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座長: 高橋 敦史 (福島県立医科大学)
38-1 【症例報告】 診断に苦慮した多発性脾腫瘤の一例
1福島県立医科大学付属病院 検査部, 2福島県立医科大学付属病院 消化器・リウマチ膠原病内科学講座
【症例】37歳,男性【既往歴】4歳,7歳時に肺炎【現病歴】平成19年8月,過敏性肺臓炎の診断で当院呼吸器科入院.ステロイド治療が開始され以後通院加療.平成21年3月,胸部CTで脾臓に多発するLDAが認められ,精査加療目的に消化器内科受診. 腹部USで脾腫と脾内に多発する辺縁不整で境界明瞭な腫瘤が認められた.内部は無〜低エコーで,隔壁構造を有し,血流も認められた.腹部造影CTでは境界明瞭で内部に隔壁を有し,緩やかに造影される腫瘤であった.同年4月27日,超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)目的に同科入院.翌日EUS-FNAが施行され, 好中球を豊富に含み凝血塊に混じる壊死組織が認められた.悪性細胞は認められなかった.炎症性偽腫瘍が疑われたが確定診断には至らなかった.手術が考慮されたが,縮小傾向で現在経過観察中である.【結語】診断に苦慮した多発性脾腫瘤の1例を経験した.画像的に示唆に富むと思われ,若干の文献的考察を含め報告する.
38-2 【症例報告】 術後8年で巨大嚢胞状肝転移を来した小腸GISTの一例
いわき市立総合磐城共立病院 消化器科
症例は49歳,男性.平成21年4月中旬より微熱,6月17日に全身倦怠感,18日より腹痛が出現し,近医を受診したところ感冒の診断で内服薬を処方されたが改善なく,20日他医を受診.肝右葉に巨大なmass,炎症反応が高度であったため,肝膿瘍の疑いで紹介された.既往歴は41歳時に,小腸肉腫で手術歴あり.血液検査では,白血球11000,CRP26.68.腹部USでは,肝右葉にsolidな部分と隔壁を伴うcysticな部分のある巨大腫瘤を認め,血流信号はみられな かった.CTでは,単純でhigh densityとlow densityの部分があり,造影効果はみられなかった.8年前の小腸肉腫の肝転移,嚢胞性腫瘤,嚢胞内出血の鑑別のため肝腫瘤生検を行ったところ,GISTの肝転移が疑われ,肝右葉切除を行った.病理学的には,c-kit,CD34陽性であり,GISTの肝転移であった.小腸肉腫8年後に発見され肝膿瘍と鑑別を要した巨大嚢胞状肝転移を来たしたGISTの1例を経験し,貴重な症例と考え報告する.
38-3 【症例報告】 体外式USが診断契機となった巨大壁外発育型胃GISTの一例
1松園第二病院 消化器科, 2松園第二病院 放射線科, 3松園第二病院 臨床検査室, 4岩手県立中央病院 消化器外科, 5岩手県立中央病院 病理診断センター
49歳男性.平成21年5月腹痛を主訴に当科受診.USで左上腹部に15 cm以上の内部エコー不均一,血流豊富な腫瘤像を認め,入院.WBC9,100/µl,CRP 0.48 mg/dl,γGTP 107 IU/l,PT 13.1 sec,FDP7.5 µg/ml, D-D4.3 µg/ml.CTで不整形に造影され血管に富む部位と壊死の混在する胃腫瘍が疑われた.MRIも同様の所見.GIF・胃XPで体部大弯の軽度圧排像と粘膜肥厚像のみ.以上より巨大な壁外発育型胃GISTと診断し岩手県立中央 病院消化器外科へ紹介.胃部分切除・腫瘍摘出術施行.肉眼的に20 x 15 x 9 cm弾性軟充実性腫瘍,一部胃に付着,栄養血管は大網より出,血流豊富,重量1,430 g.組織学的に円形 〜 類円形の核を有する多角形細胞の密な増生からなり,変性・壊死・出血を伴う.一部で胃壁(固有筋層)と連続.核分裂像平均7.4個/50HPF(最大14個).免疫組織学にc-kit(+),vimentin(+)で,胃GIST,高リスク群と診断された.切除断端陰性.n(-)
38-4 【症例報告】 EUS-FNABにて術前確定診断可能であった下行結腸GISTの一例
岩手県立久慈病院 内科・消化器科
【症例】74歳 女性【既往歴】HT,HL【現病歴】近医でのCFにて下行結腸に狭窄を認め精査,加療目的に紹介された.【画像検査】CFにて下行結腸に表面平滑,一部発赤,糜爛を伴った粘膜下腫瘍を認めた.腸管内腔は腫瘍により狭窄し内視鏡は通過不可であった.CTでは,同部位に腸管外にも発育した類円形の腫瘍を認めた.MRIでは,T1強調像,T2強調像ともに腫瘍の内部信号はlow intensityであった.CT,MRIともに周囲臓器との境界は明瞭であった.EUS では表面平滑,類円形の腫瘍から不整に突出する部位を認めた.EUS-FNAにて紡錘細胞の集簇を認めGISTと診断し手術を行った.腫瘍は腹膜を越えて浸潤し大腰筋まで及んでいた.現在,術後化学療法としてイマチニブによる加療を継続中である.【考察】EUS-FNAは専用機器が必要であること,深部大腸においては手技の困難さから一般的な診断法とはなり得ていないが,粘膜下腫瘍の確定診断を下せる有効な方法である.
