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座長: 高野 真澄 (福島県立医科大学)
39-1 【一般演題】 加齢,肥大,拡張不全における左房容積と左房スティッフネスの変化
1仙台医療センター 循環器科, 2仙台医療センター 臨床検査科
健常心筋が加齢や心肥大(LVH)から拡張不全(DHF)まで進行する際に左房容積(LAV)と左房(LA)スティッフネスがどの様に変化するか不明である.方法: 心筋症,弁膜症,冠動脈疾患の患者以外の洞調律,LVEF>50%の患者53例を50才未満の健常者(young N, 11),50才以上の健常者(old N, 11),LVH(10),DHF(19)に分類した.リアルタイム3D心臓超音波検査を行いてLAV動態を解析した.E/E'を(最大LAV-最小LAV)/最大LAVで除した値をLAスティッフネスとした.最小LAV係数(min LAVI),E/e',LAスティッフネスを4群間で比較した.LA拡張末期圧容積関係の指標として,min LAVI-E/e'関係をプロットした.【結果】min LAVI-E/e'関係はyoung N,old N,LVH,DHFの順に右上方へシフトした.LAスティッフネスは,それぞれ16±7,20±4,34±9,55±21(p<0.01)と有意に上昇した.【結論】加齢,肥大,拡張不全の順に左室充満圧,LAV,LAスティッフネスが増大する.
39-2 【一般演題】 左房容積と左房スティッフネスが心不全における肺動脈収縮期圧に関与する
1仙台医療センター 循環器科, 2仙台医療センター 臨床検査科
この研究の目的は,TRPGの増大に対して左心室と左心房がどの様に関わっているかを明らかにすることである.方法: リアルタイム3D心臓超音波検査を行った87例(年齢63±17才,LVEF 57±18%,BNP494±740 pg/ml)を対象とした.心房細動,僧帽弁疾患患者は除外した.NYHA II/III/IVを示す慢性心不全(CHF)患者数は23/18/5人であった.Q-LAB解析ソフトを用いて左房容積(LAV)動態を解析した.E/E'を(最大LAV-最小LAV)/最大LAVで除した値を左房スティッフネスと定義した.TRPGを目的変数とし,年齢,LVEF,左室拡張末期容積,E/E',左室重量係数,最大左房容積係数 (max LAVI),左房スティッフネスを説明変数としてステップワイズ法を用いた重回帰分析を行った.結果: TRPGは0.30 × max LAVI + 0.10 × 左房スティッフネス+13.1によって近似された(r=0.61,p<0.01).結論: LAVと左房スティッフネスがCHF患者における肺動脈収縮期圧に関与する.
39-3 【一般演題】 くも膜下出血発症時の左室壁運動低下分布について
1地方独立行政法人 秋田県立病院機構 秋田県立脳血管研究センター 循環器内科, 2きびら内科クリニック 循環器内科, 3秋田大学大学院医学系研究科 医学専攻, 機能展開医学系 循環器内科学・呼吸器内科学 循環器内科学
【目的】当院にくも膜下出血を発症された方を対象に,心臓の壁運動低下部位の分布について検討した.【方法】2001年から2008年に,くも膜下出血を発症し当院に入院され,入院時心エコーを施行しえた141例で左室壁運動低下の有無,分布について検討した.【結果】壁運動低下が無い例は114例,たこつぼ型心筋症様壁運動低下が10例,後下壁に見られる例が8例,逆たこつぼ型心筋症様所見や前壁,心尖部に限局した例が9例存在した.それぞれ全体の81%,7.1%,5.6%,6.3%となった.前述の9例のうち,後下壁にも強く壁運動低下がみられる3例が含まれ,この3例を後下壁の壁運動低下例に含めると11例となり,7.8%を占める割合となった.【結論】くも膜下出血発症時に同時にみられる左室心筋壁運動低下は,たこつぼ型心筋症様所見が特徴的であるが,後下壁に限局して見られる例も多く存在する可能性が示唆された.
39-4 【一般演題】 組織パルスドプラ法を用いた左室機能の評価 −健常例での検討−
1市立秋田総合病院 超音波センター, 2市立秋田総合病院 循環器内科, 3きびら内科クリニック 循環器科, 4秋田大学 医学部循環器内科分野
組織パルスドプラ法を用いた左室機能評価としては,拡張能指標のE',収縮能指標のS'などが挙げられるが,その測定には局所心筋機能の影響のより少ない部位が望まれる.我々は大動脈弁僧帽弁繊維性接合(弁間繊維三角: IVFT)における評価が適当と考え,IVFTと従来の測定部位との各指標の差異について検討した.健常例25名を対象とし,E'およびS'をIVFT,僧帽弁輪中隔側: MAS,僧帽弁輪外側: MAL,左室中間部中隔: LVSにて測定し,比較検討した.E'はIVFTとMAS間に有意な差を認めなかったが,MALでは両者に比し有意に高値となった.S'もIVFTとMAS間に有意な差を認めなかったが,MALではIVFT,MAS,LVSに比し有意に高値となり,LVSではIVFT,MASよりも有意に低値となった.組織パルスドプラ法を用いた左室機能の評価においては,測定部位による差を考慮する必要があると考えられた.
