
YIA(循環器)|YIA(消化器)|新人賞|Images of the Year|
消化器3|甲状腺・乳腺・腎・産婦人科|循環器4|
循環器1|消化器1|循環器2|消化器2|
表在・総合|消化器4|循環器3|
座長:木佐貫 彰(鹿児島大学)
1.当院における最近の心内膜炎の特徴
産業医科大学 第二内科学
【目的および方法】2007年12月より2001年6月に施行した3次元経食道心エコー(3DTEE) 829例中、心内膜炎疑いでTEEが施行された56症例を対象とし、最近の心内膜炎の特徴を検討した。【結果】経胸壁心エコーで疣贅の存在が診断されたのは20例、TEEでは28例に疣贅が確認された。疣贅付着部位は左心系の自己弁19例、3例は人工弁などの心腔内異物であった。正常と思われる弁への感染が12例にみられた。一方血液培養陽性は12例に過ぎなかった。また悪性腫瘍、膠原病に伴う非細菌性心内膜炎を3例に認めた。7例が経過中外科手術を受け、遠隔期に3例が死亡した。3DTEEは病変の空間的広がり、疣贅の経時的変化を評価する上できわめて有用であった。【結語】血液培養陽性の割合は低く、疑った場合は積極的にTEEを施行し疣贅を検索すべきである。また3DTEEの併用は診断、治療経過に対し有益な付加的情報を提供する。
2.27年間で経験した6症例の好酸球性心筋炎の心エコー所見の検討
1野崎東病院 内科、2こまき内科、3春光会東病院、4宮崎市立田野病院、5南部病院、6三原内科
【目的】好酸球性心筋炎の原因は多彩で,心筋に浸潤した好酸球由来の好酸球性カチオン蛋白(ECP)等により心筋障害を呈する.27年間で経験した6症例の心エコー所見の検討を行った.【方法】年齢;平均59歳(36-83).性別;男性:女性=2:4.診断は日本循環器学会ガイドラインに基づき行った.【結果】原疾患は,特発性4,寄生虫感染症1,好酸球性白血病1であった.臨床病型は,劇症型1,急性型4,慢性型1に大別された.心エコー所見は,壁運動異常(2/6),心嚢液貯留(1/6),拡張型心筋症様変化(3/6)を呈した.また,急性型では左室壁肥厚を呈した.【総括】好酸球性心筋炎の心エコー所見は多彩であり,診断と治療効果判定に大変有用であると考えられた.
座長:石橋 大海(国立病院機構長崎医療センター)
3.膵のfocal fat replacementの検討
1鹿児島厚生連病院 画像技術科、2鹿児島厚生連病院 消化器内科、3鹿児島厚生連病院 病理診断科
【目的】超音波検査で膵に腫瘤様にみえる高エコー域や低エコー域を認めることがある.CT画像で膵外脂肪との直接連続性を認めfocal fat replacementと考えられた.CT検査やMRI検査で脂肪と診断された症例について,超音波で特徴を捉えることができないか検討した.【方法】超音波で膵実質の状態と発生部位,腫瘤とした脂肪の評価,脂肪との連続性の検討を行った.対象は経過観察中の20例.【結果】低エコー症例の膵実質は輝度増強があり発生部位は膵頭−体部であった.高エコー症例の膵実質は輝度増強がなく発生部位は膵体―尾部であった.腫瘤様の高・低エコー症例とも内部は索状構造で形状は多様であった.脂肪との連続性は評価できたが、評価困難な症例でも膵表面の一部と接していた。【結語】focal fat replacementは超音波検査にて膵臓実質のエコーレベルの状態,内部の索状構造の有無,膵脂肪との連続性が鑑別診断の1つになると思われた.
4.大腸癌原発巣の肝転移診断におけるソナゾイド造影超音波検査とCT検査の比較検討
1久留米大学医療センター 臨床検査室、2久留米大学医療センター 消化器内科、3久留米大学医療センター 外科
【目的】大腸癌原発巣に対する術前の肝転移検索として,造影超音波検査(CEUS)の有用性を検討した.【対象と方法】2010年4月から2011年6月に施行した術前CEUSと,CTで描出したそれぞれの転移性腫瘍数や腫瘍径を比較した.【結果】42症例のうち11症例で肝転移を認めており,平均腫瘍数は3個,平均腫瘍径は18×16mmであった.感度・特異度・正診率はCEUSで81%・100%・95%,CTでは72%・94%・88%であった.10mm以下の結節の診断はCEUSが有用であり,CTでは限局性低脂肪化やシャントなどの血流変化による疑陽性がみられた.【考察】大腸癌原発巣に対する肝転移検索目的においては,CEUSの方が,感度・特異度ともに優れていた.とくに小病変の拾い上げの確定診断に有用である.