座長: 千田 信之 (仙台医療センター)
38-5 【一般演題】 繰り返周波数変更装置の使用経験
1秋田赤十字病院 超音波センター, 2公立横手病院 内科, 3秋田組合総合病院 臨床検査科, 4東芝メディカルシステムズ
我々は本学会で多彩な累積多重,特に肝のう胞内に見られる“くも状エコー(以下CE)”について報告してきた.今回我々は繰り返し周波数(以下RF)変更装置(東芝社製AplioXGではIQenhancement)を用いCEの状態を検討し若干の知見を得たので報告する.尚,当装置では視野深度を変える事なく2種のRFが選択可能である.【方法及び結果】6例のCE(+)の肝のう胞に関し,RF変更させたところ,1,3例におい てCEの程度が軽減.2,従来行われていた視野深度を変更した場合と異なり,CEが完全に消失する事はなかった.【まとめと考察】視野深度,フレーム数および音線密度はトレードオフの関係にあり,従来累積多重を軽減または消失させる方法として,視野深度を変更させる事があった.今回用いたRF変更装置により視野深度不変のまま累積多重を軽減させる事ができた.今後更に多くのRFが選択できる事が望ましい.
38-6 【一般演題】 Volume navigation systemの使用経験
1秋田赤十字病院 超音波センター, 2秋田組合総合病院 生理検査, 3GE Healthcare
【はじめに】超音波検査の利点として他方向からの自由断面が容易に得られることが挙げられる.この利点は逆に位置認識が不明瞭になる危険性も内包している.今回我々は,この欠点を補うために開発されたvolume navigation systemを用い次のような印象を得たので代表像を供覧し報告する.【使用診断装置】GE health-care社LOGIQ E9・Bed横に設置した磁場発生装置とプローブに付着させたセンサーを用い 磁場内の位置認識をするものである.【印象】1,呼吸法を整えることにより誤差は数ミリ程度に留まった.2,これにより肝内小病変や膵尾部小病変を二重にカウントすることが防げた.3,超音波による観察に苦慮する左上腹部特に,膵尾部に関し前方からの観察点と肋間からの観察点を整合性させることが可能となり見逃し予防につながった.【まとめ】本法は超音波診断にとって重要な補助ツールになると期待される.
38-7 【一般演題】 基本波造影超音波法(Amplitude modulation) の使用経験
1秋田赤十字病院 超音波センター, 2秋田組合総合病院 生理検査, 3GE Healthcare
従来の造影超音波法は,造影剤から発生する二次高調波成分を可視化するものであった.しかし造影剤は基本波成分も増強させるため,この信号を可視化することも可能である.今回我々は増強した基本波成分をamplitude modulation法を用い表示する新手法に関し使用する機会を得たので報告する.【使用診断装置】GE health-care社LOGIQ E9.【対象と方法】肝腫瘍10例(HCC2例,肝転移2例,肝血管種6例)に 関しソナゾイドを用いた造影超音波所見を検討した.【結果】1,全例で明瞭な所見が得られ十分診断可能であった.特に動脈相の所見はきわめて明瞭に得られた.2,しかし後期血管相に関しては若干所見が不鮮明になる印象があった.3,従来法に比し画質が粗い印象があった.4,全時相を通し背景の組織情報を消去することが可能であった.【まとめ】さらなる改良により本法は新しい造影超音波法になりうると思われた.
38-8 【一般演題】 3D Color flow imagingの使用経験
1秋田赤十字病院 超音波センター, 2秋田組合総合病院 生理検査
近年のコンピュータ技術の進歩に伴い超音波画像の立体表示が可能となりつつある.我々はすでに本学会で腹水,胸水の3D像を報告してきたが,これらはBモード画像の3D表示であった.今回我々は,Bモードのうえに血流情報を3D化する新手法を用い次の印象を得たので報告する.なおこれらの装置では血流表示は速度表示,power表示共に可能である.【使用診断装置】GE health-care社 LOGIQ E9・東芝社製 Aplio XG.【得られ た印象】1,肝内血管系に関しては一次分枝程度まで走向が明瞭に観察できた.2,しかし血管の表示は短冊状で細かい壁の変化や血流異常に関しては判定困難である.3,膵周囲の血管系に関しては拍動の影響で同定困難であった.【まとめと考察】3D color flow imagingは現時点では試作の域をでないが,位置関係が複雑で疾患も多様な腹部血管系の診断の重要なツールになると期待される.
