日本超音波医学会

地方会抄録号

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社団法人日本超音波医学会第21回四国地方会学術集会抄録

循環器1循環器2循環器3The best imaging
産婦人科血管消化器1消化器2
講習会1講習会2

循環器1

1 ボセンタン投与により肺動脈性肺高血圧症合併妊娠の転機が改善した一例

安岡 紗哉香, 楠瀬 賢也, 山田 博胤, 發知 淳子, 冨田 紀子, 林 修司, 西尾 進, 中川 摩耶, 平田 有紀奈, 佐田 政隆

徳島大学病院 超音波センター

肺動脈性肺高血圧症(PAH)合併妊娠は母体死亡率が非常に高いとされているが,ここ10年の間にPAHに対する新しい治療が導入され高リスク妊娠の管理も進歩し,母体死亡率は減少している.今回,第2回妊娠は肺高血圧症合併のため堕胎したが,その後ボセンタンを導入し,肺動脈圧の心エコーモニタリングにより第3回妊娠で出産をなしえた一例を経験したので報告する.24歳より混合性結合組織病(MCTD)にて少量ステロイドにて治療中であった.27歳時に第1子を分娩したが,妊娠中および妊娠時も特に異常を指摘されなかった.その後,30歳時に2回目の妊娠をしたが,経過中に息切れ症状が出現し肺高血圧が重症化したため,堕胎となった.その後よりボセンタンが投与され,肺動脈圧は改善し正常範囲となった.32歳で3回目の妊娠したが,ボセンタンを出産直前まで使用し,心エコーモニタリングによる肺動脈収縮期圧の変動も無く,第35週に経膣にて無事出産した.

2 左側房室弁閉鎖不全と虚血による心不全を呈した修正第血管転位症の1例

宮内 友香2, 石川 かおり1, 岡本 尚子2, 河野 由美子3, 山下 洋一3, 野間 貴久2, 大森 浩二2, 河野 雅和2, 堀井 泰浩3, 村尾 孝児1

1香川大学医学部付属病院 検査部, 2香川大学医学部付属病院 循環器・腎臓・脳卒中内科, 3香川大学医学部付属病院 心臓血管外科

修正大血管転位症は加齢に伴い解剖学的右室の機能不全による心不全や三尖弁閉鎖不全(TR)が問題となる。今回我々は、修正大血管転位症の心不全症例を経験したので報告する。症例は71歳、女性、2011年1月に心不全による肺水腫のため近医に搬送。精査後、冠動脈2枝病変と僧帽弁逆流(MR)に対する手術目的で当院心臓血管外科に紹介入院となる。入院後の心エコー検査で心房位はsolitus、心室位はL loop、大血管はL position parallel typeの修正大血管転位と診断。指摘されたMRは左側房室弁逆流(TR)と判断した。冠動脈も左右が逆に位置し、手術は左側房室弁置換と解剖学的左回旋枝(機能的右冠動脈)と解剖学的右冠動脈(機能的左前下行枝)へバイパスを行った。先天性心疾患における心エコー検査は確定診断に欠かせない手段であり、エコー診断の重要性を再認識した症例であった。

3 経食道心エコーガイド下外科的心臓再同期療法の経験について

尾崎 沙耶1, 井上 勝次2, 西村 和久2, 藤井 昭2, 永井 啓行2, 鈴木 純2, 大木元 明義2, 泉谷  裕則3, 岡山 英樹4, 檜垣 實男2

1愛媛大学医学部附属病院 臨床研修センター, 2愛媛大学大学院 病態情報内科学, 3愛媛大学大学院 心臓血管呼吸器・再生外科学, 4愛媛県立中央病院 循環器科

心臓再同期療法は難治性心不全の治療に有効であるが、左室リードを留置する至適冠静脈がない症例では治療反応性は減弱する。我々は開心術時に経食道心エコーガイド下で左室リードを留置した5症例を経験したので報告する。平均年齢は75歳で3症例が冠動脈バイパス手術、2症例が大動脈弁手術であった(3例: 完全左脚ブロック、2例: 右室心尖部ペーシング)。左室リードの留置は術者が用手的に左室心外膜側を押し、同時に経食道心エコーの短軸像を描出して至適留置場所を決定した。全例左室リード閾値は良好で横隔膜神経刺激は回避可能であった。術前のQRS幅、左室収縮末期容量、左室駆出分画は163ms、88.0ml、30.9%で、術後はそれぞれ136ms、41.3ml、50.4%に改善した。スペックルトラッキング法を用いた検討では術前の等容収縮期におけるearly contractionは術後早期に消失し、心機能の改善に大きく寄与している可能性が示唆された。

4 S字状中隔心の心エコー・ドプラ所見についての検討

冨田 紀子1, 山田 博胤1, 西尾 進2, 林 修司2, 發知 淳子1, 中川 摩耶2, 平田 有紀奈2, 弘田 大智2, 添木 武1, 佐田 政隆1

1徳島大学病院 循環器内科, 2徳島大学病院 超音波センター

【背景】S字状中隔は加齢や動脈硬化が原因と考えられており,時に左室流出路狭窄をきたすが,非狭窄例の臨床的意義は明らかでない.そこで,S字状中隔心の心形態および心機能について検討した.【方法】当院で心エコー検査を施行した症例のうちS字状中隔は784例(73±8歳)であり, 707例の正常対照群と比較した.【結果】S字状中隔心のうち,20例に有意な左室流出路狭窄を認めた.非流出路狭窄例では対照群と比較して,左室心筋重量と左室駆出血流速度が大,拡張早期僧帽弁口血流速波形(E)の減速時間が延長し,心房収縮期波高(A)が大でE/Aが小であった.側壁側僧帽弁輪運動速波形の拡張早期波高(e’)に有意差はなかったがE/e’はS字状中隔心が大であった.【結語】流出路狭窄を認めないS字状中隔心において,左室肥大および左室弛緩障害の進行を認めた.S字状中隔は心血管イベントの危険因子になる可能性が考えられた.

5 左心不全に合併した肺高血圧症における三尖弁輪運動速波形の特徴

玉井 利奈1, 山田 博胤2, 西尾 進1, 冨田 紀子2, 林 修司1, 發知 淳子2, 平田 有紀奈1, 弘田 大智1, 添木 武2, 佐田 政隆2

1徳島大学病院 超音波センター, 2徳島大学病院 循環器内科

背景:左室駆出率(EF)が低下した心不全(HFREF)とEFが保たれた心不全(HFPEF)の臨床的差異が議論されているが,両病態における右室機能の関与は明らかでない. 方法:2004年5月から2010 年9月 に当院で心エコー検査を施行し,左心不全に合併した肺高血圧症(推定肺動脈収縮期圧≧40mmHg)と診断された157例において,組織ドプラ法を用いて三尖弁輪運動速波形(TAM)の収縮期波高(s’),拡張早期波高(e’),心房収縮期波高(a’)を計測した. 結果:HFPEF,HFREFの推定肺動脈収縮期圧に有意差は認めなかった.両群間でa’には有意差を認めなかったが,HFPEFと比較してHFREFではs’および e’が有意に小であった.結語:肺高血圧の程度が同じにも関わらず,HFPEFに比しHFREFのs’およびe’は低下していた.両病態の臨床的差異に右室機能の差も影響している可能性が考えられた.