39-5 【症例報告】 右室心尖部ペーシングによる心機能低下にたいして両心室ペースメーカーにアップグレードを行った際に,VV delayの調節が心機能改善に有効だった一例
1宮城県立循環器・呼吸器病センター 循環器科, 2宮城県立循環器・呼吸器病センター 検査部
症例は70歳台男性.平成18年10月に徐脈性心房粗動を指摘され,当科初診した.他院にて心房粗動にアブレーションを施行され,心房粗動は停止したが完全房室ブロックとなり,ペースメーカーDDD植込を必要とした.術後UCGはLVDd44 mm,EF78%であった.平成21年4月近医から心不全にて紹介入院.UCGはEF19%(modified Simpson),LVDd77 mm,LVEDV233 ml,左室はswing motionを認め,MRはsevere.心不全軽快後のCAGで有意狭窄なし.LVGでMR2度.TEEでもM弁自体に変性は少なく,tetheringが原因と考えた.右室ペーシングが心不全増悪の要因であると考え,後側壁静脈に左室リードを,右室心尖部に右室リードを追加留置し2点ペーシングでCTRDへアップグレードした.術後UCGではVVdelay0ではLVはswing motionのままであった.VTIを指標にVVdelayをLVFast70 msに変更し,EF28→34%,VTI8.38→11.1と改善した.7ヵ月後のEFは50%,LVEDV144 mlとなり,reverse remodelingを認めた.
39-6 【症例報告】 右室内を占拠するように発達した巨大右房粘液腫の一例
1秋田大学大学院 循環器内科学・呼吸器内科学, 2きびら内科クリニック
症例は75歳,女性.約1年前から咳嗽およびCRP上昇が続き,2009年4月易疲労感および肝機能障害を認めたため当院を受診し,造影CTにて右室内に陰影欠損を認め精査のため入院となった.心エコー上,右心室を充満するように内部不均一な可動性を有する腫瘤を認め,腫瘤茎は心室中隔にあるように見えたが経食道エコーでも同定するには至らなかった.右房造影検査では,収縮期に右房内へ突出する右室内巨大腫瘤を認めた.採血上IL-6およびCA125が高値であった.全身PET-CTでは原発巣を示唆する異常所見は得られず,右室を起源とする腫瘍が疑われた.入院より約1ヶ月後,腫瘤摘出術が行われた.サイズは12.5 × 7.5 × 2.0 cm,茎は右房内にあり,病理組織学的検査にて粘液腫と診断された.腫瘍の一部が三尖弁中隔尖を巻き込んでいたため右室起源のように見えた右房粘液腫の一例を経験したので報告する.
座長: 西條 芳文 (東北大学)
座長: 谷川原真吾 (仙台赤十字病院)
39-7 【一般演題】 超音波信号の位相偏移・変化率の同時推定によるラテラル変位計測
1東北大学 大学院医工学研究科, 2東北大学 大学院工学研究科
【目的】近年,心臓の収縮の影響などにより頸動脈が径方向だけでなく長軸方向にも変位することが確認された.本報告では,長軸方向変位計測に必要なラテラル変位推定法について述べる.【原理】リニア走査により得られた超音波RF信号の振幅に,各深さでラテラル方向にヒルベルト変換を適用して解析信号を得る.フレーム間に対象がラテラル方向に移動すれば,受信超音波信号にはラテラル方向のずれが生じ,このずれ量に対応して解析信号に位相偏移が生じる.この解析信号の位相偏移および位相偏移と変位の対応関係(位相変化率)を,複素相関関数を用いて同時に算出してラテラル方向変位を推定する.【結果】図は各走査線における模擬血管後壁内に関心点を20点,0.05 mm間隔で設定し,自動ステージにより模擬血管に与えたラテラル方向変位を推定した結果である.従来のラテラル変位推定法に比べ提案法の推定精度が高いことが分かる.
39-8 【一般演題】 経胸壁心エコーを用いた左心耳壁運動速度の低下は,脳梗塞症例における左心耳内血栓形成の有用な予測因子である
山形大学医学部 内科学第一講座
左心耳機能評価の手段として経食道心エコーが確立しているが,より簡便な方法の出現が待たれている.今回,組織ドップラー法を用いて経胸壁心エコーにより左心耳機能評価が可能であるか検討した.当院へ入院した脳梗塞症例106例に対し経胸壁心エコー,経食道心エコーを行った.経胸壁心エコーによる左心耳壁運動速度(TTE-LAWV)は,大動脈弁レベル短軸像にて左心耳を描出し,組織ドップラー法を用いて測定した.TTE-LAWVは,左心耳内血流速度(LAA eV)正常群(52人)に比べLAA eV低下群(29人)および左心耳内血栓を有する群(25人)で有意に低値であった(13.8±5.7 vs. 10.0±3.4 and 7.5±1.9 cm/s,p<0.05).TTE-LAWVとLAA eVは有意に相関した(R=0.462,p<0.01).多変量ロジスティック解析では,TTE-LAWV低下(<8.7 cm/s)は独立した左心耳内血栓の予測因子であった(ハザード比 7.7倍,p<0.01).TTE-LAWVは簡便な左心耳機能評価指標として有用である.