座長: 西條 芳文 (東北大学)
石田 秀明 (秋田赤十字病院)
38-9 【症例報告】 成人期に増悪を認めた大動脈弁下膜性狭窄の二例
1福島県立医科大学医学部附属病院 検査部, 2福島県立医科大学医学部附属病院 循環器内科
【症例1】30代女性.幼少期にECDにて,パッチ閉鎖術および僧帽弁形成術を施行された.平成20年心拡大を指摘され,当院入院.心エコーにて左室流出路狭窄(177 mmHg)と左室肥大,重度僧帽弁逆流を認めた.TEEでは線維性隆起構造物による左室流出路狭窄と大動脈二尖弁を認めた.大動脈弁下狭窄および僧帽弁閉鎖不全症の診断にて,膜様構造物切除術および僧帽弁形成術が施行された.【症例2】20代女性.大動脈弁下膜性狭窄(30 mmHg)にて10代後半まで経過観察. 平成20年12月より38°台の発熱と呼吸困難が出現し,当院入院.心エコーにて左室流出路狭窄(106 mmHg)と大動脈弁逆流,TEEにて大動脈弁下膜性狭窄と大動脈弁に疣腫を認め,感染性心内膜炎と診断された.大動脈弁・僧房弁置換術,大動脈弁下膜様構造物切除術が施行された.【考案】先天性大動脈弁下狭窄が成人期に増悪した2例を経験した.成人期以降の狭窄増悪例があり,定期的な経過観察の継続が必要である.
38-10 【症例報告】 右心不全にて発症し診断に苦慮した三尖弁前尖のEbstein病の一例
1済生会福島総合病院 検査部, 2済生会福島総合病院 内科, 3福島県立医科大学 循環器内科
今回我々は,三尖弁逆流の吸い込み血流の位置異常を参考に診断に至った三尖弁前尖のEbstein病の一例を経験したので報告する.【症例】58歳男性【現病歴および経過】平成21年1月下旬,息切れと下肢のむくみを自覚し当院を受診した.胸部X線で心拡大,心電図で心房細動を認め,心エコーにて著明な三尖弁逆流と右房の拡大を認め,右心不全の診断にて入院となった.経食道エコー,造影CTを施行したが,明らかな短絡血流は 認められなかった.2月下旬,心エコー再検にて三尖弁の吸い込み血流が右室中部に認められたため,三尖弁の構造を詳細に観察した.三尖弁は三弁ともに付着部位は三尖弁輪部であったが,前尖の弁尖は長く帆状を呈しており撚糸構造により右室心尖部側へtetheringされていた.Ebstein病と診断され外科的療法も考慮されたが,内科的治療で心不全が改善し,現在外来通院中である.
38-11 【症例報告】 出生前診断を行った短肋骨異形成症の二症例
東北大学病院 産婦人科
【はじめに】短肋骨異形成症は肋骨の著明な短縮を特徴とする骨系統疾患であり,生命予後を異とするいくつかの疾患を含む.今回予後が対照的な2例に遭遇し,胎児診断と周産期管理について重要な知見を得ることができた.【症例1】30歳.妊娠23週で胎児の大腿骨長短縮(-5.1 SD),心奇形,多指,羊水過多を認めた.極端な胸郭低形成により生命予後不良と推定した.胎児CTにより短肋骨多指症候群と診断.39週に自然分娩し,蘇生せずにそのまま看取りとした. 【症例2】26歳.妊娠29週で胎児の大腿骨長短縮(-3 S.D)を認めたが,胸郭低形成は軽度のため生命予後良好と推測された.胎児により窒息性胸郭異形成症と診断.39週自然分娩で出産し母児ともに退院した.【まとめ】超音波診のみではある程度の予後を推測できたが,正診は胎児CTによって初めて可能であった.被爆の問題もあるが超音波検査で胎児骨系統疾患を疑った際の胎児診断についてCTは考慮されるべきである.
38-12 【一般演題】 浮遊型下肢静脈血栓は肺塞栓症を伴う頻度が高い
1仙台医療センター 臨床検査科, 2仙台医療センター 循環器科
【目的】浮遊型下肢静脈血栓と閉塞型下肢静脈血栓のどちらが肺塞栓の存在と関連しているかを明らかにすること.【方法】2006年9月から2008年11月までの期間に施行された822例中,初回の下肢静脈超音波検査において新鮮な下肢静脈血栓を疑われ,胸部CT検査とDダイマー検査を施行し,ワーファリンを服用していなかった13例を対象とした.【結果】浮遊型下肢静脈血栓を有する7例中5例が肺塞栓を併 発していた.一方,閉塞型下肢静脈血栓を有する6例中1例が肺塞栓を併発していた.前者の肺塞栓合併頻度は後者のそれよりも有意に高値であった(p<0.05).Dダイマーはそれぞれ,26+/-18と16+/-27 µg/mlであり,両群間に明らかな優位差を認めなかった.【結論】浮遊型下肢静脈血栓は閉塞型下肢静脈血栓よりも肺塞栓を合併している頻度が高い.下肢静脈血栓の有無と共に性状を観察することが重要である.