座長:山下 裕一(福岡大学病院)
5.心窩部アプローチが有用であった左房粘液腫の1例
1済生会熊本病院 中央検査部生理、2済生会熊本病院 集中治療室、3済生会熊本病院 中央検査部病理
【はじめに】左房粘液腫の描出に心窩部アプローチが有用であった症例を経験したので報告する.【症例】73歳,男性.【現病歴】腹部大動脈瘤を指摘され,当院へ紹介された.スクリーニングのため心エコーが施行された.心尖部四腔像で,左房内の心房中隔付近に構造物を認めたが,観察不良であった.心窩部アプローチで観察すると,心房中隔に付着する腫瘤が明瞭に描出された.腫瘤は20×17o大で,可動性に富んでいた.エコー所見より,粘液腫が疑われた.【経過】左房内腫瘤に対して外科的切除術が施行された.術中所見および病理所見から粘液腫と診断された.【結語】左房粘液腫の描出に胸壁アプローチは困難であり,心窩部アプローチの方が有用となった症例を経験した.基本アプローチのみならず,多様なアプローチを組み合わせ,多方向より観察することが,エコー診断をする上で重要と思われた.
6.繰り返す胆管炎に合併した肝炎症性偽腫瘍の一例
1佐賀大学 肝臓・糖尿病・代謝内分泌内科、2医療法人ロコメディカル 江口病院 消化器内科、3佐賀大学 医療情報部
症例は68歳男性で主訴は発熱。2002年に胆管炎に対して胆嚢摘出手術施行(胆管-空腸吻合術)が行われた。その後胆管炎を繰り返し、外来で抗生剤投与されていた。平成22年2月7日から発熱、USにて肝S5-6に腫瘤像と腹水を認め、精査目的に入院。血液生化学検査では炎症所見の上昇とPIVKA-の上昇あり。USでは境界不明瞭な等〜低エコーの腫瘤で内部に脈管の走行を認めた。CTで肝S5-6に径6cm程度の境界不明瞭、内部不均一、血流に乏しい腫瘤像あり。腹部造影エコーで早期相では周囲と同様に染まり、クッパー相では内部が不定形に抜けて見えた。腫瘍生検では、炎症性偽腫瘍の診断であった。同年4月のCTでも腫瘍の縮小を確認した。本症例の画像所見からは非典型的な所見と思われたが、肝炎症性偽腫瘍は非特異的炎症性病変であり、病期により所見が異なるためと考えられた。
7.左側結腸炎型潰瘍性大腸炎に合併した自己免疫性膵炎の1例
1福岡大学筑紫病院 消化器内科、2福岡大学筑紫病院 病理部
症例は30代女性。1998年に粘血便が出現し、左側結腸炎型潰瘍性大腸炎と診断された。2011年2月に心窩部痛と背部痛が出現し、Amy 267U/L、Lipase 628U/Lと上昇し、腹部CTで膵体尾部は腫大し、動脈相で造影不良域を認めたため、急性膵炎の診断で入院となった。絶食、抗生剤、大量輸液を行い症状は徐々に軽快した。ソナゾイドを用いた造影エコーでは、造影前の膵体部は低エコーで、血管相では網目状の血管を認め、染影効果は弱く、40秒後にはまだらになった。ERPで膵体部の主膵管に狭細化を伴った限局性の狭窄を認めた。経皮的膵生検では、AIP with GELであった。ステロイドは使用せず4ヶ月後も再発なく経過している。炎症性腸疾患に合併した自己免疫性膵炎を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
座長:松本俊郎(大分大学)
8.心室中隔欠損症に合併した心内膜炎の一例
1雪の聖母会聖マリア病院循環器内科、2雪の聖母会聖マリア病院生理検査室
34歳男性 出生児より心室中隔欠損症を指摘されていたが手術適応はないと言われていた.平成16年肺高血圧を指摘されたが経過を見ていた.平成23年3月胸膜炎にて当院入院時に再度肺高血圧を指摘され胸膜炎が落ち着いたあと心カテをする事となっていた.平成23年5月歯科治療をおこなった.5月中旬から発熱が認められた6月30日当院受診したところ右室内に径1cmをこえるvegetationを認めた.準緊急的に手術を予定するも手術前に胸痛などが認められ心エコーを行ったところ右室内のvegetationが消失,CTにて肺動脈内に認められた.この症例について報告する.