39-9 【症例報告】 Stretched foramen ovaleを介し短絡血流増大を来したEbstein奇形の一例
1福島県立医科大学附属病院 検査部, 2福島県立医科大学附属病院 循環器内科
【症例】30歳女性.【現病歴】小学生時Ebstein奇形を指摘される.16歳時コントラストエコーにて心房中隔位の短絡血流を認めASDと診断されるが,心カテにてO2 step upなし.平成20年妊娠33週時,胸部X-P上心拡大,UCGにて重症TRと右房拡大を認めた.妊娠35週にて破水,陣痛時眼前暗黒感と児心音低下が出現,帝王切開にて出産した.この時胸水貯留を認めていた.平成21年8月,精査目的に当院紹介.UCG上Ebstein奇形と重症TR,著明な右心系拡大と 心房中隔位における左右短絡血流(Qp/Qs=2.3)を認めた.TEEにて心房中隔の小欠損孔と短絡血流,3DTEEにて心房中隔の三日月型の間隙が観察され,stretched foramen ovaleと診断した.現在外科的療法を念頭に精査中である.【考案】本症例はEbstein奇形に伴う経時的な右房拡大によるstretched foramen ovaleを介し短絡血流が増大,妊娠時に心不全を来したと考えられた.その診断・病態評価に3D TEEが有用であったので報告する.
39-10 【症例報告】 心筋梗塞後心筋内解離を合併した二症例
秋田大学大学院 循環器内科学
症例1; 85歳女性.回旋枝心筋梗塞発症後,心エコーおよび造影CTにおいて,左室後壁心内膜断裂,同部位で左室内と交通する心筋内血腫を認め,仮性心室瘤と診断した.心不全治療後,左室瘤壁補強術が施行された.術中所見では,瘤壁には心筋層が一部残存しており,心筋内解離より仮性心室瘤に至ったものであった. 症例2; 82歳女性.後下壁梗塞発症後の心エコーで,梗塞部位から始まり,チャネル様に後壁自由壁筋層内-右室へとつながる心筋内解離腔が形成されていた.その解離腔を通り左室から右室へ流入する異常血流も確認され,梗塞後左室右室交通症と診断した.緊急に外科的処置を行うも多臓器不全のため救命できなかった.剖検所見では心室中隔は保持されるも,心エコー同様,後下壁梗塞部位から筋層に沿って後下壁自由壁内を解離し,右室へと交通した解離腔を認めた.梗塞後心筋内解離とくに左室右室交通症を合併した例は稀であり,ここに報告する.
39-11 【一般演題】 当科におけるCAOS(chronic abruption oligohydroamniosis sequence)の管理について
福島県立医科大学 産婦人科
緒言: 産婦人科領域における常位胎盤早期剥離は,急速遂娩を要する急性型と発症から児娩出までの期間が7日間を超えて経過する慢性型に大別される.慢性型のうち分娩の7日以上前から出血源が同定できない性器出血を呈し,はじめは正常量あった羊水が破水の兆候なく羊水過少に至るものをCAOSという.本邦においてはCAOSに関する検討は充分になされてはいない.対象: 2003~2009年における当科での常位胎盤早期剥離例を検討対象とし,常位胎盤早期剥離の症例を急性症例・慢性症例の二つに分類し,それぞれの常位胎盤早期剥離に固有の性質を探った.さらに慢性早剥におけるCAOSに関しての検討を行い,常位胎盤早期剥離の発症素因や病態について検討した.結果: CAOSの管理上,超音波が最も有用であった.今回当科におけるCAOS症例14例を含め,その典型的な臨床像を示すとともにその管理を検討する.
39-12 【一般演題】 胎児診断された脊髄髄膜瘤21例の超音波所見の検討
1宮城県立こども病院 産科, 2宮城県立こども病院 脳神経外科
【目的】開放性の二分脊椎である脊髄髄膜瘤は出生後早期の手術が重要であり,胎児診断のための超音波所見を検討した.【方法】2004年からの6年間で経験した21例の脊髄髄膜瘤の胎児例を対象とし,その超音波所見,胎児MRI所見をレトロスペクティブに検討した.【結果】全例が脳室拡大,水頭症を指摘され,平均で妊娠32.1週に紹介された.超音波所見のみで脊髄髄膜瘤の確定診断に至ったのは80%程度であり,胎児MRI検査により全例での診断が可能であった.脊髄髄膜瘤ないしはキアリ奇形の超音波所見としては,脳室拡大,小頭症,小脳欠損ないしは大槽閉鎖は高頻度で認められたが,レモン徴候(前頭骨異常),バナナ徴候の同定率は低かった.【結論】全例が他院からの紹介例であり,胎児脳室拡大が顕在化する妊娠後期に紹介時期がずれ込む傾向があった.前頭骨異常やバナナ徴候に着目すればより早期からの超音波診断が可能と考えられる.
座長: 小松田智也 (秋田赤十字病院)
39-13 【一般演題】 膵臓におけるVirtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)の使用経験
秋田大学医学部付属病院 内科学講座 消化器内科医学
組織の固さを知る方法として,収束超音波パルスの音響放射圧を用いた生体組織内の微妙な変位の程度から情報を得るVirtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)がある.現在この手法による膵臓の測定の報告は少ない.本法の使用経験を通じて若干の知見が得られたので報告する.膵臓疾患のない17例を対象とし,膵臓のVTTQ測定条件を肝臓を介した場合と胃壁を介した場合との二群に分け,値のばらつきを比較した.膵臓でのVTTQ測定値は1.247~3.497(mean 1.796)で,ばらつきを示す変動係数は肝臓を介した場合は15.4±5.8,胃を介した場合は36.3±21.1と測定時に肝臓を介した条件下で値の変動幅が小さかった.(Mann-Whitney検定 p<0.05)膵臓でVTTQを測定する場合は,肝臓を介する方が値のばらつきが小さいと考えられた.