38-13 【一般演題】 非観血的肝線維化診断におけるARFIの有用性
岩手医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
【背景】音響放射圧による組織の微細な変位より硬度判定を可能とした新技術であるAcoustic Radiation Force Imaging(ARFI)を用い,慢性肝疾患の肝線維化診断における有用性を検討した.【対象・方法】対象は健常人(NL)9例,C型慢性肝炎(CH)26例,C型肝硬変(LC)20例.男性20例,女性36例,平均年齢62.1歳.使用機種はSiemens Acuson S2000.肋間操作で肝表から2 cmにROIを設定し,せん断弾性波値(Vs)を5回測定した.平均値を臨床診断,血液検 査値,線維化ステージと比較した.【結果】(1)Vsの平均値は,NL: 0.9±0.2 m/s,CH: 1.3±0.4 m/s,LC: 2.6±0.9 m/sで群間差を認めた(p<0.001).(2)CHとLCの鑑別能ROC曲線を求め検討すると,AUROCは0.88で良好な結果が得られた.(3)Vsは,PLT,T-Bil,Alb,PT,HA,IV-7S,線維化ステージと有意な相関を認めた.【結語】ARFIは,CHとLCの鑑別に有用であり,Vsは肝機能や線維化の評価に有用な指標になり得る.
38-14 【一般演題】 右室心尖部ペーシング施行例における左室壁運動障害の経時的評価
秋田大学大学院 循環器内科学
【背景】右室心尖部ペーシング(RVAP)による心機能障害の原因として左室内同期不全が知られているが,左室局所壁運動異常に関しての系統的評価はなされていない.【目的】長期間RVAPによる心機能障害と左室局所壁運動異常の関連性を検討する.【方法】2000 〜 2003年にRVAPが行われた連続74名をRVAP割合>50%群と<50%群に分け,術後5年間心エコーによる心機能評価を行った.【結果】RVAP割合>50%群 では<50%群に比し,RVAP開始1年後よりWall Motion Score Indexが上昇し始め,3年後には有意な左室駆出率の低下,左室拡張末期径の増大,BNP上昇を認めた.局所壁運動異常は心尖部優位に出現し,上記心機能低下はRVAP割合とペーシング期間に依存していた.【結論】長期間RVAP施行例での左室壁運動異常は心尖部で多く出現し,心機能低下の一因となりうる.
座長: 鵜飼 克明 (公立置賜総合病院)
38-15 【症例報告】 造影エコーで経過を観察した黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)の一例
1市立横手病院 検査科, 2市立横手病院 内科, 3市立横手病院 外科, 4市立横手病院 放射線科, 5秋田赤十字病院消化器科, 6秋田大学 医学部病理病態医学講座
【はじめに】US,造影USで形成過程を観察したXGCの一例を経験したので報告する.【症例】70代女性.夕食後,腹痛嘔吐出現し当院入院.US,CTで胆嚢腫大し胆嚢頚部の小結石の嵌頓が疑われ,急性胆嚢炎と考え保存的加療で軽快.経過観察中,胆嚢壁は軽度肥厚を認め,造影USでは肥厚した壁に入り江様嚢胞状構造を認めた.約6週間後再び心窩部痛出現.胆嚢は境界不明瞭で著明な壁肥厚を認め,造影USでは肥厚した胆嚢壁が染影され,嚢胞状の陰影欠損部位を 多数認めた.胆嚢摘出術を施行しXGCの所見であった.【まとめ】XGCは著明な壁肥厚に加え周囲に炎症が波及することで画像上癌の浸潤と鑑別が難しいことがある.我々の経験した症例は形成過程を観察でき癌との鑑別に迷うことなく術前診断できた.壁肥厚は無症状の間も進行していた.造影エコーでは肥厚した壁に入り江状の多数の嚢胞状構造が見られ,RAS及び周囲の肉芽腫様構造物を示している可能性が考えられた.
38-16 【症例報告】 気腫性胆のう炎の二症例
1秋田組合総合病院 臨床検査科, 2秋田組合総合病院 消化器科, 3秋田赤十字病院 超音波センター
【はじめに】気腫性胆のう炎(以下EC)は比較的稀な疾患で,重篤な状態を引き起こす事から,早期発見,早期治療が重要である.今回我々は,超音波検査(以下US)にて移動するガス像を認め,ECと診断し得た2例を経験したので報告する.【使用機器】東芝AplioXG,XV【症例1】70歳代男性,右上腹部痛を主訴に来院.USで胆のう壁内及び内腔を移動するガスを認めECと診断入院,胆のうドレナージ(以下ERGBD)で軽快.【症例2】90歳代女性,一過性の腹部不快感 を主訴に来院.USで胆のう壁全体にガスが認められ,その一部が肝内に広がっていく様が動画で観察された.ERGBD施行し病状軽快.【まとめ】近年の画質の向上に伴い気泡の超音波診断能が飛躍的に向上している.本2例ではガスが移動していく様も観察可能であった.これは超音波の持つ時間分解能の良さによるものと思われる.今後このような“動的”超音波診断も,EC例の観察には大きな意義を持つものと思われる.