6 携帯型超音波画像診断装置(Vscan)による折り返し現象を利用した左室拡張能の評価

福田 大和, 福田 善晴

福田心臓血管外科消化器内科

【背景】Vscanではパルスドプラ法が使用できないため,左室拡張能の評価が困難である.今回我々は,カラードプラ法による折り返し現象(aliasing)を利用し,左室拡張能の評価が可能かどうか検討した.
【方法】対象は洞調律の67例.Vscanにて左室流入血流(TMF)を観察し,aliasingを拡張早期のみ認める例(type A),拡張末期のみ認める例(type B),それ以外の例(type C)の3群に分類し,他の装置にて3群の左室拡張能を評価した.
【結果】Type Aの17例とtype Cの7例が正常拡張能を呈し,type Bの全20例とtype Aの1例,type Cの22例が左室拡張能低下を呈した.Type BはType Aに比べ,有意に左房径が高値,e`が低値,E/e`が高値であった.
【結語】VscanによるTMFの観察は,左室拡張能の評価に有用である可能性が示された.

7 健常成人の動脈スティフネス−左室拡張機能関連における性差の検討

永尾 彰子2, 齋藤 実1, 和氣 大輔2, 河内 好子2, 檜垣 里江子2, 西尾 静子2

1喜多医師会病院 循環器内科, 2喜多医師会病院 生理検査室

目的:健常成人の動脈スティフネス−左室拡張機能関連における性差を検討すること。方法:心エコーと動脈スティフネス計測を同時に施行した446名のうち高血圧、糖尿病、脂質異常症の無い健常男性95名と年齢を合せた健常女性72名(平均年齢47歳)を対象とした。動脈スティフネスの指標としてbaPWV, 頚部及び橈骨部のAIx(cAIx, rAIx)を測定した。結果: e’は男性、女性共にbaPWV, cAIx, rAIxと有意な相関を認めたが、相関係数は何れも女性で大であった。E/e’は女性ではbaPWV, cAIx, rAIxと有意な相関を認めたが、男性では認められなかった。e’を従属因子とし多変量解析を行ったところ、女性ではcAIx(β=-0.26, p=0.02)が有意な独立規定因子の1つであったが、男性では認められなかった。結語:女性は男性に比し、左室拡張機能に対する動脈スティフネスの影響を強く受けることが示唆された。

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循環器2

8 経食道心エコー図法が有用であった未破裂バルサルバ洞動脈瘤を伴った心室中隔欠損症の1例

中川 貴文1, 日浅 芳一1, 細川 忍1, 小倉 理代1, 宮島 等1, 弓場 健一郎1, 高橋 健文1, 岸 宏一1, 大谷 龍治1, 福村 好晃2

1徳島赤十字病院 循環器内科, 2徳島赤十字病院 心臓血管外科

Sotoらは心室中隔欠損症を膜性部欠損型, 室上稜部欠損型, 心内膜床欠損型, 筋性部欠損型の4型に分類した。その中で膜性部欠損型が最多といわれる。今回我々は経食道心エコー図検査が診断に有用であった未破裂バルサルバ洞動脈瘤を合併した心室中隔欠損症の1例を経験した。症例は20歳代男性。幼少期より心室中隔欠損症を指摘されていた。経食道心エコー検査では心室中隔膜様部に左室から右室にむかう短絡血流を認めた。大動脈弁は無冠尖が延長変形し, 左室側弁腹が逸脱しており, バルサルバ洞動脈洞の合併が疑われた。心臓カテーテル検査では肺・体血流比 1.76, 左→右短絡率 47%であった。入院第7病日に欠損孔閉鎖術及びバルサルバ洞動脈瘤再建術を施行した。術中所見では右冠尖のバルサルバ洞の一部がFistelを形成していた。欠損孔の閉鎖術と同時にFistelの切除を行った。術後経過は良好であり, 入院第15病日退院した。

9 興味ある心エコー所見を示した高齢者部分肺静脈還流異常症の1例

了戒 かおり1, 井内 新2, 大石 佳史2, 三好 宏和2, 長瀬 教夫2, 大木 崇2

1独立行政法人国立病院機構東徳島医療センター 研究検査科, 2独立行政法人国立病院機構東徳島医療センター 循環器内科

症例は77歳女性。高血圧のため近医通院中であった。数日前より、労作時呼吸困難、浮腫を生じ、紹介入院となった。胸部X線で心拡大、心電図で左室肥大の所見を認めた。心臓超音波検査にて右室拡大、肺高血圧、心室中隔の異常運動を認めたが、明らかな心内短絡疾患は認めなかった。左室流入血流はE>Aのパターンを示したものの。E/e’の著明な上昇や肺静脈血流の心房収縮期陰性波の増高はみられなかった。胸部単純CTにて左上肺静脈の還流異常が疑われたため、造影によるMDCTを施行した。左上肺静脈から左腕頭静脈へのシャントが確認され、また、他の3 本の肺静脈の左房への還流も確認でき、左上肺静脈の部分肺静脈還流異常症の併発と確診した。本症例の病態について若干の文献的考察を加え報告する。

10 心不全増悪とともに拡張期僧帽弁逆流症を認めたAnnulo-aortic ectasiaの一例

陳 博敏1, 日浅 芳一1, 村上 尚嗣1, 馬原 啓太郎1, 小倉 理代1, 細川 忍1, 福村 好晃2, 速水 淳3

1徳島赤十字病院 循環器内科, 2徳島赤十字病院 心臓血管外科, 3徳島赤十字病院 検査部

症例は61歳男性。胸痛を主訴に当院救急外来を受診した。胸骨左縁第3肋間にto and fro murmur を聴取し、酸素飽和度の低下、胸部レントゲンで肺うっ血と心拡大を指摘されうっ血性心不全加療目的で入院となった。心エコー図ではバルサルバ径58mmのAnnulo-aortic ectasia (AAE)を認め、中等度の左室拡大、重症大動脈弁逆流症、軽度僧帽弁逆流症、軽度肺高血圧症を認めた。経過中に心不全増悪を認め、心エコー図では拡張期の僧帽弁逆流症を認めた。冠動脈造影では有意狭窄を認めず、うっ血性心不全を伴うAAE、AR、MRに対してAortic root replacement,Mitral valve repairが行われた。AAEに拡張期僧帽弁逆流を合併する1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。

11 左房機能不全に及んだ心アミロイドーシスの1例

寺田 菜穂1, 原田 顕治1, 芳川 敬功1, 山本 隆1, 柴田 泰伸2, 筑後 文雄3, 一宮 千代4, 田中 佑樹4, 藤永 裕之1

1徳島県立中央病院 循環器内科, 2徳島県立中央病院 内科, 3徳島県立中央病院 心臓血管外科, 4徳島県立中央病院 検査技術科

症例は61歳,男性.夜間呼吸困難にて当院救命センターに搬送された.心不全と診断し当科入院となった.心電図は洞調律,四肢誘導で低電位,V1-4でQSpatternであった.心エコー上,左室心筋は肥厚しgranular sparklingの所見を認めた.全体的な左室収縮力はEF=49%と軽度低下していた.また軽度の心嚢液貯留も認めた.TMFは拘束型パターンを示した.血液検査で高IgG血症も認められた.心筋生検,骨髄生検にてアミロイド沈着を認め,原発性アミロイドーシスおよび心アミロイドーシスと診断した.経過中,心電図でP波の減高,心エコーにてTMF,PVFにおけるA波の消失を認め左房機能不全に及んだ.左房内にもやもやエコーが出現した。洞不全に対しPM植え込み術を施行した.その後当院内科にてMD療法を開始した.依然心機能低下は認めるが心不全は比較的コントロールされており現在外来経過観察中である.