39-14 【一般演題】 Acoustic Structure Quantification(ASQ)を用いた慢性肝疾患肝実質定量化の試み
1岩手医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科分野, 2岩手医科大学 臨床検査医学講座 中央臨床検査部
【背景】エコー信号のレイリー分布からの逸脱度を分散値で評価し,生体内音響的特徴量を定量化するASQを用い,慢性肝疾患の肝実質定量化を試み,その有用性を検討した.【対象・方法】対象はC型慢性肝炎(CH)20例,C型肝硬変(LC)20例,単純性脂肪肝(SS)25例,NASH7例.使用機種はAplio XG.Speckle SignalのCm2Histogramにおけるピーク値(Cm2値)を測定結果とし,背景因子,臨床診断,血液検査値,線維化stageと比較した.【結果】Cm2値の平均値は,CH: 121.8±20.5,LC: 132.4±21.8,SS: 95.7±15.8,NASH: 106.8±16.2で,LCはCHより有意に高く,SSはNASHより有意に低値を示した.CHとLCの診断に関するAUROCは0.845でCm2値はPlt,Alb,T-Bil,PT,HA,stageと有意な相関関係を認めた.NASHとSSの診断に関するAUROCは0.801であった.【結語】ASQはLCとCHを層別化し肝機能や線維化stageとも相関関係を示し,SSやNASHの診断や定量化における有用性が示唆された.
39-15 【一般演題】 肝臓におけるReal-time tissue elastographyの使用経験
1市立横手病院 内科, 2秋田赤十字病院 超音波センター, 3日立メディコ 超音波担当
【はじめに】Real-time tissue elastography(以下RTE)は,心拍動による肝組織の変位の大きさを画像化している.肝臓をRTEで観察した使用経験を報告する.使用装置: 日立社製Preirus.【対象と方法】対象は正常肝20例,臨床経過で明らかな肝硬変5例の計25例.方法は肝右葉前上区域(S5),前下区域(S6),および肝外側区域をRTEで観察し,再現性のある画像が得られたかどうか超音波に習熟した2名で判断した.ROIは肝表面から約1 cmの深さ,内部に血管が入らないよう設定した.【結果】S5では,25例中21例で再現性のある画像が得られた.得られなかった4例は,数秒の息止めが困難な例であった.S6では,S5よりも場所の選定に苦慮した.肝外側区域では横方向からの心拍動を受け安定した画像を得るのが難しかった.【考察】RTEはS5での観察が,心拍動が安定して深部から伝わり,安定した画像が得られた.
座長: 小玉 哲也 (東北大学)
39-16 【一般演題】 局所心筋の2次元運動の高フレームレート計測
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻
相関関数によるスペックルトラッキング法における2次元相関窓幅について,これまで定量的な検討が十分に行われていない.本報告では,相関窓の形状を2変量正規分布とし,超音波ビームの焦点距離における音圧分布の半値幅(ラテラル方向: Δl,深さ方向: Δd)を用いて正規分布のラテラル方向と深さ方向の標準偏差を±2(α・Δl,α・Δd)と定義した.図(1)に示すように,変数αを0.2から2.0まで変化させ,シリコーン板の推定変位と真値の差で表される二乗平均平方根(RMS)誤差ε(α)が最小となった窓幅(7.0 × 4.8)[mm](深さ: 50 mm)を最適値とした.心室中隔壁左室側(図(2)赤線)の2次元変位を推定すると,R波直後に心尖方向に収縮し,心基部側から右室方向に移動(図(3-a))し,R波から20 ms後に心基部方向に移動(図(3-b))することがわかった.
39-17 【一般演題】 心臓壁の瞬時心筋速度と厚み変化の計測
東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻/医工学研究科
【はじめに】我々は心臓壁の心筋速度の空間分布を胸壁から計測し,心電図Q波から心I音継続時間に,心基部・心尖部間を速度成分が複数伝搬する様子を可視化した(Ultrasound Med Biol 2009;35:382).本報告では瞬時厚み変化を高時間分解能で計測した結果を示す.【原理】心臓壁の速度の超音波計測で電気的興奮/心臓弁の閉鎖で生じたパルス状振動波形を検出する.この波形の20 Hz成分の瞬時位相の空間分布を時系列的に並べ中隔壁に沿った波の伝搬を可視化する.さらに速度分布の空間勾配から瞬時厚み変化を表示する.【実験結果】健常被験者の心室中隔に心尖アプローチを適用した結果,図のようにQ波での速度分布の変化開始点から収縮が開始しているが,S波からI音の継続時間には収縮が一時停止し,その後,収縮して駆出期を形成している.収縮は深さ方向に均一ではなく,通常のMモードの低輝度部分に対応し収縮の大なる部分がある.
