医学術集会; 超音波診断装置とMRI装置のマルチモダリティ化検討1
3. 佐々木，荒井，阿部，仲本，窪田；2009日超医学術集会; 超音波診断装置とMRI装置のマルチモダリティー化検討Ⅱ
4. 阿部，荒井，仲本，窪田，佐々木; 2009日超医学術集会; 超音波治療のためのマルチモダリティナビゲーションシステムの開発Ⅰ