12 3D経食道心エコーで確認された左房粘液腫の1症例

本田 俊雄1, 大谷 真有美2, 西窪 真依子2, 荒井 政森3, 伊賀瀬 圭二3, 松原 一郎3, 五石 惇司3, 貞本 和彦3, 横山 雄一郎4, 佐藤 晴瑞4

1和昌会 貞本病院 内科・循環器科, 2和昌会 貞本病院 臨床検査部, 3和昌会 貞本病院 脳神経外科, 4よつば循環器科クリニック 心臓血管外科

心電図上、洞調律を呈していたが、頭部MRI検査で心原性脳塞栓症が疑われたため、経食道心エコーを施行した所、左心房内に腫瘤性病変を認め、手術療法の結果、左房粘液腫と診断された症例を経験したので報告する。症例は83歳、女性で、左手の軽度握力低下を主訴とし、近医を受診した。脳梗塞が疑われ、当院脳神経外科へ紹介され、頭部MRIで新たな多発性皮質梗塞を認めたため、入院した。第5病日に経食道心エコーを実施した所、左心耳入口部近傍の左房前壁側に付着部位を持つ、直径約1cmのほぼ球形の可動性腫瘤性病変を認めた。3D画像による観察で腫瘤の立体的形状や付着部位の確認が容易であった。第7病日に心臓血管外科施設へ転院し、第8病日に摘出手術を受けた。術後経過は順調で比較的早期に独歩退院した。摘出後の病理組織所見で粘液腫と診断された。比較的軽症の心原性脳塞栓症では早期の原因検索が重要と思われた。

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循環器3

13 拡張型心筋症様の心不全を呈し,下垂体腺腫摘出により心機能が著明に改善したacromegalyの一例

横井 靖世1, 福田 信夫2, 大野 孔文3, 小島 義裕3, 門田 宗之3, 井端 智裕3, 山本 裕介1, 吉田 和矢4, 田村 禎通3

1NHO 善通寺病院 臨床検査科, 2NHO 善通寺病院 臨床研究部, 3NHO 善通寺病院 循環器科, 4NHO 善通寺病院 内科

症例は59歳男性でH21年10月頃より労作時の動悸と息切れを自覚していたが12月に呼吸困難が増強し、当院循環器内科を受診した.胸部レントゲンにて肺うっ血と心拡大を認め、うっ血性心不全が疑われ心エコー検査を施行した。LVDd=73mm、LVDs=66mm、LVEF=25-30%と著明な左室拡大と収縮能の低下を認め、左室壁は全周性に13mmと肥大を呈していた。下顎突出など末端肥大症様の容貌よりacromegalyを疑い、頭部CT、MRIを施行したところ、トルコ鞍中心に30mm大の不整形のmassを認めた。血液検査ではGH=25.92ng/dl、血中IGF-I=787ng/dlと高値であり以上のことからacromegalyと診断された。H22年10月に他院脳外科において下垂体腫瘍摘出術を受け、術後6カ月の心エコ−ではLVDd=48mm,LVDs=37mm,LVEF=60%と左室の著明な縮小と収縮能の改善を認めた。今回,下垂体腫瘍摘出後に心機能が著明に改善したacromegalyを一例を経験したので考察を加え報告する

14 postischemic diastolic stunningを捉えることができたACSの一例

山本 有季乃1, 藤村 光則2, 秋山 和世1, 荒木 みどり2

1高松市民病院 生理検査室, 2高松市民病院 循環器内科

近年2Dスペックルトラッキング法が虚血の拡張障害の評価として有用であることが報告されているが、臨床的な証明は不十分である。【症例】60代男性【主訴】胸痛【現病歴】2011年4月増悪する胸痛で受診、不安定狭心症疑いで入院。【入院時心エコー検査】左室径正常、EF67%。局所壁運動異常を認めず。GE社のAutomated Function Imaging(AFI)法を用いたPost-systolic index(PSI)で前壁の有意な上昇あり。【臨床経過】左前下行枝起始部に高度狭窄あり、ステント留置。その後症状は消失し、PCI後3ヶ月の心エコー検査では前壁のPSIは改善していた。【考察】冠動脈所見とあわせ、入院時に認められたPSIの前壁の異常はpostischemic diastolic stunning(PDS)を示していたと考えられた。PSIがPDSの指標として有用であることが示唆された。

15 閉塞性肥大型心筋症の左室流出路圧較差軽減の追加治療の選択に心エコー検査が有用であった1例

福岡 陽子1, 尾原 義和1, 西本 美香1, 山本 克人1, 谷内 亮水2, 清遠 由美2, 土井 由賀利2

1高知医療センター 循環器科, 2高知医療センター 医療技術局

症例は35歳男性。閉塞性肥大型心筋症と診断され、β遮断薬による内服加療を行っていた。2011年2月頃より労作時の呼吸困難が出現し当院紹介となる。心エコーでは左室流出路圧較差は約60mmHg程度であった。左室流出路圧較差軽減の追加治療が必要と判断し、ペーシング及び薬物効果判定のため心臓カテーテル検査を心エコーと併用で施行した。房室ペーシングでは圧較差は改善は無く、MRは変化なかった。引き続きシベンゾリン70mgを静注、圧較差は消失しMRは消失した。シベンゾリンがペーシング療法より左室流出路圧較差の軽減に効果ありと判断し、シベンゾリン100mgの内服を開始した。1ヶ月後の心エコー検査では左室流出路圧較差は12mmHgまで改善、MRもほぼ消失した。今回、閉塞性肥大型心筋症の左室流出路圧較差軽減の追加治療の選択に心エコー検査が有用であった1例を経験したので報告する。

16 保存的加療により潰瘍様突出像が消退した大動脈壁内血腫の一例

發知 淳子1, 山田 博胤1, 楠瀬 賢也1, 西尾 進2, 冨田 紀子1, 林 修司2, 弘田 大智2, 玉井 利奈2, 添木 武1, 佐田 政隆1

1徳島大学病院 循環器内科, 2徳島大学病院 超音波センター

症例:78歳女性。主訴:胸背部痛。皮膚限局性多発性血管炎にてステロイド内服中であった。早朝トイレ歩行後に胸痛を自覚。痛みが拡がり、増強するため当院へ救急搬送。造影CTにて大動脈弓部から総腸骨動脈分岐直後付近まで辺縁に三日月状の造影不良部位を認め、大動脈壁内血腫(IMH)と診断。臓器障害はなく、内科的加療を行った。経過中、CTにてIMHの拡大はないも、肋間動脈や気管支動脈の起始部近傍に潰瘍様突出像(ULP)が出現し、経食道エコー(TEE)にて、Penetrating atherosclerotic ulcer及び、潰瘍底から側枝への血流を認めた。約4週間後のTEEにて、血腫が器質化してその血流を認めなくなり、CTでもULPが消退した。ULPはIMHの進行に関連するとされ、予後不良の因子とも報告されている。保存的加療によりULPが消失した一例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。

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The best imaging

17 Real-time Tissue Elastographyにより硬度上昇がみられた肝細胞癌の一切除例

手束 美香3, 越智 裕紀1, 畔元 信明1, 広岡 昌史1, 古川 慎哉1, 阿部 雅則1, 池田 宜央1, 松浦 文三1,2, 日浅 陽一1, 恩地 森一1

1愛媛大学大学院 先端病態制御内科学, 2愛媛大学大学院 地域生活習慣病・内分泌学, 3愛媛大学 附属病院総合臨床研修センター

62歳女性の肝細胞癌。S5に径25mm、halo(+)であった。Real-time Tissue Elastography を用いて非腫瘍部と腫瘍部の硬度測定を行った。機種はHITACHI EUB7500。ブローブはEUP-L52。ROIを肝腫瘍および肝内の小血管に置き、血管の歪み値/肝腫瘍の歪み値で得られる値をStrain ratio(SR)とした。腫瘍は非腫瘍部に比べ青色を呈していた。非腫瘍部のSRが2.63であったのに対し腫瘍部は19.66であり、腫瘍部硬度値は極めて高値であった。肝切除後の病理標本では線維組織からなる隔壁の増生がみられcompact typeの所見であった。肝細胞癌は脱分化が進み悪性度が増すと隔壁の出現や線維増生をきたすため硬度値の上昇が予想される。術前に硬度診断により悪性度が高いことを予測し切除した興味深い症例を経験したので文献的考察を加え報告する。