座長: 長沼 裕子 (市立横手病院)
39-18 【症例報告】 ソナゾイド造影超音波検査が有用であった膵悪性リンパ腫の一例
1秋田赤十字病院 消化器内科, 2秋田赤十字病院 放射線科, 3秋田赤十字病院 病理部, 4秋田赤十字病院 外科
はじめに: 今回我々は膵尾部腫瘍として発見され,膵癌との鑑別に造影超音波検査(CEUS)が有効であった非ホジキンリンパ腫(NHL)の一例を経験したので報告する.症例: 60歳代男性.3年前に左頚部に限局したNHLの診断で放射線治療をうけている.経過観察の腹部超音波検査で膵尾部に4 cm大の低エコー病変を認めた.カラードプラで内部に脾静脈の血流を認め,CEUSでも比較的均一に造影された.しかし,単純CTでは等〜低吸収域の病変で,造影CTでは乏血性であった.MRCPで膵管尾部は虫食い状になる.症状はなく採血でも異常なし.CTでは血流はっきりしなかったが,CEUSで均一に造影されたことと,脾静脈の途絶を認めなかったことより,膵癌よりリンパ腫が強く疑われた.膵尾部切除を行い,診断はB細胞リンパ腫となる.3年前に採取した頚部リンパ節の標本と同様の組織であった.まとめ: CEUSが診断に有効であったNHLの症例を若干の文献的考察を加えて報告する.
39-19 【症例報告】 造影超音波法が診断に有用だった悪性リンパ腫の一例
1仙北組合総合病院 臨床検査科, 2仙北組合総合病院 消化器科, 3仙北組合総合病院 内科, 4秋田赤十字病院 超音波センター
はじめに: 造影超音波検査が診断に有用であった悪性リンパ腫の一例を報告する.使用診断装置: 東芝社製Xario XG(中心周波数3 〜 4 MHz)なお造影超音波の手順に関してはsonazoidを用い通常の肝腫瘍に対する手順に準じた.症例: 70歳,男性.発熱を主訴に当院受診.血液生化学データでは軽度肝機能異常を認めた.腹部超音波検査では右上腹部に8 × 9 cmの巨大な腫瘤を認め,造影超音波検査では腫瘤内に微細な血管構築が均一に認められ全体として多血性腫瘤であった.この所見から悪性リンパ腫を最も疑い,開腹下に腫瘤生検施行,large B-cell typeの悪性リンパ腫と最終診断され,現在化学療法中.まとめと考察: 以前より悪性リンパ腫は既存の血管構築を破壊することなく腫瘤を形成することが知られており,今回の所見も基本的にはそれに合致するものと思われ,本法は悪性リンパ腫の診断に有用と期待される.
39-20 【一般演題】 肝転移の検出における造影超音波の問題点
1秋田組合総合病院 臨床検査科, 2秋田組合総合病院 消化器科, 3秋田赤十字病院 超音波センター
はじめに: 造影超音波検査の普及に伴い,肝転移の拾い上げに本法が極めて有用である事は多く報告されてきた.転移巣の検出の実際的な手順として,造影剤注入約30分後に肝全体を観察することにより,Kupper細胞を欠く転移巣が無染域として表現される事からこの時相のみをチェックするだけで十分であるとも報告されてきた.今回造影超音波検査を施行した肝転移例36例中2例(共に大腸がんからの肝転移)において上記の時間に転移巣がむしろ不明瞭になる現象 が見られた.これらの症例の時相毎の造影超音波所見を提示し,本法における問題点について検討した.使用機種: 東芝社製AplioXG,XV.超音波造影剤はsonazoidを用い,検査手順は通常の肝腫瘍のそれに準じた.まとめと考察: 肝転移例においては転移巣の血行動態と周囲肝のそれのバランスにより,ある短い時相においては明らかな抜けとならない事も十分想定され,造影超音波法による一問題点と思われた.
39-21 【症例報告】 確定診断にソナゾイド併用EUSが有用であったpancreatic hematomaの一例
岩手県立久慈病院 内科・消化器科
【症例】44歳女性.【既往歴】平成12年〜AIH.【現病歴】朝食後に突然心窩部痛を自覚した.【画像検査】USでは,膵鉤部から膵頭部にlow echoic lesionを認めた.造影CTでも同部位にlow density massを認め,massの内部には淡いhigh density areaも認めた.MRIのT2WIではcystic massはhigh signalとlow signalが混在し,内部には蛋白や出血成分があると考えた.Hematomaやabcessを考えたが確定までは至らなかった.採血上では炎症反応が高値であった。翌日EUSを施行.膵鉤部 〜 膵頭部に周囲膵組織と境界明瞭なcystic massあり.内部には血腫と思われるhigh echoic lesionあり.ソナゾイド併用にてhigh echoic lesionの内部に血管と思われる輝度の上昇を認めた.膵動脈瘤の破裂による膵血腫と診断した.採血上で貧血の進行も認めたため,腹部血管造影施行.PSPDの分枝の末梢にpsedo aneurysmを認め同部位をcoilで塞栓した.その後貧血の進行なく,腹痛も消失した.