38-17 【症例報告】 造影超音波検査にて肝細胞癌が疑われた炎症性疑腫瘍の一例
1本荘第一病院 検査科, 2本荘第一病院 消化器科, 3本荘第一病院 外科
症例は,72歳女性.発熱を主訴に近医にて腎盂腎炎の診断で加療を受けたが,軽快しないため当院内科紹介.胸部CT検査にて肝腫瘍を指摘され,精査目的に消化器科入院となった.超音波検査で肝S4領域に2 cm × 3 cmの低エコー性腫瘤を認めた.腫瘤は不整形で内部エコー不均一,境界不明瞭であった.造影超音波検査で早期に腫瘤全体が濃 染され,後血管相で欠損像として描出された.以上より肝細胞癌が疑われ肝部分切除術(S4)が行われた.病理組織診断は炎症性疑腫瘍であった.本症の例は,MRI,CT検査上では肝血管腫が疑われた.しかしHBs抗原陽性で,HBV-DNA定量(Taq-ManPCR)が3.8 Logコピー/mlと高値であったため,確定診断目的にて手術施行となった.
座長: 江尻 豊 (福島労災病院)
38-18 【一般演題】 Acoustic Radiation Force Impulse(ARFI)の使用経験
秋田大学医学部付属病院 第1内科学
組織の固さを知る方法として,収束超音波パルスの音響放射圧を用いて生体組織内に微少な変位を与え,その変位の程度から組織の固さの情報を得るAcoustic Radiation Force Impulse(ARFI) Imagingが実用化された.今回我々はARFIの使用経験を通じて若干の知見が得られたので報告する.対象はARFIにて超音波検査が試行された9例である.肝S5領域とS3領域を5回ずつ測定し数値を比較した. 肝S3領域ではS5 領域と比べ分散が大きい傾向にあり,各領域で得られる数値に優位差がある症例もあった.これはS3領域では心拍動等の影響を受ける為と考えられる.以上の結果はARFIにおいては測定条件を一定にすることが必要であることを示唆する.ARFIによる肝線維化の評価法は,従来の非観血的な方法にとってかわる手法の一つになり得ると思われ,今後の新たな検討が待たれる.
38-19 【一般演題】 脾梗塞の造影超音波所見
1秋田組合総合病院 臨床検査科, 2秋田組合総合病院 消化器科, 3秋田赤十字病院 超音波センター
【はじめに】2007年1月より,第二世代超音波造影剤sonazoidが使用可能となり,安定した所見から多彩な応用が可能となってきている.造影超音波検査(以下CE)の主な利用法は肝腫瘍であり,脾梗塞のCE所見の報告は比較的少ない.今回我々は脾梗塞4例に関し,そのCE所見を検討したので報告する.【対象と方法】CT所見でも脾梗塞と診断された4例に関し,そのCE所見を検討した.なおCE法は肝腫瘍のそれ に準じた.【使用機器】東芝社製AplioXG,XV(中心周波数3 - 4 MHz)【結果】1,梗塞部は全血管相を通じ,境界明瞭な非染域として表現され,診断が容易に可能であった.2,4例中2例ではBモード画像上梗塞部は認識不能であった.3,超音波検査中に左上腹部の圧痛を認めたものは2例のみであった.【まとめ】従来Bモード画像の診断が困難であった梗塞早期の診断がCE法により容易となった.代表例を動画で供覧する.
38-20 【一般演題】 造影超音波を用いた胆道系の観察
1由利組合総合病院 臨床検査科, 2由利組合総合病院 外科, 3秋田赤十字病院 超音波センター
【はじめに】造影超音波検査の普及に伴いその多様な利用法が報告されてきている.今回我々は造影超音波を用いた胆道系の観察の可能性について検討し若干の知見を得たので報告する.使用機種: アロカ社製prosound α10,東芝社製アプリオXG【対象と方法】下記の胆道系の拡張を認めた症例を対象にソナゾイドを用いた造影超音波検査を行い,胆道系の描出能に関し検討した.(疾患内訳: 胆管結石3例,膵頭部癌2例,胃癌局所再 発3例,肝腫瘍1例,急性胆嚢炎1例,総胆管結石3例,リンパ節腫大1例,肝転移2例,膵腫瘤1例)【結果】(1)早期血管相では腫瘍内および肥厚した胆管壁の濃染状態などが観察可能であった.(2)後期血管相では胆管全体の走行状態が明瞭に観察可能であった.【まとめと考察】造影超音波法により動脈及び門脈が濃染される事により,併走する胆管が明瞭に表現され,後期血管相で胆道系全体を観察する事が可能であった.
38-21 【一般演題】 肝内門脈静脈短絡の原疾患について
1仙北組合総合病院 臨床検査科, 2仙北組合総合病院 消化器科, 3秋田赤十字病院 超音波センター, 4市立横手病院 内科, 5秋田組合総合病院 臨床検査科
【はじめに】肝内門脈静脈短絡(以下P-V shunt)は,以前は比較的稀な疾患と考えられたが,超音波検査時にカラードプラ検査の普及により,日常検査においてときに遭遇する疾患となっている.今回,我々は比較的多数例を検討し,臨床的特徴を再考し若干の知見を得たので報告する.使用機種: 東芝社製Aplio XV,XG,Xario XG,日立社製EUB-8500(中心周波数3 〜 4 MHz)【対象と方法】過去10年間に当院およびその関連施設で経験した肝内P-V shunt72例に関しその臨床的特徴について検討を加えた.【結果】P-V shuntの多くが原疾患を有さないものであり少数例として慢性肝疾患の合併,高度の心不全,オスラー病があげられた.造影超音波検査ではP-V shunt近傍では他の部位と同様に造影され,P-V shuntの存在は循環動体に大きな影響を与えなかった.
