心臓弁膜症とは

心臓には、血液の流れを一方向に保つ「弁(大動脈弁・僧帽弁・三尖弁・肺動脈弁)」があります。弁膜症は、この弁がうまく開かない(狭窄)/きちんと閉じない(逆流)ことで、心臓に余計な負担がかかる病気です。加齢に伴う変性(石灰化)で起こるものが多く、感染性心内膜炎、リウマチ熱の既往、先天的な形の異常などが背景になることもあります。

どんなときに疑うか

弁膜症は初期に無症状のことも少なくありません。一方で進行すると、息切れ、疲れやすさ、動悸、むくみ、胸の痛み、失神などが出ることがあります。健康診断や診察で「心雑音」を指摘され、精密検査として心エコーが行われるケースも一般的です。

心エコー(心臓超音波検査)とは

心エコーは、超音波を使って心臓の形や動き、弁の状態、血液の流れを調べる検査です。胸にゼリーを塗り、プローブ(超音波を出す機器)を当てて観察します。通常の検査は20分程度で行われることが多く、放射線を使わないため被ばくの心配がありません。
弁膜症の評価では、心エコー検査が最も基本的かつ中心的な検査となることが多いです。 心エコー検査では心臓の形やサイズに加えて、血液の流れる方向を色で表示する(カラードップラー)ことができ、狭窄や逆流している血液の流れを視覚的に捉えることができます。

弁膜症に関して、心エコーでわかること

心エコーでは、弁膜症について次のような点を評価します。

  • どの弁が悪いか(大動脈弁/僧帽弁/三尖弁/肺動脈弁)
  • 狭窄か逆流か(あるいは両方か)
  • 重症度(軽症・中等症・重症の目安)
  • 原因・仕組み(弁の変形・石灰化、弁を支える組織の異常、心臓の拡大に伴う二次性の逆流など)
  • 心臓への影響
    ・心臓の大きさ、壁の厚さ
    ・血液を送り出す力、拡張の状態
    ・肺高血圧の合併の有無 など

これらは、治療が必要か、薬で経過をみるか、手術やカテーテル治療の適切なタイミングはいつかを考える根拠になります。

追加で行われることがある検査

弁膜症の評価をより詳しくするため、状態に応じて次の検査が選ばれます。

  • 経食道心エコー(TEE):口から細いプローブを入れて心臓を近くから観察します。逆流の原因を詳しく調べたいとき、感染性心内膜炎の評価などで行われます。
  • 運動負荷心エコー/薬物負荷心エコー:運動や薬で心臓に負荷をかけ、症状が出る状況で弁膜症の影響を評価します。

※これらの“特殊な心エコー検査”では、通常の心エコーと違って食事制限など追加の注意が必要になることがあります。

検査を受けるときの注意

  • 服装:胸を出しやすい服がスムーズです(ワンピースやボディスーツは避ける)。
  • 薬:通常の心エコーでは、普段の薬は基本的に問題になりにくいとされています。
  • 緊急で行うこともある:胸痛や強い息切れなどがある場合、状況によっては緊急で心エコーを行うことがあります。

心エコーの特徴(メリットと限界)

  • 放射線を使わないため被ばくがない
  • 体への負担が少ない
  • 心臓の動きをリアルタイムに観察できる
  • ただし、肺や肋骨の影響で見えにくい部分が出ることがあります

受診の目安

  • 心雑音を指摘された
  • 息切れ・むくみ・動悸・胸痛・失神がある
  • 以前に弁膜症と言われたことがあり、最近症状が変化した

このような症状がでたら、かかりつけのお医者さんに相談し、必要に応じて循環器内科で心エコーを受けることを検討しても良いでしょう。