塩澤 克彦¹, 小川 眞広¹, 阿部 真久¹, 松本 直樹¹, 山本 敏樹¹, 廣井 喜一¹, 森山 光彦¹, 高山 忠利², 絹川 典子³, 杉谷 雅彦³

Katsuhiko SHIOZAWA¹, Masahiro OGAWA¹, Masahisa ABE¹, Naoki MATSUMOTO¹, Toshiki YAMAMOTO¹, Yoshikazu HIROI¹, Mitsuhiko MORIYAMA¹, Tadatoshi TAKAYAMA², Noriko KINUKAWA³, Masahiko SUGITANI³

¹駿河台日本大学病院内科, ²日本大学医学部付属板橋病院外科, ³駿河台日本大学病院病理

¹Department of Internal Medicine, Surugadai Nihon University, Tokyo, Japan, ²Department of Surgery, Nihon University Itabashi, Tokyo, Japan, ³Department of Pathology, Surugadai Nihon University, Tokyo, Japan

キーワード :

【目的】
造影超音波検査が開始し約10年間が経過し第二世代の超音波造影剤も出現し広く臨床で使用されるようになった．第二世代の超音波造影剤Sonazoidは，造影剤を非破壊で映像化することが可能であり，特に高周波プローブでも観察が可能なため詳細な血流情報が得られるようになった点がこれまでと大きな相違点と考えられる．実際の臨床の場では，肝腫瘤性病変のみが保険適応となっているがその際観察される胆嚢壁の血流情報もこれまでと異なり詳細な情報を与えてくれることが確認されている．そこで今回我々は，肝腫瘤性病変または転移性肝癌の精査目的でSonazoidを用いた造影超音波検査が施行された胆嚢隆起性病変の切除症例について造影検査の結果と組織学的所見の検討を行なったので報告する．
【方法】
対象は，2007年1月〜2009年12月までの2年間に駿河台日本大学病院において肝腫瘤性病変並存胆嚢疾患に対してSonazoidを用いた造影超音波検査が施行された切除症例30症例とした．使用装置：GEヘルスケア社製LOGIQ7，E9，使用探触子9L，造影方法：sonazoid0.015ml/kgまたは0.5ml/bodyの急速静注で行い撮影はCPI （Coded phase inversion mode），またはphase inversionのTissue harmonicを用いた．
【結果】
病理組織所見で胆のう癌4症例（m癌1例，SS癌3例），慢性胆嚢炎17例，胆嚢腺筋腫症1例，コレステロールポリープ5例，過形成ポリープ1例，胆石13症例である．いずれの隆起性病変も造影効果を認めるもののこれまでのLevovistの造影と異なりSonazoidの造影は，フレームレートが早くさらに高周波プローブによる詳細な観察が出来る点で明らかに優れていた．造影検査は，内腔の腫瘍部の形態を的確に描出し，漿膜の変化を詳細に観察できるため胆嚢癌の漿膜外浸潤判定をより確実なものとするため癌の診断や深達度診断に役立つことが推測された．
【まとめ】
胆嚢疾患は腫瘍性病変のほかに炎症性病変の頻度も高く，確実に偽病変と腫瘍性病変の鑑別を行なえる点で造影超音波検査は優れていた．またSonazoidを用いた造影検査はこれまでとは異なり高フレームレート，高分解能な造影検査を可能とし診断能の改善に貢献すると考えられた．今後装置の改良や造影剤の保険適応の拡大によりさらに有用な検査法になりえると思われた．