超音波検査(エコー検査)は、体内の臓器や組織の状態をリアルタイムに映して見ることができる検査です。妊娠中の女性や赤ちゃんの健康状態の確認、女性特有の病気の診断や病状経過観察に役立っています。産科・婦人科での超音波検査がどのように行われ、どのような目的があるのかについて、詳しくご説明します。
“産科” の超音波検査
超音波検査は、妊婦さんや胎児の健康状態を確認するために広く使用されています。痛みがなく、放射線も使用しないため、簡便で安全な検査です。産科では、以下のような目的で行われます。
1. 妊娠確認
妊娠が成立したことを確認するために、超音波検査は非常に重要です。最初の検査では、妊娠週数を推定し、胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)が子宮内に正しく存在しているかどうかを確認します。また、妊娠8〜11週ころの胎児の大きさを観察することで、出産予定日がより正確に決定できます。
2. 妊婦健診での通常の超音波検査(胎児の成長の確認)
通常の妊婦健診では、胎児の心臓が動いているかどうか、成長や発育の状況、推定体重、胎児の向き(頭位または骨盤位など)、胎盤の位置、羊水量などをチェックします。この検査は通常5〜10分程度で、胎児の形態異常が偶然発見されることもあります。

3. 胎児精密超音波検査(妊婦さんの希望がある場合に行います)
生まれつき赤ちゃんがもっている疾患を先天性疾患と言います。胎児に先天的な疾患がないかどうかを確認するために、通常超音波検査よりも時間をかけて(約30分程度)胎児の体のつくりや動きを細かく観察します。出生前に胎児の状態や疾患などの情報を得ることで、生まれてくる赤ちゃんの状態に合わせた最適な分娩方法や療育環境を検討することを主な目的に行われます。
4. ドプラー法を使用した血流の測定
妊娠中期以降、胎児や胎盤の血流状態を評価するために「ドプラー法」を用いることがあります。ドプラー超音波法は、血液の流れによって生じる音の変化を測定し、胎児や妊婦の血流の状況をリアルタイムで観察できます。胎盤機能や胎児の酸素供給状態を評価する場合や、妊娠高血圧症候群や胎児発育遅延のリスク評価する場面で利用されています。
“婦人科” の超音波検査
婦人科では、女性生殖器や周囲の臓器の状態を知るために超音波検査を行います。主に以下のような目的で使用されます。
1. 子宮や卵巣の状態の確認
子宮や卵巣に異常がないかをチェックするために使用されます。例えば、子宮筋腫、子宮内腔のポリープや腫瘍(がん)、卵巣の腫大、などが見つかることがあります。
2. 月経異常や痛みの原因の調査
月経不順や過多月経、下腹部の痛みなどがある場合、その原因を調べるために超音波検査を行うことがあります。子宮や卵巣に原因がみつかれば、治療につながります。
3. ドプラー法を使った血流評価
婦人科でも、ドプラー法を使って臓器の血流を観察することがあります。例えば、卵巣の腫瘍や子宮の病変が疑われる場合、血流の状態を評価することで、良性の腫瘍と悪性の腫瘍を区別するための手助けになります。
超音波検査のメリット
- 痛みがない:超音波検査は体に負担が少なく、痛みを伴わないため、安心して受けることができます。
- 放射線を使用しない:X線やCTとは異なり、放射線を使用しないため、妊婦さんにも安全です。
- 迅速で簡便:検査自体が比較的短時間で終わるため、負担が少ないです。
検査の流れと準備
超音波検査は、体表面からの検査と、腟や直腸などの体腔からの検査に分かれます。妊婦さんや婦人科の患者さんが受ける際は、診察の目的に応じて検査方法が決まります。
体表面からの検査(腹部超音波)
ベッドに仰向けで寝てもらい、お腹にゼリーを塗って、専用のプローブをお腹の上で動かしながら観察します。膀胱に尿を貯めているほうが観察しやすい場合と、逆に貯まっていないほうが観察しやすい場合とがあります。

経腟超音波
腟にプローブを挿入すると、子宮や卵巣に近接して観察できるため、より精細な画像をもとに診断できます。少し違和感があるかもしれませんが、痛みはほとんどありません。
経直腸超音波
経腟超音波検査が難しい場合は、直腸にプローブを挿入して子宮や卵巣を観察することがあります。

検査を受けるうえでの注意事項
- 経腹超音波検査や経腟超音波検査の前に、食事や普段内服しているお薬を制限する必要はありません。
- 婦人科の超音波検査では、膀胱に尿がたまっている状態のほうが見えやすい場合と、排尿して膀胱が空の状態のほうが見えやすい場合があります。検査前に、医師または看護師の指示をご確認ください。
- 検査では、お腹を出したり、下着を外したりする場合があります。脱ぎ着しやすい服装で来院されるとスムーズです。

まとめ
産科と婦人科の超音波検査は、女性の健康管理においてとても有用です。妊娠中の女性や胎児の健康状態の確認、女性特有の病気の診断に欠かせない検査です。超音波検査は、痛みがなく放射線も使用しないため、安全で効果的な方法として広く用いられています。定期的な検査や早期の受診で、より健康な生活を送るためのサポートが得られますので、気になる症状があればぜひ一度検査を受けてみてください。