18 多発性肺平滑筋肉腫の心筋内転移の診断,経過観察に経胸壁心エコーが有用であった一例

林 修司1, 山田 博胤2, 西尾 進1, 玉井 利奈1, 中川 摩耶1, 弘田 大智1, 平田 有紀奈1, 岩瀬 俊2, 添木 武2, 佐田 政隆2

1徳島大学病院 超音波センター, 2徳島大学病院 循環器内科

【症例】59歳,男性,2008年11月多発性肺平滑筋肉腫と診断された.化学療法はfist,second line共に効果がなくthird lineの開始にあたり,2011年3月心エコー検査が依頼された.この際,心室中隔に内部血流のある約1.5cm大のlow echoicな腫瘤を認めた.癌の進行度より,平滑筋肉腫の心筋内転移を疑い心臓MRIを施行した.心臓MRIでも,前壁中隔に約1.5cm大のT2強調像で高信号の腫瘤を認めた.2011年5月,再度心エコーを施行し,腫瘤の大きさは変化を認めないものの,腫瘤内にlow echoic massを新たに認め,その周辺には血流が観察された.心臓MRIの再検では,内腔の描出はできないものの腫瘤の大きさには変化はないことを確認した.【考察】平滑筋肉腫の心筋内転移という稀な病態が心エコーで診断でき,MRIと併せて経過観察が行えたので報告する.

19 経胸壁冠動脈ドップラーエコーが診断に有用であった虚血性心筋症の1例

清家 史靖, 岡山 英樹, 川上 大志, 山中 俊明, 河合 勇介, 佐藤 澄子, 山田 忠克, 三根生 和明, 風谷 幸雄

愛媛県立中央病院 循環器病センター

症例は70才代男性。高血圧、糖尿病にて近医で内服治療をされていたが、服薬コンプライアンスは不良であった。2011年2月16日16:00頃から著明な呼吸困難が出現し、当院3次救急に搬送された。来院時血圧は212/92mmHgであり、胸部X線写真で肺うっ血を認め、クリニカルシナリオ1の急性心不全と診断しニトログリセリン、ハンプ、非侵襲的陽圧換気にて治療を行った。うっ血改善後の心エコー図では遠心性の心肥大を認めた。冠動脈エコーを施行したところ、前下行枝は逆行性血流を認め、右冠動脈後下行枝から中隔枝経由の側副血行路が多数観察された。以上より前下行枝の閉塞ないし高度狭窄の存在が推定された。冠動脈造影では前下行枝は慢性完全閉塞であり、冠動脈エコーと同様の所見が観察された。本症例の様に、負荷時のみならず安静時の冠動脈エコーから冠動脈硬化の推定がしばしば可能であり、文献的考察を加え報告する。

20 腹部大動脈瘤人工血管置換術後の人工血管破綻の診断に造影超音波検査が有効であった一治験例

渡邊 亮司1, 中西 浩之2, 石神 修大2, 山口 直美1, 中田 浪枝1

1済生会今治病院 検査科, 2済生会今治病院 心臓血管外科

患者:70歳代,男性.既往歴:平成6年,AAA,Y-グラフト置換術施行.現病歴:平成23年1月:右下腹部痛出現し,当院に救急搬送された. 造影CTにて急性膵炎所見.膵鉤部周囲の液体貯留と脂肪壊死があった.Y-グラフト周囲に血栓形成あり,内部に不整な造影効果を認めた.動脈優位相から静脈相に濃染の拡がりがあり,グラフトの破綻を疑った.入院経過:絶食と投薬にて膵炎は改善.造影超音波検査にてグラフト中枢側吻合部から1.5cm末梢側背側の破綻を認めた.治療はステントグラフト内挿術を施行した.術後はCT,造影超音波検査にて周囲血栓への血流流出は認めず,経過良好である.AAA術後に人工血管の破綻の診断に造影超音波検査が有用であった.

21 出生前の3次元超音波所見からRoberts症候群が疑われた1例

請田 絵美子1, 林 敬二1, Daisy J. Dulnuan2, 室月 淳3, 西村 玄4, 秦 利之2

1内海病院 産婦人科, 2香川大学 医学部母子科学講座周産期学婦人科学, 3東北大学大学院医学研究科宮城県立こども病院 産科, 4東京都立小児総合医療センター 臨床放射線科

【緒言】Roberts症候群は対称性の四肢短縮、胎児期および出生後の発育遅滞、知的障害を特徴とする常染色体劣性遺伝の稀な疾患である。今回我々は、出生前3次元超音波検査所見からRoberts症候群が疑われた1例を経験したので報告する。【症例】38歳、2経妊2経産。四肢短縮を伴った多発奇形を認め2回人工妊娠中絶施行。今回自然妊娠成立し、妊娠17週頃から2次元超音波検査にて四肢短縮を認め、妊娠20週1日に大学病院へ紹介受診とした。3次元超音波検査にて上肢の著明な短縮、下肢拘縮、母指の近位付着、口唇裂、眼球突出、橈骨・尺骨の欠損を認めた。遺伝子診断を希望されず、妊娠20週3日に人工妊娠中絶を施行し、臨床的にRoberts症候群と診断した。【考察】出生前の3次元超音波検査は、2次元超音波検査よりも胎児の先天異常の詳細な描出が可能であり、患者や家族への視覚的情報提供に有用であると考えられる。

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産婦人科

22 Placental shelfの出生前3次元超音波所見

天雲 千晶1, 石橋 めぐみ1, 藤原 圭紀1, 伊藤 恵2, 森 信博2, 花岡 有為子2, 金西 賢治2, 田中 宏和2, 石原 剛3, 秦 利之2

1香川大学医学部 卒後臨床研修センター, 2香川大学医学部 母子科学講座周産期学婦人科学, 3三豊総合病院 産婦人科

[諸言]胎盤辺縁に位置し、羊水腔に突出する組織をplacental shelfと言い、妊娠第3半期には常位胎盤早期剥離や早産、FGR、IUFDを引き起こす可能性がある。今回我々は、3次元超音波を用いてplacental shelfの出生前診断に至った症例を経験したので報告する。[症例]35歳、主婦、4回経妊3回経産。18週2日、羊膜索症候群疑いのため当院へ紹介。2次元超音波でplacental shelfを認め、3次元超音波でその形態や性状が明瞭に描出できた。Placental shelfは3週後には同定できなくなり、37周4日選択的帝王切開術で2604g、Aps8/9の男児を娩出した。児に異常は認められなかった。胎盤は480gで、部分性周郭胎盤であった。[結語]3次元超音波はplacental shelfの検出と詳細な観察に優れたツールであると考えられる。Placental shelfが予後に与える影響についての文献的考察も合わせて報告する。

23 超音波検査が有用であった子宮内反症例の検討

福家 義雄, 原田 裕子, 菊地 真理子, 米谷 直人, 小林 文子

国立病院機構 高知病院 産婦人科

緒言)子宮内反症は頻度は稀であるが整復不可の場合致死的となり得る。今回超音波検査にて診断し、静脈麻酔下に整復できた子宮内反症を経験した。過去の3例と併せ報告する。症例)28歳、初産婦、妊娠後期の軽度浮腫以外経過異常なく妊娠40週2日3752g女児をApgar score 8/9で経腟分娩。胎盤娩出後出血が続き子宮収縮剤を投与したが、激痛、血圧・意識レベル低下出現、経腹超音波・内診にて子宮内反症と診断した。分娩台上整復試みるも激痛で施行できず、手術室で静脈麻酔下で用手整復に成功した。他に当院では@帝王切開術中胎盤娩出直後発症の症例AMRI施行した症例B全子宮内反症で即時の診断・整復ができた輸血回避症例の3例の経験がある。考察)分娩後出血や激痛を認めた不全内反症で内診では即時診断が難しかったが超音波検査が有用であった。結語)子宮内反症診断に本症超音波画像を念頭においておくことが必須である。