9.急性大動脈解離の一例
大分循環器病院
《症例》75歳,女性.《臨床経過》肺炎のため当院にて入院加療中であったが,2009年3月25日16時頃より心窩部痛あり,20時に突然,痙攣と意識消失出現し,血圧触知不能となった.心肺蘇生術を施行しながら,緊急心エコー図を施行したところ,大動脈弁直上より全周性に上行大動脈の解離を認めた.また心嚢液貯留により右室がcollapseしていたため,心タンポナーデと診断された.至急,心嚢穿刺にて心嚢内の血液を吸引したところ,血圧が上昇し意識を回復したが,外科搬送時に再度ショック状態となり死亡された.《まとめ》全周性の著しい大動脈解離の画像を得られたため報告した.
10.著明な僧房弁口狭窄をきたした左房粘液腫の一例
大分循環器病院
《症例》77歳,男性.《現病歴》2008年5月頃より,労作時息切れを自覚.次第に悪化するため,2008年10月1日に近医受診.左房粘腫を疑われ当院に転院となる.《経過》経胸壁心エコー図にて,左心房内に可動性に富む巨大粘液腫を認め,拡張期に僧帽弁口に陥入していた.腫瘍により僧帽弁口は狭小化しており,カラードップラー法にてモザイクシグナルを認めた.僧帽弁口の著明な狭窄により,高度の肺高血圧(推定肺動脈圧 128mmHg)を認めたため,早急に外科手術が必要と判断され心臓血管外科に転院となった.《まとめ》僧房弁口に陥入する巨大左房粘液腫の画像を得られたため報告した.
11.肝細胞癌における造影超音波と病理像との比較
1新小倉病院臨床検査室,2新小倉病院肝臓病センター,3九州大学大学院医学研究院形態機能病理学
今回我々は,ペルフルブタンによる造影超音波において,Micro flow imaging(MFI)を使用し,肝切除を行った初発肝細胞癌の造影信号と病理組織像を比較した.症例はC型肝炎の70歳代男性,腫瘍径は15mmである.MFI開始約1秒後に,腫瘍辺縁から枝分かれしながら流入していく比較的太い造影信号が観察された.その超音波像と同じ断面で作成した組織標本では,観察された造影信号に一致して短径100μm以上の動脈が存在し,他の部分では動脈径は100μm以下であった.超音波造影信号の特徴から腫瘍内の血管径は推定可能であると考えた.
12.左膝皮下に生じた血管平滑筋腫
1医療法人天神会古賀病院21臨床検査部,2医療法人天神会新古賀病院循環器科
《症例》63歳男性.《現病歴》左膝の皮下に7,8年前から有痛性の腫瘤が触知された.質的診断目的で超音波検査施行した.《超音波検査所見》左膝皮下に9×13mmの低エコー腫瘤を認めた.腫瘤は類円形で辺縁は整,辺縁低エコー帯を有していた.内部エコーは均一な実質エコー内に無〜低エコー域が散在性に観察された.腫瘤は血流シグナル豊富であり,血流シグナルの位置と無〜低エコー域が一致しているものもあり血管腔をとらえていると思われた.《経過》後日,切除術を施行した.腫瘤は被膜に囲まれており,血流豊富であった.病理所見では多数の血管の介在で周囲に好酸性で紡錘形細胞の増殖を認め,血管平滑筋腫と診断された.