座長: 長谷川英之 (東北大学)
38-22 【一般演題】 心臓計測のための高速超音波イメージング
1東北大学 大学院医工学研究科, 2東北大学 大学院工学研究科
【背景】超音波断層法や超音波ドプラ法による血流動態や壁運動の評価は,心機能の評価に大変有用である.これら従来の診断に加え,近年,心機能・心筋性状の評価には,非常に短時間(10 ms程度)の心筋の収縮弛緩の遷移過程などを計測することが有用であることが分かってきており,そのためには500 Hz程度以上の高いフレームレートが必要である.【方法】従来のセクタ走査では,送信,受信とも集束ビームを形成するため,フレームレートは送信繰り返し周波数を走査線数で割ったものとなる.本報告では,送信には平面波を使用し,1つの平面波内に複数の受信集束ビームを形成することにより同じ走査線数を得るために必要な送信回数を減少させ,フレームレートを向上させた.【結果・結論】図は,生体ファントムの断層像である.ビー ムを偏向させると平面波の形成が難しいため,図の白破線内に描画領域が限られるが,フレームレート548 Hzを達成した.
図.生体ファントムのイメージング結果
38-23 【一般演題】 生体軟組織の弾性特性評価のための線状集束トランスジューサを用いた超音波加振によるひずみ計測
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻
本研究では,音響放射圧を用いて加振を行い,生じたひずみを超音波計測することで,生体軟組織の弾性特性を評価することを目指している.音響強度の安全基準が連続波では1W/cm2と定められており,これは音響放射圧では6.67 Paに対応し非常に小さい.この制約下で効率よく加振するため,線状に超音波ビームが集束するトランスジューサを新たに導入し,より効率的に軟組織内部に加振を行うための手法を提案 する.図に点状および線状集束トランスジューサを用いて加振周波数5 Hzでシリコーンゲルを加振し,発生したひずみ分布を計測した結果を示す.線状集束トランスジューサを用いた方が水平(x)方向に一様に音響放射圧が加わるため,ひずみが広域に亙って発生していることが分かる.本報告では,線状集束トランスジューサを用いた加振法の検討を行い,より広範囲にひずみを発生させられる可能性を示した.
図.(a)点集束トランスジューサと,(b)線状集束トランスジューサにより発生したひずみ分布の時間的変化(縦方向)
38-24 【一般演題】 心臓の超音波断層像における壁領域の自動同定
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻
超音波診断における心機能の評価法として,心筋ストレインやストレインレートの解析が有用な技術として示されている.これらの解析法を用いて心機能をリアルタイムで評価するためには,取得されるRFデータから解析対象となる心臓壁領域の同定を行うことが必要不可欠である.本報告では,超音波RFエコーから振幅二乗コヒーレンス関数と超音波後方散乱という二つの特徴量を抽出することで二変量分布を構成 し,K-Meansアルゴリズムに基づいてベイズ識別関数を設定することで心臓壁領域と心内腔領域を弁別する手法を提案する.ベイズ識別関数は,あらかじめ取得した心臓壁領域と心内腔領域の教師データを用いることにより設定する.本手法を図(a)に示される健常者の心エコー図の断層像に適用したところ,多変量分布において各領域を識別することで,図(b)に示すように心臓壁領域を高精度に同定することができた.
図.22才健常男性の左室長軸断層像において超音波ビームを8方向へスパース走査することで得られた (a)Bモード像,および(b)心臓壁同定結果(RV: 右心室,LV: 左心室,IVS: 心室中隔壁).
38-25 【一般演題】 時間分解能と空間分解能の向上を目指した心臓壁2次元変位計測法の検討
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻
心筋の2次元変位の推定法として,相関関数等を用いたブロックマッチングが現在主流である.しかし,相関係数を算出する際の重要なパラメータである関心領域の大きさ等の最適化は行われていない.また,算出された心筋速度のフレームレートは約200 Hz(= 1/(5 ms))程度である.しかし,心筋の収縮弛緩の遷移過程の中には10 msより短い時間内で起こる現象もあり,その遷移過程を連続的に観察するためには高 時間分解能計測が必要である.本報告では,図(a)に示すように,心臓からの超音波RF信号のフレームレート1024 Hzで計測した.また,模擬実験においてシリコーン板の変位を推定し,推定変位の二乗平均平方根誤差が最小となる関心領域を最適値と決定した.図(b)に示すように,決定した最適値(6.0 deg × 2.8 mm)を用いて,心臓壁2次元変位を計測した結果,一拍の局所変位を追従することが可能となった.
図.(a)超音波RF信号の高フレームレート収集によって取得した心室中隔壁のBモード断層像.(b)心臓壁の1心拍の2次元変位計測結果.