39-22 【一般演題】 門脈逆流の造影超音波所見
1由利組合総合病院 臨床検査科, 2秋田組合総合病院 臨床検査科, 3市立横手病院 内科, 4秋田赤十字病院 超音波センター
はじめに: 造影超音波検査の普及に伴い,各種疾患の造影超音波所見が報告されつつつあるが,肝腫瘍のそれに比して僅少でさらなる蓄積が求められている.我々は,門脈逆流例3例の造影超音波所見を,正常例と対比させ動画を中心に提示する.使用診断装置: 東芝社製: Aplio XG,アロカ社製: Prosoundα10.造影法の手順は,ソナゾイドを用い,肝腫瘍の場合に準じた.対象: ドプラ法で肝内門脈に逆流を認め,腫瘍や血栓の合併が無かった3例(M:F=2:1)である.全例アルコール性肝硬変で,1例は肝全体で,2例は肝右葉のみの逆流(門脈左枝: 順流(1),to-and-fro(1))で,1例に門脈瘤(肝門部)を伴っていた.結果: 逆流部門脈は動脈濃染後約20秒後に,2例では一気に,1例ではまばらに造影された.逆流部末梢の肝組織に造影のムラは無く動脈血流で末梢組織の循環動態はかなり補正されていると思われた.
座長: 藤森 敬也 (福島県立医科大学)
39-23 【症例報告】 妊娠8週で診断した無心体双胎の一例
仙台赤十字病院 産婦人科
無心体(acardiac twin)は一絨毛膜性双胎の特殊型で,頻度は35,000出生に1例程度といわれている.健児(pump twin)は子宮内で心不全となるリスクが高く,無治療では50~75%が死亡する.今回我々は超音波断層法により妊娠8週で無心体と診断した症例を経験したので報告する. 症例は23歳2妊1産の女性で妊娠診断を目的に前医を受診した.GS内に正常胎児と次第に増大する腫瘤様エコー像を認め精査目的に妊娠8週で当院紹介となった.当院初診時の超音波検査でGS内には心拍動を認めるCRL16 mmの正常胎児とそれよりも大きな腫瘤様エコー像を認めた.腫瘤の内部は浮腫状で一部に肋骨様構造を認めた.また腫瘤につながる臍帯と思われる二方向性の血流を認めたが,この心拍は健児の心拍と同期していた.これらの所見より無心体と診断し患者および家族に説明したが,患者は積極的な胎児治療等は望まず人工妊娠中絶を選択した.
39-24 【一般演題】 超音波診で片側性の脳室拡大を示す胎児の予後について
1宮城県立こども病院 産科, 2宮城県立こども病院 脳神経外科
【目的】胎児の脳室拡大は何らかの脳の発生異常を示す所見であることが多いが,まれに片側性ないしは非対称性の脳室拡大を呈することがある.こういった所見を示す児の予後についてまとめた.【方法】2004年から6年間で経験した片側性ないしは非対称性脳室拡大9例を対象とし,その超音波所見,胎児MRI所見,および出生後の経過についてレトロスペクティブに検討した.【結果】一側のみの軽度脳室拡大が4例あったが,いずれも出生後経過にまったく問題を認めなかったため正常変異と考えられた.両側の側脳室拡大で一側のみが中等度以上の非対称性拡大を示したのは5例あった.その中で脳室内出血が2例,サイトメガロウイルス感染疑いが1例,原因不明が3例であり,いずれも出生後の治療を要した.【結論】片側性の脳室拡大でも他側が正常である場合は特に問題がないが,両側の拡大で非対称性をしめすときは出血などの原因精査が必要である.
座長: 鈴木 眞一 (福島県立医科大学)
39-26 【症例報告】 皮膚科領域の超音波診断 −異物検出における有用性−
1秋田組合総合病院 臨床検査科, 2秋田組合総合病院 消化器科, 3秋田組合総合病院 皮膚科, 4秋田赤十字病院 超音波センター
はじめに: 異物検出における超音波検査の有用性に関し,代表例3例を供覧し報告する.使用機種; 東芝社製AplioXG,XV.症例1: 80歳代男性,転倒時の皮膚損傷あり.超音波検査にて右前腕損傷部の体表より5 mmの深さに線状高エコーが見られ,これが樹枝に相当した.その後自然排出された.症例2: 70歳代男性,コンパネ(木材)の棘で皮膚損傷あり.超音波検査にて左第II指に15 mmの線状高エコーが見られ,木片と診断.切開術でコンパネを摘出した.症例3: 50歳代女性,転倒時の皮膚損傷あり.超音波検査にて右第III指に3 mmの線状高エコーが見られ,薔薇の棘に相当.皮膚切開し摘出した.まとめと考察: 皮膚は高周波プローブを用いる事により直接観察が可能な箇所であり,今後画質の向上に伴い更に超音波が多用されると期待される.特に異物は線状高エコーとして明瞭に表現されるため,その有無を判定するのに超音波検査は極めて有用である.
39-27 【症例報告】 術前超音波診断が有用であった甲状腺埋没副甲状腺腺腫の一例
1福島県立医科大学 乳腺・内分泌・甲状腺外科, 2福島県立医科大学 低侵襲・先端治療科
症例は70歳代男性.原発性副甲状腺機能亢進症(以下PHPT)疑いにて当科紹介初診し,高Ca血症,iPTH高値を認めた.超音波検査B-modeで,甲状腺左葉上極の背側,甲状腺との境界に線状高輝度エコー有し,甲状腺に埋没する18.8 mmの低エコー結節を認めた.門部血管と思われる血流シグナルを認め,エラストグラフィーでは,甲状腺よりも軟に描出され,Grade 1,strain ratio 0.70であった.99mTc-MIBIシンチでも結節に一致した部位に遅延相で残存する集積亢進を認めた.以上より甲状腺埋没副甲状腺腺腫の診断にてメチレンブルー併用副甲状腺切除術を施行した.左葉の上極に副甲状腺疑いの結節@(340 mg)とその背側にほぼ完全に甲状腺に埋没している結節A(1110 mg)を摘出した.病理診断は,結節Aが副甲状腺増殖性病変であり,他に腫大腺がなく左上副甲状腺腺腫によるPHPTと判断した.