13.超音波検査にて好酸球性腸炎を疑ったエコー像
医療社団法人恵愛会大分中村病院臨床検査部
《はじめに》好酸球性胃腸炎は比較的まれな疾患で,中でも腹水を認める症例はさらにまれであるが,この場合漿膜下に病変を有する漿膜下主体型に分類される.一方粘膜主体型においては,蛋白漏出や吸収不良により低蛋白血症をおこすことがあるとされる.われわれは腹水をともなった好酸球性胃腸炎の1例を経験したので報告する.《超音波画像》 この3枚の画像は,1.腹水を伴う小腸の肥厚と腸間膜の肥厚を高周波のプローブで捕らえ,その中を走行する動,静脈をB-フローカラーで描出することにより捻転や拘厄性の可能性を否定した.2.ステロイドを使用する前後の小腸壁の肥厚の変化 3.小腸壁肥厚が広範囲にわたるパノラマ画像
14.膀胱破裂診断の決めてとなったエコー像
医療社団法人恵愛会大分中村病院臨床検査部
《症 例》54歳 男性 腹部膨隆を訴え来院《超音波画像》腹腔内に大量のEFSを認めた.膀胱壁の肥厚と一部欠損を認め,カラードップラにて膀胱内より腹腔内に尿が噴射する瞬間を容易に捕らえることが出来た.また,一度カテーテルにて膀胱内を空にした後生理食塩水200ml注入し欠損孔から腹腔内へ生理食塩水が噴射する様子を動画で捉えた.膀胱破裂診断に超音波検査が有効であったので報告する.1カラー動画,2生食注入時Bモード動画,3手術写真 《腹水採取結果》2300ml 穿刺吸引 無色透明 pH8.5 細胞診 ClassT TP 1.48g/dl,LDH84 U/l,BUN 14.8mg/dl,Cre 1.02mg/dl
15.僧帽弁置換術時の心房中隔切開線に沿って慢性期膜状の血栓形成が認められた一例
産業医科大学第二内科
《抄録》症例は80歳男性.僧帽弁逸脱症による重症僧帽弁閉鎖不全症を認め,肺高血圧も合併しており手術適応と判断され当科入院となった.術前の冠動脈造影検査で左前下行枝近位部に有意狭窄を認め,僧帽弁置換術(生体弁)および冠動脈バイパス手術が施行された.術後3日目より低用量ヘパリン投与,術後12日目よりワルファリン投与を開始した.術後20日目に経食道心エコー図検査(TEE)を施行したところ,心房中隔切開線に沿って心周期に応じ揺れ動く膜様の構造物が付着しているのが観察された.血栓と考え抗凝固療法を強化.再度施行したTEEで構造物の縮小を認めた.
座長:一二三 倫郎(熊本赤十字病院)
16.腹部超音波検査が有用であった虫垂粘液嚢腫(mutinous adenoma)の一例
1鹿児島厚生連病院 消化器内科、2鹿児島厚生連病院 外科、3鹿児島厚生連病院 中央検査室
【症例】77歳 女性.【主訴】下部消化管内視鏡検査での異常【既往歴】高血圧,平成21年6月脳梗塞【既往歴】平成22年5月13日の近医での腹部超音波検査で,胆嚢頚部に腫瘍が疑われた.腹部CT検査で胆石症と診断,手術目的で6月22日当院受診,精査目的で7月1日入院となった.7月2日の下部消化管内視鏡検査で虫垂孔の膨隆を認めた.腹部CT検査でははっきりしなかったが,腹部超音波検査で虫垂孔付近にcystic echoを認めた.このため胆摘時に虫垂も切除することとし,7月8日腹腔鏡下胆摘術+虫垂切除術施行,虫垂は根部の拡張を認め,小開腹で切除を行った.切除標本を開くと白色の粘液物を認めた.最終病理はmucinous adenoma with mild atypiaであった.文献的考察を加え報告する.
17.胆管内粘液産生腫瘍の2症例
霧島市立医師会医療センター 消化器内科
今回我々は胆管内粘液産生腫瘍の2症例を経験した。症例1は57歳女性、アルコール依存症治療入院時の腹部エコーで肝左葉の嚢胞性病変と胆管拡張を認め、当科紹介となった。B3or4に約3pの壁在結節を伴う嚢胞を認め、拡張した胆管内には粘液の存在を示すと思われる刷毛状エコーを認めた。胆道鏡で嚢胞内の結節部より生検を行い、乳頭腺癌の診断で肝左葉切除を行った。症例2は93歳女性、嘔吐と肝障害を認め当院紹介となった。腹部エコーでは総胆管、肝内胆管の拡張を認め、胆管内には症例1と同様に刷毛状エコーを認めたが、腹部CT等では胆管壁に明らかな結節等を認めなかった。入院後約1か月目に肝不全にて死亡した。胆管内粘液産生腫瘍の報告は少ないので若干の文献的考察を含めて報告する。