38-26 【一般演題】 動脈壁境界の自動検出法を用いた橈骨動脈壁粘弾性特性の超音波計測
1東北大学 大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学 大学院工学研究科電子工学専攻
循環器系疾患の主因である動脈硬化症は,血管の内側(内皮)から進行するとされている.さらにその初期段階では,血管中膜を構成している平滑筋細胞のタイプが変化することも報告されている.ゆえに,動脈硬化症の早期診断のためには,内皮細胞の機能や平滑筋の力学的特性の計測・評価が重要となる.本報告では,粘弾性特性計測において必要となる,変位・厚さ変化の追跡を行う境界(内腔−内膜境界(LIB),中 膜−外膜境界(MAB))の検出法について検討した.図は(a)橈骨動脈B-mode長軸像およびLIBとMABの検出結果と,(b)境界検出のために行った複素テンプレート(超音波波形)マッチングの結果である.本手法によって,反射強度が弱いLIBや散乱波が重畳したMABなどの検出が難しい境界を検出することができ,内中膜領域粘弾性特性計測における計測者間誤差の低減,および解析の自動化ができる可能性がある.
図.(a)橈骨動脈B-mode長軸像および内腔−内膜境界(LIB),中膜−外膜境界(MAB)検出結果.(b)複素テンプレートマッチング適用結果.
座長: 高野 真澄 (福島県立医科大学)
38-27 【一般演題】 Speckle tracking法によるRadial strainとLogitudinal strainは拡張不全において低下している
1仙台医療センター 循環器科, 2仙台医療センター 臨床検査科
【目的】左室駆出率が保持された心不全患者において,心筋収縮性が維持されているか否か不明である.我々はspeckle tracking法を用いて計測したstrainによって,拡張不全患者の局所心筋収縮性の評価を試みた.【方法】対象は安定した収縮不全5名と拡張不全2名,及び,心肥大3名,健常者4名である.左室駆出率はそれぞれ31±7,80±7,80±4,63±18%であった.Philips社製iE33と解析ソフトQ-Labを用いて,心室中隔と左室後壁における心内膜側と心外膜側の両者におけるradial strainとlogitudinal strainを計測した.【結果】拡張不全患者のradial strainとlogitudinal strainは,収縮不全患者のそれと同様の水準であり,左室肥大患者と健常者に比して低い値であっ た.【結語】speckle tracking法によるstrain解析は,左室駆出率では評価し得ない収縮性の異常を明らかにすることが出来る.
38-28 【症例報告】 経胸壁心エコーで三心房心が疑われた,巨大冠動脈静脈瘻の一例
1東北厚生年金病院 循環器センター 循環器科, 2東北厚生年金病院 循環器センター 心臓血管外科, 3東北厚生年金病院 臨床検査部
59歳男性.平成13年三心房指摘され経過観察となる.平成18年心臓カテーテル検査を施行.右冠動脈からgreat cardiac vein,右房へのシャント血流を認め右冠動脈静脈瘻と診断,シャント率は48%であった.この時点では手術希望なく経過観察となったが.平成21年5月敗血症を契機に心不全増悪を認め手術施行した.心拡大著しく,右冠動脈は2 cmに拡張し蛇行し,冠動脈の拡張は4AV付近で収束していた.この部位から冠静脈洞が拡大して右房に開口し右房側面は拡大した右冠動脈が圧排していた.冠動脈静脈瘻孔は約1 pあり結紮にて閉鎖,右冠動脈入口部8 oあり縫合で閉鎖させてSVG-4PDバイパス吻合した.僧帽弁,三尖弁形成術を同時に施行し手術を終了した.経胸壁心エコーで三心房心と考え,巨大右冠動脈静脈瘻と診断で きなかった1例を経験した.心エコー所見,カテーテル検査所見,実際の手術所見を比較し,文献的考察を加え報告する.
図.経胸壁心エコー四腔断面像
38-29 【症例報告】 僧帽弁裂隙(mitral cleft)による僧帽弁閉鎖不全症の一例
1宮城県立循環器・呼吸器病センター 循環器科, 2宮城県立循環器・呼吸器病センター 臨床検査部
症例は50歳代女性.平成12年検診にて心雑音を指摘された.UCGにて僧帽弁閉鎖不全症(MR)II度認め,定期フォローとなった.平成13年11月心臓カテーテル検査にてMR II度であった.平成17年5月を最後に通院していなかった.平成20年12月通勤途中に息苦しい感じが出現.ムカつく感じが持続するため当科外来受診.狭心症としては非典型的な症状であり,心電図変化も認めなかった.UCG上左室壁運動は良好でEF64%あったが,前尖から後方へ向かうsevere MR を認めた.左室短軸像にて拡張期に僧帽弁前尖がハの字のように見えることからmitral cleftが疑われた.平成21年1月心臓カテーテル検査にて冠動脈に有意狭窄は認めず,MR III度を認めた.経食道超音波にて僧帽弁前尖A1とA2の中央部に裂隙が明瞭に描出された.2月僧帽弁形成術を施行しえた.今回僧帽弁裂隙による僧帽弁閉鎖不全症を経験し,3D超音波での観察及び手術まで観察することが出来たのでこれを報告する.
