Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2010 - Vol.37

Vol.37 No.Supplement

ワークショップ
ワークショップ1
消化器疾患におけるInterventional Sonography

(S252)

超音波ガイドによる肝癌の強力集束超音波治療(HIFU)

HIFU therapy with US guiding for hepatocellular carcinoma

佐野 隆友, 今井 康晴, 山田 幸太, 祖父尼 淳, 森安 史典

Takatomo SANO, Yasuharu IMAI, Kouta YAMADA, Atushi SOFUNI, Fuminori MORIYASU

東京医科大学病院消化器内科

Hepatology, Tokyo Medical University

キーワード :

【目的】
肝細胞癌に対する治療法は,外科手術,ラジオ波熱凝固療法(RFA),エタノール注入療法(PEIT),肝動脈塞栓療法(TAE)などが行われてきた.強力集束超音波(以下HIFU)は強力な超音波を1点に集束させ,非侵襲的に身体内部の目的部位の温度を上昇させる事が知られている.本邦では前立腺癌に対し経直腸プローブを用い,以前よりHIFU治療が行われてきた.しかし消化器領域では臓器の呼吸性移動,肋骨や胸骨の存在,消化管内のガス,治療時における皮膚熱傷等により,現在もその治療法の改善及び工夫が求められている.今回我々はHaifuning Gaoqiang Ultrasound Technology社製FEP-BY02を用い,25例の肝癌症例に対し超音波ガイド下にHIFU治療を行ったので報告する.
【方法】
FEP-BY02は超音波の集束角度が80度と広角である為,皮膚を通過する際の集束超音波密度が低下し,疼痛や熱傷といった合併症を軽減する事が可能である.その為治療時は麻酔薬,鎮痛薬をほぼ必要とせず患者とのコミュニケーションをとりながら治療行う事が可能である.標的となる治療部位は通常B-Mode観察プローブで良く観察の後,治療器本体トランスデューサー(発射器)中央に設置されたB-mode超音波診断プローブにより観察,決定される.焦点は3mm×3mm×10mmの大きさでそれを並べる事により線や面,立体を構築し治療を行っていく.FEP-BY02は上下2つのトランスデューサーを有し,病変部位に応じて選択するが,腹部領域では上部のトランスデューサーを用いる事がほとんどである.上部のトランスデューサーにはシリコンのカバーが付いておりその中に脱気水を満たし治療にあたる.上部のトランスデューサーを用いる事で,脱気水により臓器が固定され,治療部位に対するイメージを容易につけることが出来る.治療の前処置は禁食のみとし,治療直前に肋骨を発泡スチロールでマスキングした.1セッションの治療時間は1時間30分程度,出力は500〜1800wの間で調節,診断用超音波でリアルタイムに観察しながら患者の呼気又は吸気にあわせて目標部位にHIFUを照射.1回の照射回数は1〜5回,照射時間は500〜2000msecとした.治療の条件は全て自由に設定出来,病変の大きさ,深さ,皮下脂肪の厚さ等に応じ設定を変更した.1例に対し2〜10セッションの治療を行い,治療終了後に造影超音波,造影CTにより治療効果判定を行った.
【成績】
25例中18例で治療域の血流欠損像を認め,治療効果を認めた.8例で照射時の軽度疼痛を認めたのみで,重篤な合併症は認めなかった.治療効果良好な例では術中にCavitasionを観察する事が可能であった.
【結語】
FEP-BY02は,治療モニターがリアルタイムに行えることから,より安全で確実なHIFU治療を可能にする.