18.体外式腹部超音波にて胆嚢に特徴的な所見を認めた膵管胆管合流異常症の2例
1霧島市立医師会医療センター 超音波検査室、2霧島市立医師会医療センター 消化器内科
《症例1》30代女性【主訴】腹痛【超音波所見】胆嚢の全周性の壁肥厚と壁表面の不整像,肝内胆管の拡張を認めた。造影にて胆嚢壁・胆管の染影は認めなかった.US上,合流異常を同定することができた。【病理】胆嚢粘膜の軽度線維化を認めChronic inflammationと診断された。《症例2》40代女性【主訴】検診で胆道系酵素上昇を指摘,近医で胆嚢隆起性病変を指摘され当院に紹介となる。【超音波所見】胆嚢底部を中心として壁全体に5〜7mmの隆起性病変の多発と壁肥厚を認めた。ERCPにて合流異常が指摘された。【病理】粘膜の過形成性とコレステローシスを認めChronic cholecyscitisと診断された。《まとめ》以前より若年女性で胆石を伴わず胆嚢の壁肥厚・コレステローシスの所見がある場合には,膵管胆管合流異常症を考える必要があると言われている。今回は文献的考察を加えて当院の症例を報告する。
19.リアルタイムで胆嚢内のガス像を捉えた総胆管結石合併気腫性胆嚢炎の1例
1済生会熊本病院 消化器病センター、2済生会熊本病院 中央放射線部、3済生会熊本病院 外科センター、4済生会熊本病院 病理
患者は70歳女性. 糖尿病にて近医で加療中であった. 腹部手術歴や内視鏡的乳頭括約筋切開術の既往なし. 就寝中の心窩部痛, 嘔吐を主訴に当院へ救急搬送された. 腹部超音波検査で胆嚢は軽度腫大を認めるも壁肥厚は認めていなかった. また胆嚢頚部に10mm大の結石を認めていた. 胆嚢腔内には点状高エコー像が気胞が沸くように底部に向かって動き, 胆嚢内でのガス発生の可能性が示唆された. 腹部CTでも空気像がみられ, またMRCPでは総胆管結石を認めた. 以上の所見より, 気腫性胆嚢炎, 総胆管結石と診断した. まずERCP下に総胆管結石を採石し, その後にPTGBDを施行した. 血性胆汁を認め胆汁培養ではClostridium属が検出された. 翌日, 腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した. 病理所見は, 胆嚢壁は全層性に壊死に陥っていた. 術後経過良好で第6病日に退院となった. 胆嚢内でガスが発生している様子をリアルタイムで捉えた画像は大変貴重と考え, 文献的考察を加え報告する.
座長:佐藤 昌司(大分県立病院)
20.甲状腺結節被膜部分に高エコーを描出した2症例(組織像との対比)
1野口病院 研究検査科、2野口病院 内科、3野口病院 病理、4野口病院 外科
【はじめに】甲状腺悪性腫瘍の約8割を占める乳頭癌の超音波所見の一つとして高エコーがある。今回結節周辺部に限局した高エコーを2症例経験したので病理組織と対比し報告する。【症例】(症例1)59才女性甲状腺右葉に16×23×35mm形状整・境界明瞭の結節を描出。被膜周辺に限局した腫瘤を縁取る高エコー部を認めた。病理組織標本では、結節被膜周辺部に多数の脂肪細胞を認めた。組織診断は濾胞腺腫であった。(症例2)62才女性甲状腺右葉に9×9×13mm形状不整・境界不明瞭の結節を描出。被膜周辺部に限局した点状微細高エコーを認めた。病理組織標本では、結節被膜の周辺部に砂粒体を認め組織診断は乳頭癌であった。【考察】今回結節周辺部に限局した高エコーを有する結節を経験した。乳頭癌の高エコーは微細な高エコーを呈しており乳頭癌の診断率を上げるためには、高エコーを正しく判断する必要がある。
21.悪性腫瘍との鑑別が困難であった乳腺症の2例
1産業医科大学病院 臨床検査・輸血部、2産業医科大学 放射線科学教室、3産業医科大学 第2病理学教室
乳腺症による腫瘤性病変は、多彩な性状を呈し悪性疾患との鑑別が難しい場合も少なくない。今回、明瞭な限局性病変が描出され、悪性が強く疑われたが、細胞診により乳腺症との診断がついた2症例について報告する。【症例1】32歳女性 ドックの健診で乳房腫瘤を指摘され受診。当院USにてEB領域に16×13×9o B領域に7×3oの腫瘤を認めた。B領域の腫瘤はEB領域の延長線上に描出され、乳管内進展を疑った。形状やや不整な低エコー腫瘤で充実腺管癌を疑ったが針生検では乳腺症の診断であった。【症例2】38歳女性 右乳腺のしこりを自覚、近医受診。マンモグラフィで石灰化を指摘され当院受診。USにてA領域に明瞭に描出される20×17×12oの形状不整な低エコー域がみられ、内部に複数の微細点状高エコースポットも確認された。針生検では乳腺症の診断であった。2例ともサイズの大きな病変で、悪性を疑う所見を呈していた。