38-30 【一般演題】 前立腺エコーにおける良悪性5段階分類の有効性について
1宮城県立がんセンター 臨床検査技術部, 2宮城県立がんセンター 泌尿器科
【はじめに】当院泌尿器科では,前立腺エコー検査(経直腸走査)において,臨床検査技師が補助的業務(超音波記録とレポート作成)を行っている.レポートには医師の要望により,前立腺癌に対する独自の良悪性5段階分類(Impression 5 〜 1)を示している.良悪性5段階分類の有効性について検討した.【対象と方法】対象: 平成20年1月 〜 21年3月に,PSA高値・F/T比低値・直腸内指診で硬結触知等の理由で前立腺エコー検査を施行した後2ヶ月以内に前立腺 針生検を施行した234例(40 〜 92才,平均70.5才).方法: 良悪性5段階分類を前立腺針生検結果と比較した.【結果と考察】Impression 5「悪性を強く疑う」では針生検陽性が95%で有効と言えるが,Impression 4では針生検陽性が44%,3では36%と分類基準に再検討を要する.しかしながら,外腺の小さい低エコー領域や石灰化領域等をシェーマに示すことは,前立腺生検における陽性率を上げる一助になると考える.
座長: 明城 光三 (仙台医療センター)
38-31 【症例報告】 子宮動脈病変が原因の産褥出血の診断に経腟超音波が有効であった二例
1福島県立医科大学 産科婦人科, 2福島県立医科大学 放射線科
【はじめに】産褥期の子宮動脈瘤や動静脈瘻は極めて稀だが,大量性器出血をきたすことがある.診断は経腟超音波がきわめて有効であるとされている.当科で経験した2症例について報告する.【症例1】33歳の経産婦で,近医で帝王切開を施行され,退院後14日目に大量の性器出血を認め搬送された.経腟超音波で子宮切開創段端に径2 cmほどの低輝度領域を認めた.カラードプラで血流を認め,子宮動脈瘤と診断した.【症例2】22歳初産.妊娠16週で膣剤による中期中絶術を施行された.3週間後,大量の性器出血をきたし搬送された.経膣超音波上,子宮筋層内にvesicular pattern様の異常所見を認め,カラードプラ超音波上著明な血流を認め子宮動静脈奇形と診断した.いずれの症例も子宮動脈塞栓術を施行され,経過は良好である.【結論】経腟超音波は低浸襲な検査方法であり,産褥期の不正出血の原因検索において極めて有効である.
38-32 【症例報告】 OK432投与が有効であった胎児乳び胸の一例
1福島県立医科大学 産婦人科, 2いわき市立磐城共立病院 産婦人科
症例は0妊0産の妊婦.妊娠19週時に胎児左胸水貯留・縦隔偏位を認め,当院に紹介となった.検査および治療のため胸水除去の方針となり,超音波ガイド下に17mlの淡黄色の胎児胸水を除去した.除去後肺の拡張および縦隔の修正を確認した.胸水成分はリンパ球であり,乳び胸が示唆された.また,胸水中のリンパ球を用いた染色体分析にて,正常核型を確認した.翌日には左胸水の再貯留と静脈管の逆流を認め,胸水除去より3日後には左胸水は除去 前と同程度まで増量していたため,再度胸腔穿刺にて13mlの胸水を除去した.再穿刺より一週間後には胸水の再々貯留を認め,胸水11ml除去とともにOK432を0.1 KE胸腔内に注入し,胸膜癒着による胸水貯留阻止を試みた.しかし翌日には胸水の貯留を認めたため,翌々日に15mlの左胸水除去とともにOK432を0.5 KE左胸腔内に注入した.以後胸水の貯留は認めず,現在順調に胎児発育しており,OK432の投与が有効であったと症例といえる.
38-33 【一般演題】 胎児骨系統疾患の診断における超音波画像とX線画像の違い
東北大学病院 産婦人科
超音波検査は胎児を非侵襲的かつリアルタイムで観察できるが,こと骨の観察には限界が多い.骨の形状や性質をみるためにはX線画像が優れており,ときには空間分解能の優れたCTが有用になる.X線画像はX線透過度の差によって画像をつくる「透過画像」であるが,超音波画像は組織からの反射超音波によって断層像を取得する「反射画像」であるため透過画像様の像を得ることは原理的に難しい.骨系統疾患のひとつであるthanatophoric dysplasiaでは大腿骨の極端な短縮と彎曲を認め,X線像で特徴的な受話器様変形を呈す.実際の症例の超音波像を検討すると,大腿骨への超音波の入射方向によって同じ骨がまったく違う形状に描出される.X線上では診断的所見である受話器様変形を超音波像で再現することは難しい.骨系統疾患では放射線診断学がほぼ確立しているが,胎児期の超音波診断では新しい方法論を作り上げる必要がある.
図.Thanatophoric dysplasiaの同一胎児から撮った4種類の大腿骨の画像パターン.上からそれぞれ,大腿骨の方向,超音波によって描出される部位,それを取り出した画像パターン,実際の超音波像,の4つを示している.
同じ大腿骨でも超音波が入射する方向により,描出される像がかなり異なることがわかる