24 妊娠中期、羊水過少を契機に診断された両側腎低形成の一例

森 信博, 伊藤 恵, 佐藤 美樹, 花岡 有為子, 金西 賢治, 田中 宏和, 塩田 敦子, 秦 利之

香川大学 医学部母子科学講座周産期学婦人科学

【緒言】胎児の腎低形成は稀な疾患であり、両側腎低形成は生命予後不良であることも多い。今回我々は、妊娠中期に羊水過少を契機に診断された両側腎低形成の一例を経験したので報告する。【症例】30歳、2経妊2経産。既往歴、家族歴に特記事項なし。他院にて妊婦健診を受けており、妊娠19週5日、羊水過少にて当院を紹介受診となった。BPDは正常範囲内であったが羊水ポケット25.1mmと羊水過少傾向であった。膀胱は認められたが、両側の腎臓が不明瞭であった。妊娠25週に小さな左腎臓が同定され、妊娠29週にようやく小さな右腎臓らしき像を観察することができた。妊娠30週、MRIを撮影し、両側腎低形成と診断された。妊娠39週2日、女児を正常経腟分娩した。現在もNICUにて経過観察中である。【結語】羊水過少をみとめた場合、その原因として両側腎低形成にも留意する必要があると思われた。

25 胎児腹腔-羊水腔シャント留置が有効であった総排泄腔遺残の1例

加地 剛1, 前田 和寿1, 笠井 可菜1, 佐藤 美紀1, 中川 竜二1, 西條 隆彦1, 苛原 稔1, 別宮 史朗2

1徳島大学病院 周産母子センター, 2徳島赤十字病院 産婦人科

総排泄腔遺残は胎生期に総排泄腔を分断する尿直中隔の発生異常により生じる稀な疾患である。今回我々は、著明な胎児腹水に対し腹腔-羊水腔シャント留置が有用であった総排泄腔遺残の1例を経験したので報告する。自然妊娠。妊娠27週頃から胎児超音波検査にて膀胱の背側に嚢胞を認め、29週には腹水が出現したため妊娠29週2日に紹介となった。超音波にて溜水腫となった重複子宮と卵管を認め、腹水も認めた。腹水が増加したため30週4日腹水穿刺を行ったが、再貯留による横隔膜の著明な挙上を認め31週0日腹腔-羊水腔シャントを留置した。以後腹水は少量でコントロールされた。妊娠33週4日破水し骨盤位のため帝王切開を行った。児は総排泄腔遺残であることが確認された。本症例では胎児期に総排泄腔の開口部が閉塞したために尿が子宮内へ逆流し子宮溜水腫、さらに卵管を経由し腹水貯留に至ったと考えられた。

26 動脈塞栓療法が奏功した子宮動静脈奇形の一例

金西 賢治1, 伊藤 恵1, 佐藤 美樹1, 森 信博1, 花岡 有為子1, 田中 宏和1, 塩田 敦子1, 秦 利之1, 外山 芳弘2, 永坂 久子3

1香川大学医学部 母子科学講座周産期学婦人科学, 2香川大学医学部 放射線科, 3屋島総合病院 産婦人科

今回、経腟3Dカラードプラ法が診断に有用であったと考えられる子宮動静脈奇形の症例を経験したので報告する。症例は25歳、女性。5回経妊0回径産。他院において、妊娠6週の稽留流産の診断で流産手術を施行後、約1ヶ月後に大量性器出血を起こし、経腟カラードプラ、骨盤造影MRIなどで子宮動静脈奇形疑いの診断で当院に紹介となる。当院での経腟超音波による2Dカラードプラ像で子宮筋層内に血流の増加を伴う血管増成像が認められ、3Dパワードプラ、HD Flow像でも、流入血管と流出血管による特異的な血管構造像が描出された。当科放射線科とともに動脈塞栓療法の方針とし、骨盤内の血管造影を施行した。超音波ドプラ像と一致した動静脈奇形を認め、子宮動静脈奇形の診断で、子宮動脈の選択的塞栓術を施行した。塞栓後の経腟超音波による2Dカラードプラ像では、血流は消失し、その後出血もなく経過良好である。

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血管

27 片腎切除後における腎動脈狭窄の診断に超音波検査が有用であった1症例

吉本 和子1, 水重 克文2, 辻 哲平2, 陸 新2, 山口 康夫1, 黒住 知宏2, 植木 敦2

1国立病院機構高松医療センター 臨床検査科, 2国立病院機構高松医療センター 循環器科

 症例は78歳,男性.高血圧,脳梗塞,大腸癌術後で経過観察中,右腎に腎細胞癌が発見され,他院で右腎切除術を受けた.その後,術前1.11mg/dlだったクレアチニンが5か月で1.99mg/dlにまで上昇したため,腹部超音波検査を施行した.腎細胞癌の転移を示唆する所見は認めなかった.左腎動脈起始部の収縮期最大血流速度は著明に加速(3.0m/s)し,renal / aorta ratio=7.3,腎区域動脈acceleration time延長(175msec)を認め,左腎動脈狭窄と診断した.腎区域動脈のresistance index:RI=0.63,腎長径91mmであった.左腎動脈狭窄に対し経皮的腎動脈形成術を施行した.血行再建前2.68mg/dlまで上昇したクレアチニンは,血行再建9か月後1.62mg/dlであり,上昇傾向は認めていない.現在ステント再狭窄の有無について経過観察中である.非侵襲的で繰り返し検査可能な超音波検査は腎動脈狭窄の診断や治療後の経過観察に有用であった.

28 造影エコーが診断に有用であった腹部内臓動脈瘤の2症例について

大原 芳章, 河合 直之, 小川 力, 柴峠 光成

高松赤十字病院 消化器内科

腹部内臓動脈瘤は稀な疾患であるが、破裂した場合には重篤となり緊急の治療を要する疾患の為、非侵襲的なエコーでの診断価値は大きい。(症例1)使用機種は東芝Xario、造影モードはPS-low。60歳代の男性、後上膵十二指腸動脈瘤の総胆管圧迫による閉塞性黄疸を来した1例。(症例2)使用機種はGE Logiq E9、造影モードはcontrast mode。肝腫瘍精査にて当院を紹介受診された50代の男性、複数ある結節の中で診断が困難であった1結節をエコーによって診断した。どちらの症例もカラードップラー、造影エコーを用いて動脈瘤であることに確信を得た。また血管造影にて多発性の有無についての検索を行った。造影エコーでの動脈瘤に関する報告は少なく、この1年間で我々が経験した初発の腹部内臓動脈瘤について検討し、考察を加えてここに報告する。

29 術前USが有用であった重症虚血肢の1例

中西 浩之1, 石神 修大1, 渡邊 亮司2

1済生会今治病院 心臓血管外科, 2済生会今治病院 検査科

今回、治療方針決定にUSが有用であった重症虚血肢の1例を経験したので報告する。症例は72才、女性。慢性透析中。糖尿病。現病歴:重症虚血にて当科受診。平成23年6月24日右浅大腿動脈狭窄に対してPTA施行。膝か動脈閉塞に対して膝下膝か動脈までPTAにて開通するもそれ以下は開通不能。PTA後、その後の治療方針決定にUSを施行。USでは膝上膝か動脈は開存。足背動脈は開存。石灰化は軽度。右大伏在静脈はグラフトとして使用可能と診断。7月4日、右大伏在静脈により右膝か動脈―右足背動脈バイパスおよぶデブリドメント、VAC療法を施行。術後創部感染のコントロールは良好。VAC療法を継続中である。術後US,CTAにてグラフトは良好に開存し右足の血流は改善している。