22.腎嚢胞の消失部位に隣接して発生した乳頭状腎細胞癌の1例
1済生会熊本病院 中央検査部、2済生会熊本病院 消化器病センター、3済生会熊本病院 中央放射線部、4済生会熊本病院 腎・泌尿器科センター
【症例】59歳,男性.2002年に検診超音波検査で指摘された右腎嚢胞が徐々に縮小し,消失した。同部位の腎実質は萎縮し梗塞様の形態を示し,一部に腫瘤を疑わせる所見を認めた.精査で腎結核または腎梗塞と判断され,経過観察された.2年後,血尿のため当院を受診.超音波検査では,以前に認めた梗塞部の腫瘤は3cmの腫瘤として認識でき,炎症または腎腫瘍が疑われた.造影CTで腎盂癌疑い,MRIで腎腫瘍よりむしろ炎症が疑われた.短期経過観察で腫瘍増大を認め悪性腫瘍が否定できず手術が施行された.病理学的に乳頭状腎細胞癌と診断された.【考察および結語】自験例は腎嚢胞が徐々に縮小して消失し,腎梗塞様の形態となり腫瘍を合併していた.病理学的に梗塞様部位には,腫瘍の壊死や線維性被膜形成が見られた.腎嚢胞が自然消失することはまれであり,自験例は線維化により組織が収縮,嚢胞が消失したのではないかと推察した.
23.反復流産の原因と考えられた巨大な子宮腺筋症が体外受精成功・出産後正常な大きさの子宮となった症例
セントマザー産婦人科医院
症例は32歳顕微授精を目的として当院を初診した。不妊症の原因としては重症精子無力症・乏精子症と10cm大の結節型子宮腺筋症が考えられた。顕微授精後、2回流産を反復したため、34歳で開腹し子宮腺筋症の結節を除去した。術後も子宮の肥大はあまり軽減せず再度流産したのち、顕微授精で妊娠に成功した。その後、切迫流早産で長期入院加療ののち、帝王切開にて正常児を娩出した。帝王切開時、子宮はびまん性の子宮腺筋症の状態であった。1年後、第二子希望のため来院した。経膣超音波で子宮は縮小し7.5cm大となっていた。顕微授精で妊娠し、38週に帝王切開にて第二児を娩出した。半年後に内診すると、子宮は6cm×5.5cmと正常になっていた。子宮腺筋症が妊娠、出産によりほぼ消失したという貴重な症例であった。
24.小結節として描出された甲状腺悪性リンパ腫6例
1野口病院 研究検査科、2野口病院 内科、3野口病院 病理、4野口病院 外科
【はじめに】甲状腺原発悪性リンパ腫の臨床症状は、急速増大による頚部圧迫症状などが知られているが、今回、超音波検査を契機に発見された小結節を呈する悪性リンパ腫の6例について報告する。【対象】病理組織診断がMALTリンパ腫と確定した6例(男性2例、女性4例)、年齢59〜81歳(中央値77.5歳)、結節径14〜20mm(中央値16mm)【超音波所見】全症例甲状腺内に結節を認め内部エコーレベルが極めて低エコーに描出された。後方エコー増強を示す症例と後方エコー不変を示す症例があり、結節内部に線状高エコーを認める症例もあった。ドプラにて結節内部に血流を認めた。【まとめ】慢性甲状腺炎の経過観察中には定期的な超音波検査が推奨される。悪性リンパ腫は小結節として描出される場合があるため良性結節との鑑別に注意を要する。
座長:山近 史郎(春回会井上病院)
25.結節状の心室壁肥厚を呈した心サルコイドーシスの1例
1大分大学 臨床検査診断学、2大分大学 内科学第一
【症例】38歳 男性【現病歴】2011年1月より軽度の心不全症状を自覚し、同年2月心電図にて完全房室ブロックを指摘された。【検査・経過】心エコーで左室駆出率57.5% 心室中隔基部(19.8×28.9mm)、心室中隔心尖部(18.8×38.8mm)に内部均一で低輝度の結節像を認めた。心臓MRIでは心エコーと同部位に二つの結節像を認め、Gaシンチは心臓への集積を認めた。縦隔リンパ節生検よりサルコイドーシスと診断され、心サルコイドーシス合併と考えられた。【まとめ】心サルコイドーシスはサルコイド結節の心筋への浸潤により不整脈や心不全を生じる病態である。病初期に浮腫・リンパ球浸潤・類上皮細胞性肉芽腫により心室壁が肥厚し、最終的には線維化巣に置き換わり菲薄化すると考えられている。本症例では心筋肥厚が比較的境界が明瞭な結節性病変として描出されたという点が特徴的であり、腫瘍性病変も鑑別診断として考えられた。
