健康診断の腹部エコーで「脂肪肝」を指摘される人は増えています。脂肪肝は、肝臓の細胞に中性脂肪がたまっている状態です。一般成人の約2〜3割にみられるとも報告され、決して珍しくありません。
原因は大きく2つあり、(1)お酒が原因の「アルコール性脂肪肝」と、(2)食べ過ぎ・運動不足に関連する「非アルコール性脂肪性肝疾患」があります。

近年は病名が整理され、代謝の異常を背景とする脂肪肝は「MASLD(代謝機能関連脂肪性肝疾患)」、炎症が強いタイプは「MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)」と呼ぶようになっています(従来のNAFLD/NASHに相当)。
脂肪肝そのものは症状が出にくい一方で、放置することで肝臓に炎症が起きて肝臓が硬くなっていき、肝硬変や肝がんにつながることがあります。特に線維化が進んだ方は肝がんのリスクが上がるため、”いま肝臓がどれくらい硬いか”を早めに評価することが重要です。

エコー検査でわかること
脂肪肝を見つける上で重要なのは腹部のエコー検査です。脂肪肝では血液検査(AST、ALT、γ-GTPなど)が高値の場合もありますが、正常値のこともあり、血液検査だけでは見落とされることがあります。
腹部エコーは、体の表面から超音波を当てる検査で、痛みがほとんどなく放射線被ばくもありません。肝臓に脂肪がたまると肝臓が白っぽく見え、脂肪が増えるほど、深部や血管が見えにくくなります。エコーでの見え方から「軽度・中等度・高度」などの目安をつけます。さらに肝臓の形状や表面の凹凸がないかをチェックしていきます。
脂肪肝を指摘されたら、まず確認したいこと
健康診断などで脂肪肝を指摘されたら、まず次のことを確認しましょう。
- エコー検査の結果:判定(経過観察か要精検か)
- 血液検査の結果:肝機能(AST、ALT、γ-GTPなど)、特にALT
- 生活習慣病:糖尿病・脂質異常症・高血圧・肥満の有無
病院に相談する目安
次のような場合は、早めに内科(できれば消化器内科)へ相談しましょう。
- エコーで「要精検」と判定された。
- 肝機能異常(AST、ALT、γ-GTPなど)が高値
※(奈良宣言2023)健診でALTが30を超えていたら、まず“かかりつけ医”に相談し、原因検索と必要に応じた専門医での精査につなげることが提案されています。 - 糖尿病、脂質異常、高血圧、肥満などの生活習慣病がある
- お酒をよく飲む/休肝日がほとんどない

※「Chronic liver disease: CLD」
慢性肝臓病の英語のChronic(慢性)+Liver(肝臓)+Disease(病気)の頭文字をとってCLD(シーエルディ)と呼称しています。肝炎ウイルスや脂肪肝、アルコール、免疫異常等の何らかを原因として肝臓が長期にわたり炎症とその修復機転で起こる線維化によって肝臓が持続的な障害を生じている状態で、進行すれば肝硬変といった肝臓の機能不全状態や肝がんの成因となり得ます。
日本肝臓学会「奈良宣言2023」関連資料より
医療機関で行うこと
血液検査で、肝炎ウイルスなど他の肝機能異常の原因がないか確認します。肝臓の硬さをみる検査(エラストグラフィー)を行い肝硬変に至ってないか精査します。
今日からできる生活習慣のポイント
- 食事:甘い食べ物・飲み物は控え、揚げ物や脂っこい料理を控えめに。野菜・海藻・きのこなどの食物繊維の多い食べ物を意識して食べましょう。間食や夜遅い時間の食事にも注意。
- 運動:まずは「息が少し弾む程度」の運動から始めましょう。継続することが大事です。
- 飲酒:飲酒量を減らし、休肝日を設けましょう。
- 体重:7%の減量で脂肪肝は改善すると言われています。急激な減量を避け、無理のないペースで少しずつ頑張りましょう。
※最終的な判断は、医師が検査結果や体質・既往歴などを含めて総合的に行います。
※Metabolic dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease: MASLD
※Metabolic dysfunction-Associated Steatohepatitis: MASH
