Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2009 - Vol.36

Vol.36 No.Supplement

一般口演
循環器:その他1

(S352)

MRSA肺炎の予後と心エコー各指標についての臨床的検討

The clinical examination between the prognosis of MRSA pneumoniae and echocardiography.

小山 徹

Toru KOYAMA

四天王寺病院内科

Internal medicine, Shitennoji Hospital

キーワード :

【目的】
MRSA肺炎の予後を推定する因子の一つとして,心エコー各指標の有用性について検討する.
【方法】
当院において平成19・20年度に喀痰から初回にMRSAが検出された入院肺炎患者を抽出し,それぞれの症例に関してretrospectiveに検討した.
【結果】
90症例(年齢54〜100歳,平均84歳,男性45症例・女性45症例)を救命できなかった群(『死亡』群)と救命しえた群(『生存』群)に分け,年齢・腎機能(sCr・BUN・eGFR推定値(MDRD簡易式))・肝機能(AST・ALT・T.Bil.)・代謝指標(TCh・TG・血糖値)・白血球数・CRP・赤血球数・Hb・Ht・血小板数・BNP・NT-pro BNPとともに,心エコー指標(AoD・LAD・AvD・IVSth・PWth・LVDd・LVDs・EF・FS・E/A・DT・LV TEI・RV TEI・RVD・IVC)について,F検定にて解析した.死亡率は男性が53.3%・女性が48.9%であった.『死亡』群・『生存』群間で年齢分布に有意差を認めなかった.sCr・FBS・NT-pro BNPにおいて『死亡』群が『生存』群よりも有意に高い傾向を示した.CRP・白血球数に関しては,両群間で有意差を認めなかった.心エコー指標では,LVDsについて『死亡』群が18〜45mm・『生存』群が21〜39mm,EFにおいて『死亡』群が31〜87%・『生存』群が52〜83%と,『生存』群が『死亡』群よりも有意に高い傾向を示した.他の指標は,各指標において,『死亡』群・『生存』群の順でAoD:24〜42mm・21〜38mm,LAD:21〜44mm・13〜48mm,AvD:7〜20mm・11〜22mm,IVSth:5〜13mm・5〜12mm,PWth:6〜13mm・6〜13mm,LVDd:25〜54mm・29〜53mm,FS:15〜56mm・27〜52mm,E/A:0.42〜1.54・0.43〜1.25,DT:117〜382ms・89〜389,LV TEI:0.14〜0.62・0.08〜0.54,RV TEI:0.23〜0.55・0.01〜0.58,RVD:9〜32mm・8〜29mm,IVC:9〜18mm・9〜15mmであり,両群間に有意差を認めなかった.
【考察】
今回の解析では,『死亡』群・『生存』群間において,一般的な炎症指標とされている白血球数・CRPについて有意差を認めなかった.肝機能や代謝指標に関しても有意差を認めなかった.腎機能においてはsCr値の上昇が,心エコーに関してはEF・LVDsの低下が予後不良を示唆すると考えられた.
【結語】
MRSA肺炎において,心エコーが予後推定の一助となる可能性が示唆された.