39-28 【一般演題】 超音波検査の習得・向上に重要なのは何か −日本超音波検査学会東北地方会アンケート集計から−
青森労災病院 検査科
【はじめに】超音波検査(以下US)の現状把握目的で,日本超音波検査学会(JSS)東北地方会で技師対象にアンケート調査を行った,その中でUSの習得・向上に際し重要なのは何かを分析し報告する.【実施】2009年4月 〜 5月に配布・回収.【結果および考察】習得に最も重要となったのは腹部,心臓領域で‘医師の指導’頸動脈,下肢動脈では‘施設研修’となったが,施設研修受け入れを公表できる施設が少なかった.向上に際しどの領域でも‘学会,研修会や講演への参加’‘医師とのカンファレンス等の院内教育’が重要となった.US教育体制の見直しも考慮すべきである.<企画>JSS東北地方会委員(村上和広 山下安夫 山寺幸雄 千葉祐二 田嶋育子 久保田政昭 小林希予志 佐藤務 嶋村賢司 藤田雅史 熊谷明広 大橋泰弘 秀城雅之 大平美佳 大江雅宏 高橋経寛 加藤芳浩 松田美津子)
39-29 【一般演題】 超音波診断報告書抄録作成の指導について
1秋田赤十字病院 超音波センター, 2秋田組合総合病院 臨床検査科, 3市立横手病院 内科, 4大原総合病院 生理検査, 5中通総合病院 生理検査課, 6市立秋田総合病院 循環器科
日常の超音波検査の中心的な役割を果たしている検査技師のレベルアップを目的として,日本超音波医学会では,1985年から毎年(年一度)超音波検査士認定試験を実施している.その受験資格として,”超音波診断報告書(超音波検査実績)”を20例に関して作成が義務付けられている.この報告書は1例について2ページが割り当てられ、受験生が作成したものを学会の指導医(または専門医)が添削指導後サインをすることも義務つけられている.A)指導医としてこの制度にどう向かい合えばいいのか?B)どうすれば受験生に診断力向上に繋がる本当の力をつけさせることが出来るのか(報告書に見られる不適切な記載など,の是正)?を長年指導をしてきた経験(全体の合格率88/90(98%))を検討し若干の知見を得たので報告したい.
座長: 千田 信之 (仙台医療センター)
39-30 【一般演題】 十二指腸の超音波検査 −走査法と疾患代表例−
1秋田赤十字病院 超音波センター, 2市立横手病院 内科, 3秋田組合総合病院 臨床検査科
【はじめに】腹部超音波検査が一般スクリーニングに多用されるようになり,合理的なトレーニングと教育がさらに大きな意味を持ち始めている.従来消化管に関しては胃と大腸が中心で十二指腸に関してはあまり述べられていなかった.今回我々は下記のような検討を行い,日常検査の走査法を考える上で示唆に富む結果が得られたので報告する.【対象と方法】健常人20名について,1).通常の上腹部走査法(通常法)と,2).プローブを回転させ胃液を十二指腸に送り膵頭部を囲む方法(額縁法)の十二指腸描出能を比較した.【使用診断装置】東芝社製 AplioXG.【結果】1).通常法: 球部(4/20,20%),下降脚(2/20,10%),水平脚(0/20,0%),2).額縁法: 球部(15/20,75%),下降脚(9/20,45%),水平脚(4/20,20%)であった.【まとめ】額縁法を加味することで十二指腸の観察が高率に可能となる.額縁法を動画で提示し,次いで代表的疾患を供覧する.
39-31 【一般演題】 Dual Dopplerを用いた門脈波形の検討
1市立横手病院 内科, 2市立横手病院 臨床検査科, 3秋田赤十字病院 超音波センター, 4仙北組合病院 臨床検査科, 5日立メディコ 超音波部門
【はじめに】我々は,門脈波形の呼吸による変化を除く,主に心拍による起伏と肝静脈や肝動脈波形との関係を,ドプラ波形を2箇所で同時に表示可能なdual Doppler(以下DD)を用い検討したので報告する.【対象と方法】正常肝25例,肝機能異常のない脂肪肝4例の計29例を対象に,DDを用い一画面上に@右門脈と右または中肝静脈,A右門脈と右肝動脈,を軽い吸気時の息止め間に表示し検討した.門脈波形は便宜上,a)全く起伏のみられない波形を無相性,b)小さい山と谷の部分がある波形を2相性,c)山の部分が2箇所以上ある波形を多相性とした.使用装置日立Preirus.【結果】門脈波形が無相性0例,2相性20例,多相性9例であった.門脈が2相性の場合は肝静脈波形の振幅が小さく,多相性の場合は大きかった.門脈波形が多相性の場合,肝静脈波形を上下反転した形状と類似していた.【考察】門脈波形の起伏は肝静脈波形に多く影響を受けていることが考えられた.