30 長時間の移動後に奇異性脳塞塞を繰り返した2症例

石川 かおり1, 大山 英郎3, 野口 早苗1, 多田 亜由1, 中石 浩己1, 宮内 友香2, 野間 貴久2, 大森 浩二2, 河野 雅和2, 村尾 孝児1

1香川大学医学部付属病院 検査部, 2香川大学医学部付属病院 循環器・腎臓・脳卒中内科, 3おさか脳神経外科 脳血管内科

深部静脈血栓症は慢性的に血栓ができやすく、長期にわたる管理が必要となる。今回、長距離移動後に脳梗塞を繰り返した2症例を報告する。1例は長時間の車移動後、他例は複数回の飛行機移動後の発症、どちらも洞調律、通常の心エコーや頸動脈エコーでは血栓源は確認されなかった。しかし2例とも抗血小板剤の治療中に再発が見られたため、奇異性塞栓を疑い経食道心エコー・下肢静脈エコー検査を施行し診断となった。脳梗塞のスクリーニング検査として、心エコー、頚動脈エコー、ホルター心電図などが一般的検査であるが、空間的に多発する脳梗塞や時間的に多発する脳梗塞症例では、奇異性脳塞栓を含めた精査が必要であると考える。

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消化器1

31 肝細胞癌に対するparametric MFIの使用経験

石原 暢1, 越智 裕紀1, 広岡 昌史1, 小泉 洋平1, 古川 慎哉1, 阿部 雅則1, 池田 宜央1, 松浦 文三1,2, 日浅 陽一1, 恩地 森一1

1愛媛大学大学院 先端病態制御内科学, 2愛媛大学大学院 地域生活習慣病・内分泌学

54歳男性の肝細胞癌患者。B modeではS5に15mm大、halo(+)。使用機器はAplio XGで7.5MHzのリニアプローブを使用した。はじめに経静脈的にソナゾイド0.3mLを投与して造影超音波を施行した。病変は腫瘍辺縁より均一に濃染した。Parametric micro flow imaging(MFI)では時間経過とともに腫瘍辺縁部に腫瘍部とは異なる配色がなされた。同結節に対しては腹部血管造影下で固有肝動脈に先端を固定したマイクロカテーテルよりソナゾイドを動注した。腫瘍は濃染し約30秒後に超音波画像上で経静脈投与時と近似したコロナ濃染を同定し得た。Parametric MFIは造影剤の到達時間を同一断層像においてカラーコード化し表示し、時間経過とともに異なる配色がなされる新しい機能である。今回本機能にて肝細胞癌特有のコロナ濃染を同定できた興味深い症例を経験したので報告する。

32 体外式ラジオ波焼灼術困難症例に対し、術中ラジオ波焼灼術が有効であった1例

宮本 由貴子1, 小川 力1, 大原 芳章1, 柴峠 光成1, 河合 直之2, 木太 秀行2, 嶋田 俊秀2, 山岡 竜也3, 廣瀬 哲朗3, 西平 友彦3

1高松赤十字病院 消化器内科, 2高松赤十字病院 臨床検査, 3高松赤十字病院 消化器外科

【症例】50歳代 男性【現病歴】肝細胞癌に対し2009年肝右葉切除術施行。ドーム直下S4 20mmの再発を認め経皮的ラジオ波焼灼術(以下RFA)を試みたが病変が深く、治療中のCool-tip針の抜けもあり治療効果は不十分であった。後日人工胸水下RFAを試みたが描出困難であり、展開針型のRFAは血管が病変に近く経皮的な治療は断念。後日開腹下RFAの方針となった。【使用機種】GE社 Logiq E9、使用プローブ 9L-D、Contrast mode【術中エコー所見】ソナゾイドUSのKupffer phaseでdefectとして認識され術中RFAを施行。術後のCTで十分なmarginを確保し焼灼、術後第8病日に退院となった。【考察】体外式超音波検査で描出困難な病変または展開針型RFAが使用困難な部位の病変でも、開腹下で高い空間分解能とペネトレーションを兼ね備えたリニアプローブを用いることにより、限られた小さな術野でも、確実で安全にRFAを行うことができ、今後有用な治療法と考えられた。

33 心臓近接病変に対する経皮経肝ラジオ波焼灼術

越智 裕紀1, 広岡 昌史1, 石原 暢1, 小泉 洋平1, 畔元 信明1, 阿部 雅則1, 池田 宜央1, 松浦 文三1,2, 日浅 陽一1, 恩地 森一1

1愛媛大学大学院 先端病態制御内科学, 2愛媛大学大学院 地域生活習慣病・内分泌学

経皮経肝ラジオ波焼灼術(RFA)の治療困難症例の1つに心臓近接病変がある。心臓への誤穿刺により心タンポナーデをきたし死亡した症例の報告もある。当施設での心臓近接症例に対する経皮経肝RFAを報告する。対象期間は2002年1月より2011年6月。当科に入院しRFAを施行した症例。このうち穿刺断面において腫瘍と心筋壁までの距離が10mm以内のものを対象とした。対象は7症例、7結節。男性5例、女性2例であった。年齢は中央値71歳(65 – 82 歳)であった。Child-Pugh gradeはAが4例、Bが3例。腫瘍径は中央値が16mm (12 – 40 mm)。プローブは心窩部縦走査を基本とし心臓下面と穿刺経路が平行となるように反時計方向に回転を適宜加えた。焼灼方法は他部位と同様に行った。全症例で心タンポナーデなど重篤な合併症はなかった。心臓近接病変は治療困難な部位であるが、適切な穿刺経路を選択することで治療可能であると考えられた。

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消化器2

34 演題:術後16年後に肝臓、膵臓に転移再発し、診断に苦慮した腎臓癌の1例

岸 和弘1,2, 藤澤 明彦1, 堀北 実1

1香川県立白鳥病院 内科・消化器科, 2国立病院機構東徳島医療センター 内科

症例は82歳男性。近医にて膵腫瘍、肝腫瘍を指摘され、精査・加療目的にて当院に紹介。平成7年に左腎細胞癌にて全摘術の既往あり。当院での腹部超音波検査にて膵臓、肝臓にそれぞれ37x28mm、80x50mmを最大とする多発性腫瘍を指摘。造影CTにてさらに甲状腺左葉に44x38mmの腫瘍を認めるとともに、右後頚部に37x21mmの軟部腫瘤を認めた。画像検査より多血性の転移性腫瘍が強く疑われたものの、原発が同定できなかったため、右後頚部軟部腫瘤からと肝臓左葉の腫瘍生検をそれぞれ施行したところ、ともに転移性癌との診断で、既往歴から腎細胞癌(明細胞癌)に矛盾しない所見であった。最終的に腎細胞癌術後再発による転移と診断。PSが悪化しており、BSCとして経過観察、永眠された。文献的にも腎細胞癌術後、長期間経過してから再発する症例が散見され、本症例も該当すると同時に、診断に苦慮した興味深い症例であった。若干の文献的考察を加え、報告する。

35 腹部超音波検査が有用であった胆嚢捻転症の一例

山口 朋孝1, 渡邊 亮司3, 石井 龍宏2, 泉 俊男1, 村上 貴俊1, 上原 貴秀1, 中西 征司1, 湯山 晋1, 宮池 次郎1, 大本 昌樹1

1済生会今治病院 内科, 2済生会今治病院 外科, 3済生会今治病院 生理機能検査室

症例は95歳女性。上腹部痛を主訴に来院。右上腹部に圧痛認めた。白血球14500、CRP4.01mg/dl。CTでは胆嚢は腫大し緊満しており、内部はdensityが軽度上昇しており、濃縮胆汁が示唆された。壁は全周性に軽度肥厚し、周囲脂肪織に不整な濃度上昇あり少量の腹水を伴っていた。胆嚢炎、腹膜炎が疑われた。腹部超音波検査施行したところ、胆嚢は頸部に屈曲あり底部側は腫大し、屈曲部より胆嚢管側は虚脱していた。胆嚢捻転による胆嚢炎疑い緊急手術行った。開腹胆嚢摘出術が施行された。手術所見としては多量の血性腹水認め、胆嚢は緊満し黒色に壊死していた。頸部を軸に捻転を起こしていた。病理所見では広範囲に虚血性壊死を認めたが、頸部付近の一部では壊死を認めなかった。術後経過は良好にて第9日目に退院された。腹部超音波検査が有用であった胆嚢捻転症の一例について文献的考察を加え報告する。