26.15年間で経験した5症例の心サルコイドーシスの心エコー所見の検討
1野崎東病院 内科、2こまき内科、3春光会東病院、4宮崎市立田野病院、5南部病院、6三原内科
【目的】サルコイドーシスは原因不明の全身性多臓器疾患で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を特徴とした稀な疾患であり,心病変合併の有無の診断と治療が予後を規定する.15年間で経験した5症例の心サルコイドーシスの心エコー所見について検討した.【方法】年齢は診断時平均64歳(48〜78),全例女性,診断は心臓サルコイドーシスの診断の手引き(2006年改訂)に基づき行った.【結果】2例は拡張型心筋症様変化,1例は心室中隔基部菲薄化,1例は肥大型心筋症様変化,1例は僧帽弁逆流症をきたした.心臓罹患部位により多彩な心エコー所見を呈した.【考察】心サルコイドーシスの合併の有無を診断する上で心エコー所見は重要であり,心病変合併の有無の診断,治療が予後を規定した.
27.中心静脈に留置されたカテーテルにより右房に巨大可動性血栓を形成したCrohn病の一例
1宮崎大学医学部附属病院 検査部、2宮崎大学医学部附属病院 第一内科、3宮崎大学医学部附属病院 病理部
【症例】30歳、女性。1993年に小腸型Crohn病と診断された。2009年12月腹痛・下痢が増悪し、低蛋白血症・体重減少を認め、高カロリー輸液管理目的のため左鎖骨下静脈に中心静脈ポートを留置。2010年7月6日、腹部症状の改善目的に手術を希望され、術前の心エコー検査にて右房内に4cm×1cm大の腫瘤を認めた。腫瘤は可動性に富み、拡張期に右房から三尖弁を超え右室内に翻転していた。肺換気血流シンチで肺野末梢に多発性肺塞栓症を認めた。右房内の腫瘤は血栓を疑い7月8日より抗凝固療法を開始したが、腫瘤の増大を認め7月13日に開胸手術を施行。手術所見では、上大静脈に留置したカテーテル先端が血管の内膜を損傷し、同部位から右房へかけて血栓形成を認めた。【結語】心エコーにて右房内の巨大な可動性血栓を確認し、速やかに手術を行うことができた一例を経験した。
28.大量の心嚢液で発見された慢性活動性EBウイルス感染症の1例
1大分大学医学部 臨床検査・診断学、2国東市民病院 内科
症例は16歳男性。高校入学時の健診で心雑音聴取・心房細動・著明な心拡大(CTR83%)を指摘された。来院時に心エコー上心収縮力は良好であったが心嚢液大量貯留、高度のMRとTRを認めうっ血性心不全を呈していた。心タンポナーデ所見は認めていなかった。また同時期より39℃前後の不明熱・腎機能障害・肝脾腫・貧血を伴っていた。炎症反応は軽度であり、感染症・腫瘍・膠原病等疑い画像・各種培養・細胞診・抗体検索等を施行したが、明らかな確定診断には至らず、抗核抗体弱陽性・血球減少・漿膜炎・腎障害の存在からSLEを最も疑い、ステロイドパルス療法を開始した。その後心嚢液は著明に減少し、炎症所見・腎機能は正常化した。後日胸水細胞の遺伝子検索結果が判明し、慢性活動性EBウイルス感染症であることが判明した。今回我々は大量心嚢液貯留によって判明した慢性活動性EBウイルス感染症の1例を経験したので文献的考察を加え報告する。
29.食道裂孔ヘルニアにより拘束性障害をきたした心不全の1例
1済生会熊本病院 心血管エコー室、2済生会熊本病院 心臓血管センター
《症例》76歳,女性.《既往歴》5年前に大動脈弁置換術を施行(生体弁).《現病歴・経過》半年前より労作時および食後に呼吸困難を自覚するようになり来院された.心不全を認め,緊急入院となった.経胸壁心エコー検査で左室後壁を圧排する腫瘤様エコーを認め,それによる拘束性障害と判断された.胸腹部CTでは,食道裂孔ヘルニアを認め,胃および腸管が左胸腔へ脱出し,左室後壁を圧排している所見が確認された.後日,食道裂孔ヘルニア修復術が行われ,拘束性障害は消失し,症状も改善した.《考察》食道裂孔ヘルニアにより左室後壁が圧排され,拘束性障害による心不全をきたした1例を経験した.食道裂孔ヘルニアによる左室の圧排はときにみられるが,左室の拘束性障害をきたすことはまれであり報告した.