39-32 【一般演題】 3Dプローブを用いた右上腹部の観察
1秋田赤十字病院 超音波センター, 2市立横手病院 内科, 3秋田組合総合病院 臨床検査科, 4仙北組合総合病院 臨床検査科
はじめに: 近年のコンピューター技術の進歩に伴い超音波画像の立体表示(3D)が腹部超音波診断の場にも利用されつつある.しかし,実際の診断に用いられるのは3Dプローブの自動走査で習得されたraw dataを加工したもので,その基盤となる多数枚の画像そのものではない.しかし,この多数枚の自動習得画像は,a)短時間に得られ,b)等間隔であることから,ある領域を満遍なくチェックするには有用と期待される.今回我々はこの自動走査が胆嚢頚部,胆嚢管,肝外胆管,領域の観察にどの程度有用であるか検討したので報告する.使用装置: 東芝社製: Aplio XG.方法: この部の小病変(3 mm以下)20例を,通常走査と自動走査を用い,指導医と検査暦3年の技師で比較した.結果: 指導医は,通常(19/20:95%),自動(20/20,100%),技師は,通常(7/20:35%),自動(13/20,65%)と自動走査を加味することで診断能が向上した.
39-33 【症例報告】 門脈による車軸状血管構築を示した高分化肝細胞癌の一例
1市立横手病院 臨床検査科, 2市立横手病院 内科, 3秋田赤十字病院 超音波センター
【はじめに】門脈による車軸状血管構築を示した高分化肝細胞癌の一例を経験したので報告する.使用装置: 日立社製EUB8500.【症例】80歳代男性.72歳時レンメル症候群で胆管切除時,HCV抗体陽性が判明.その後経過観察のUSで,肝S7に約2 cm,境界比較的明瞭,内部均一な高エコー腫瘍を認めた.造影USで,動脈相では染影されず,門脈相で腫瘍中央部に門脈枝が入り込み,そこから車軸状に枝分かれする様子が観察された.後血管相では周囲と同様の染影を認めた.肝細胞癌を否定できず腫瘍生検施行,高分化肝細胞癌の診断であった.RFAを施行し,経過観察中.【考察】時間軸で造影所見を詳細に観察することにより,門脈による車軸状の血管構築であることが理解できた.動脈血流が低下し,門脈血流が保たれている段階として,高分化肝細胞癌として矛盾しない所見であるが,動脈による車軸状血管構築であるFNHと混同しないよう注意する必要がある.
39-34 【症例報告】 11年間経過観察できた膵癌の例
1仙台社会保険病院 内科, 2仙台社会保険病院 超音波検査室
【はじめに】11年間USで膵癌の発育過程を観察し,病理学的に膵癌と確定診断がついた症例を経験したので報告する.【症例】79歳女,HD症例USスクリーニングで,膵嚢胞(1.5 cm,1997年3月19日)の経過観察中,次第に膵嚢法が増大し,嚢胞内に充実性腫瘍の発生(1 cm,2003年4月2日,嚢胞経過観察6年後),IPMTと診断した.膵嚢胞・内部腫瘍が次第に増大,死亡した.観察期間は膵嚢胞11年,嚢胞内腫瘍5年間.【剖検】(2008年8月5日): 膵癌(粘液性嚢胞性腫瘍,膵管内乳頭腫瘍およびその浸潤像)【まとめ】膵嚢法をUSで検出後,嚢胞内に腫瘍が発生し,膵癌と診断後5年後に他臓器転移で死亡し,その発生過程が観察できた.膵嚢法は膵癌の危険因子とされ,年1回のUSでのfollowが必要と考えられた.
39-35 【症例報告】 無症状で発見された十二指腸乳頭部癌の一例
1松園第二病院 消化器科, 2松園第二病院 検査科, 3松園第二病院 放射線科, 4埼玉県立がんセンター 消化器外科, 5埼玉県立がんセンター 病理
症例は72歳女性.2009年1月より高脂血症のため当院通院中.同年5月定期検査でT-bil1.2 mg/dl,AST 42IU/l,γ-GTP72IU/lと軽度の異常を認めた.腹部超音波検査(US)で総胆管11~14 mm,主膵管4.1 mmと拡張像を認め,上部内視鏡検査で十二指腸乳頭部に表面凹凸不整な腫瘤を認め生検で高分化型腺癌,埼玉県立がんセンターへ紹介.CT: 膵管の軽度拡張,乳頭部に18 × 13 mm大の結節影,冠状像で内腔へ突出する腫瘤像を認め,EUS: 乳頭部にφ2 cmの腫瘤,主膵管5~3 mmと拡張し,主膵管末端周囲に低エコー部の拡がりを認め乳頭部癌panc1と診断.MRI・MRCP: 総胆管13 mm,主膵管5 mmと拡張し,T1W1にて乳頭部に13 × 11 mmの輪郭明瞭な結節影を認めた.以上より乳頭部癌panc1と診断され6月膵頭十二指腸切除術を施行した.病理診断は露出腫瘤型の十二指腸乳頭部癌14 × 13 × 10 mm,tub1>tub2,n0,panc1a,du1β,StageIIであった.