36 スクリーニング消化管エコーによって指摘された腫瘍性疾患の3症例について

大原 芳章, 河合 直之, 小川 力, 柴峠 光成

高松赤十字病院 消化器内科

従来、消化管病変においては、消化管透視、内視鏡診断が主流であり、体外式超音波診断は、管腔内ガスの存在が観察の妨げとなり、十分な評価が困難であるとされてきた。しかし、近年、超音波診断装置の進歩や描出法の工夫により、十分な質的診断が得られるようになってきている。平成23年3月から6月の4ヶ月間の間に上腹部スクリーニングのエコーと同時に消化管エコーのスクリーニングも行った症例のうち、3例(3/634)に消化管の腫瘍性疾患を指摘することが出来た。症例はそれぞれ、80歳代男性の大腸癌、70歳代女性の胃癌、70歳代男性の胃癌である。腫瘍の検索が非侵襲的なエコー検査のスクリーニングで行われることは大きな意義があると考える。我々が4ヶ月の間に経験した症例と、これからのエコー検査のスクリーニングのあり方について若干の文献的考察を加えて報告する。

37 EUS-FNAが診断に有用であった肺小細胞癌の膵転移の一例

耕崎 拓大1, 木岐 淳1, 麻植 啓輔1, 和田 邦彦1, 西原 利治1, 荒川 悠2, 塩田 直樹2, 西岡 明人3, 松本 学4, 弘井 誠4

1高知大学医学部 消化器内科, 2同 血液呼吸器内科, 3同 放射線科, 4同 病理

【症例】65歳、男性【主訴】黄疸【経過】2010年6月より黄疸が出現し入院となる。総ビリルビン13mg/dl、肝胆道系酵素も上昇し、CTで膵頭部に造影効果を有する約4cmの腫瘤と右肺にも約5cmと2cmの腫瘤を認めた。ERCPでは総胆管の閉塞を認め胆管ステントを挿入した。膵腫瘤に対しEUS-FNAを施行し、病理は小細胞癌であった。肺病変に対してTBLBを施行したところ同様の小細胞癌であった。CTでの肺病変が原発性肺小細胞癌の像であり、肺原発の小細胞癌の膵転移と最終診断した。CDDP+CPT-11や、その後塩酸アムルビシンに変更し加療した。初発より1年経過するが化学療法を継続中である。【まとめ】肺癌の膵転移は腎細胞癌に次いで頻度が高い。膵の造影効果を有する腫瘤影を認めた場合は神経内分泌腫瘍や腎細胞癌の転移だけではなく、肺小細胞癌の膵転移も鑑別に挙げる必要がある。

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【講習会1】技師による超音波講習会

1.見落としを少なくする腹部エコーのコツ!

座長:渡邊精四郎(香川県立中央病院総合診療科)
演者:西尾 進(徳島大学病院超音波センター)

腹部エコーで気を付けなければならないことは病変の見落としである.見落としをなくすことは最終目標であるが,実際には見落としをゼロにすることは難しい.そこで,今回は以下の3 点について見落としを少なくするためのコツを挙げてみたい.対象は初級者から中級者までとする.
@ 肝臓:肝臓の病変で見落としやすい場所は,肝左葉外側区の端と,肝右葉後下区域(S 6)の端,横隔膜ドーム直下(S 8)などである.常に意識を端端において検査をすることがポイントである.
A 胆嚢:胆嚢底部は腹壁に近く,コンベックスプローブでは多重反射により病変がマスクされてしまうことがある.ポイントは,高周波のリニアプローブに持ち変えることができるかどうかである.
B 膵臓:膵尾部は検査条件が良い場合でも描出困難なことが多い.ここでのポイントは脾臓をウインドウとして膵尾部を観察することができるかどうかである.

2.心臓超音波検査の計測値を考える−検者間の計測誤差を少なくするために−

座長:舛形 尚(香川大学医学部総合診療部)
演者:横内美和子(KKR 高松病院検査科)

心臓超音波検査は超音波検査のなかでも計測項目が多い.検査実施者と診断者が異なる場合には,計測値のみが重要視されることで,時に検者自体の意図しない結果評価,診断となってしまうことが危惧される.KKR 高松病院は179 床の中規模病院ながら,2 台の検査装置にて年間約2, 700件の心臓超音波検査を実施している.このため可能な限り短時間で検査を実施しつつ,精度の高い計測値を提供することが求められている.今回,当院の計測における検討例を提示するとともに,スクリーニング検査での計測誤差の改善についての取り組みについて発表する.3D やストレインなど新技術が注目される昨今,基本となる計測の重要性と計測誤差の低減方法について皆様とともに再確認し,検者間および検者内信頼性を向上する糸口になればよいと考える.また諸施設のソノグラファーの皆様には,より迅速・正確に計測できる工夫につきご教示いただきたく思う.

3.乳腺超音波検診による非触知乳癌の検出(当院における要精査基準を提示して)

座長:亀井義明(愛媛大学医学部附属病院乳腺センター)
演者:安毛直美(たけべ乳腺外科クリニック)

当院ではリアルタイム超音波(US)検査で乳房全体を検索するwhole breast scanning(WBS)をいち早く乳癌検診に導入し,多くの非触知乳癌,非浸潤性乳癌,微小浸潤癌を発見してきた.2005 年からの6 年間はマンモグラフィ(MMG),US 併用検診でのべ18, 400 人から159 例(発見率0. 86%)の乳癌を発見した.159 例のうち非触知乳癌は111 例(発見率0. 60%)非浸潤性乳癌,微小浸潤癌は69 例(発見率0. 38%)であった.当院の検診システムはMMG 撮影後,超音波担当者(医師2 名,臨床検査技師1 名,診療放射線技師2 名)がモニター画面で読影しつつ,穿刺吸引細胞診の適応にするか否かを最も重要視してWBS を行う.US 所見はあまり細かい要素を検討せず,US をグレイスケールマクロ病理学として位置づけ形状を重視し,分布,年齢,石灰化,distortion の有無を加味した要精査基準を考案し実施している.US での要精査基準を示し的確な拾い上げについて動画を用いて説明する.

4.超音波検査士によるスクリーニング

座長:秦 幸吉(香川県立保健医療大学看護学科)
演者:大川朋子(小阪産病院超音波検査室)

当院は東大阪市にある61 床の産科・婦人科の専門病院で,年間約2000 件のローリスク分娩を取り扱っている.NICU や新生児外科を持たない産科施設では胎児異常の発見が重要と考え超音波室における胎児スクリーニングの充実に努力して来た.日本超音波医学会認定の超音波検査士が6 名おり,4 回のスクリーニング検査と,医師の指示による産科・婦人科の精密検査を行っている.2001 年からチェックリストの使用と胎児心臓のスクリーニングを開始し,それまで低率であった先天性心疾患の検出にも力を入れてきた.その結果,重症先天性心疾患で新生児期に緊急搬送を行わねばならない症例は激減した.当院のように,産科スクリーニング検査を技師が行う体制を確立している施設はまだ決して多くはないようである.胎児エコーは技師の新たな活躍の場としても期待できる業務であり,全国的に産婦人科領域の超音波検査士が増える事を期待したい.

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【講習会2】初心者のための産科超音波講習会

座長:草薙康城(愛媛県立医療技術大学看護学科)

1.妊娠初期の超音波診断

演者:花岡有為子(香川大学医学部周産期学婦人科学)

妊娠初期の超音波検査でチェックすべきことは,大きく2 つに分けられる.
 初期に診断し,管理や治療が必要とされるもの
  流産,異所性妊娠,胞状奇胎
  初期に確認しておかないと後には診断できなくなってしまうもの,分かりにくくなってしまうもの
  妊娠週数の確認
  多胎妊娠における膜性診断
  卵巣嚢腫や子宮筋腫などの合併症の確認
これらについて,超音波検査における観察のポイントを解説する.
1.妊娠の部位
正所性か異所性妊娠か.超音波による妊娠の確認は,経膣超音波断層法を使用すれば妊娠4 週後半から子宮内の胎嚢が確認できるようになる.異所性妊娠の多くは卵管膨大部妊娠であるが,子宮内の異所性妊娠には頚管妊娠や間質部妊娠があり,帝切率の上昇に伴い帝王切開瘢痕部妊娠も増加傾向にある.また,生殖補助医療の発達にともない,子宮内と子宮外の同時妊娠の頻度も上昇している.
2.異常妊娠
流産や奇胎妊娠などの診断が大切である.胎嚢が確認されたがその後胎芽が認められない,胎芽確認後に胎児心拍の消失などは稽留流産の所見である.また,出血の症状があって初期に見られていた胎嚢が見えなくなった場合は流産の進行所見である.胞状奇胎の場合には,子宮腔内を満たす嚢胞化した絨毛が特徴的な所見(small vesicle pattern)を示す.
3.胎児の数
妊娠初期には胎嚢の数と胎児の数を確認しておくことが重要である.多胎妊娠の膜性診断は妊娠初期には容易であり,その診断は後の妊娠管理に重要となる.
4.妊娠週数の確認
妊娠週数の確認は,妊娠初期の頭殿長(CRL)計測が最も信頼性が高い.妊娠12 週頃までのCRL 計測では,真の妊娠週数との誤差が± 5 日くらいであり,最終月経からの妊娠週数とCRL からの妊娠週数に5 日以上の解離がある場合には週数を修正する.
5.合併症の確認
子宮奇形がないかどうか,子宮筋腫や卵巣嚢腫がないかどうかは,妊娠初期に確認しておかなければならない.妊娠の経過とともに子宮が増大してからは観察が困難となるからである.子宮の正中矢状断で子宮内の胎嚢や胎児の発育が確認できたことで安心するのではなく,子宮頚管から子宮底部にかけて全体の観察,更には子宮の左右両側方を注意深く観察し,子宮全体と卵巣まで確認しておくことが大切である.

2.妊娠中・後期の超音波診断

演者:秦 幸吉(香川県立保健医療大学保健医療学部看護学科)

1.胎児の発育は正常か?
 子宮内胎児の発育が正常であるということは,胎児に十分な酸素や栄養が行き届いていると考えられ,well-being と診断する必要条件となる.そこで,超音波による胎児計測として,推定体重値(estimated fetal weight;EFW)を用いた評価法について解説する.
2.胎児に外表・形態に異常はないか?胎児の心臓や消化管は正常か? チェック項目を示しながら,代表的な胎児奇形の超音波像を提示する.
3.胎盤の位置や羊水量は正常か?
 前置胎盤の診断法,amniotic fl uid index(AFI)による羊水量評価について解説する.さらに,羊水量評価が胎児well-being を評価する上で重要であることについても触れる.
4.子宮頸管長計測
 早産予知・予防に関する子宮頸管長計測の意義について解説する.
 以上4 項目を中心に妊娠中・後期の超音波診断についてわかりやすく概説する.

3.超音波検査による胎児・胎盤の血流評価について

演者:青木昭和(島根大学医学部産科婦人科)

 産科領域では近年,超音波診断装置による胎児評価が飛躍的に進歩した.その一つに,胎児胎盤血流計測における詳細な循環動態の把握を可能としたpulse Doppler 法が挙げられる.具体的な血流計測部位としては臍帯動脈(UA),中大脳動脈(MCA)が臨床的に最も用いられている.臍帯動脈PI・RI の上昇は胎盤における血管抵抗の上昇を意味し,胎盤機能不全の指標となる.また,中大脳動脈PI・RI の低下は低酸素による脳血管拡張(brain sparing 効果)を意味し,脳血管抵抗低下を示している.これら2つの血流変化は低酸素により胎児が受ける影響の中で比較的早期(代償期)に出現すると言われる.一方,臍帯静脈をはじめとする各種静脈波形異常は,心臓への静脈還流を含む胎児全身の循環動態悪化を反映しており胎児機能不全の指標となる.特に静脈管や臍帯静脈の血流異常は胎児循環不全の中期から出現し後期(非代償期)に顕著化するため,この時期の早期発見に有用とされる.以上の点は,実際の胎児well-being 評価を行う上で,充分理解しなければならない内容である.今回は,これらの事を背景 とし,動脈系および静脈系血流評価,さらに集学的胎児評価として胎児大動脈狭部の血流評価やmyocardial performance index(MPI)について述べてみたい.

4.胎児・胎盤におけるSTIC を用いた形態評価について

演者:青木昭和(島根大学医学部産科婦人科)

 近年,胎児や新生児の心臓を対象とした4D データ収集法であるspatiotemporal image correlation(STIC)という新たな手法が開発され,3D・4D 超音波法は飛躍的に進歩した.STIC 法は1回のスウィープスキャンで得たvolume データから心拍数を推定し,1 心拍分の動画像を構築し,直交3 断面や各種のrendering画像に表示する方法である.さらにダイナミックな胎児心臓の動きをリアルタイムで多断面表示できることも大きな特徴である.得られたvolume データはハードディスクに保存することができ,検査終了後の好きな時に取り出し,任意断面での解析や計測も可能である(post-process).さらに4D power Doppler,4D HD(high defi nition)-fl ow,4D B-fl ow,4D inversion rendering などの特殊な技術が開発され,胎児心臓の診断はもとより,他臓器の診断でも詳細な描出が可能となり,今後の臨床応用が期待されている.STIC により従来では見えなかった角度からの観察や全体像が明らかになりつつある中で,今回は,現時点で行われている胎児・胎盤におけるSTIC の産科応用について,我々の知見を加え,文献も参考にしながら臨床に則して述べてみたい.

5.3D / 4D をいかに使うか

演者:田中宏和(香川大学医学部周産期学婦人科学)

 三次元(3D)超音波検査が臨床応用されてから10 年以上経過している.初期には画像処理に時間を要したが,コンピューター処理速度が飛躍的に向上したことによって,非常に短時間で表示できるようになり,3D 画像を動画(所謂4D 超音波)として用いることが可能となった.3D/ 4D 超音波の一般的な臨床応用としては,特に産科領域において患者・家族への説明ツールとして用いられることが多いのが現状であろう.その他の利用法として は,3D 超音波法の導入によって,より正確な体積計測が可能となり,in vivo で諸臓器や器官の体積計測が実施されるようになった.4D 超音波では,各器官を同時に表示させられることから,産科領域における胎児行動様式の評価に用いられている.またカラードプラへの応用により血管系の立体表示が可能となり,さらに血流評価による胎盤等における臓器の機能評価として応用されている.その他,inversion モードやSTIC(spatiotemporal image correlation)法の導入により,それまで表示が困難とされた液体貯留像の評価や短時間での動きの大きな心臓血管系の3D/ 4D 表示による形態評価が可能となった.ここでは3D/ 4D 超音波法を利用した臨床応用の現状について紹介する.

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