30.多孔性心房中隔欠損症の一例
1済生会福岡総合病院 検査部、2済生会福岡総合病院 循環器内科
心房中隔欠損症(ASD)は全先天性心疾患(CHD)の約10%を占め、成人においては最も多いCHDである。そのうち多孔性欠損型ASD(m-ASD)は経胸壁心エコー(TTE)での診断が困難とされており、経食道エコー(TEE)等での精査を必要とする場合が多い。今回我々はTTE、TEE、CTにてm-ASDを観察しえたので報告する。症例は70代男性。労作時狭心症疑いで他院より紹介された。TTEにてASDによる右心拡大と肺高血圧、TEEにて中隔に多孔性のASDと心房中隔瘤を認めた。CTでは左前下行枝に中等度以上の狭窄が疑われる一方で、左心房から右心房への連続性が確認された。
座長:中川 幹子(大分大学)
31.塞栓症発症の前後で心エコー図検査を施行し得た感染性心内膜炎の4症例
1九州厚生年金病院 中央検査室、2九州厚生年金病院 医療情報部、3九州厚生年金病院 小児循環器、4九州厚生年金病院 循環器内科
【背景】感染性心内膜炎で塞栓症を予測する報告はあるが個別のリスクを正確に推定することは困難である。塞栓症を発症した前後で心エコー図検査を施行し得た4症例のエコー所見から、塞栓源となる疣腫の特徴と観察ポイントについて検討したので報告する。【症例1.塞栓源非同定例】27歳、男性。大動脈弁二尖弁による大動脈弁閉鎖不全症にて経過観察中。主訴:発熱。心エコー図検査にて大動脈弁に疣腫と弁瘤形成、穿孔を認めた。経過中、脾塞栓発症。【症例2.塞栓源同定例】63歳、女性。動脈管開存症で加療中。主訴:心不全。心エコー図検査にて僧帽弁、大動脈弁、肺動脈内に疣腫を認めた。経過中、左胸痛発現。心エコー図検査を施行すると肺動脈内の疣腫が消失しており、CTにて肺塞栓が疑われた。【結語】全ての疣腫について可動性やサイズ、数の変化(消失の有無)を確認することに加えて高速なjetが吹き付ける部分での入念な観察が重要と考えられた。
32.感染性心内膜炎が原因と考えられた脾内血腫の1症例
1医療法人 天神会 古賀病院21 臨床検査部、2医療法人 天神会 新古賀病院 循環器科
【諸言】今回,感染性心内膜炎が原因と考えられた脾内血腫の1症例を経験したので報告する.【症例】72歳男性【現病歴】平成21年12月より発熱があり近医で入院加療.その後も発熱持続したため,当院受診となった.【超音波所見】心臓エコーで僧帽弁・大動脈弁に疣贅を疑う高エコー像を認めた.腹部エコーで脾内に70o大の混合エコー域を認め,血腫あるいは膿瘍を疑った。また、この中心部付近にカラードプラで血流シグナルを認め,仮性動脈瘤を疑った.その後,脾臓摘出術を施行し,病理診断で血腫と診断された.【まとめ】感染性心内膜炎が原因の脾破裂の症例は稀である.今回の症例は脾内血管の脆弱化と破綻により出血し,仮性動脈瘤および血腫を形成したと考えられ,脾破裂の前段階であったと考えられる.脾内血腫と脾膿瘍との鑑別が困難であったが,脾内の混合エコー域内に層状に観察される部分があり,鑑別点になると思われた.
33.心エコーが経過観察に有用であった僧帽弁感染性心内膜炎の一症例
1九州大学病院 検査部、2九州大学病院 ハートセンター
症例は50代女性。平成X年12月、四肢関節痛・紫斑・発熱が出現した。感染巣不明ながら血液培養で黄色ブドウ球菌(MSSA)が検出された。DIC、敗血症性ショック、感染性脳動脈瘤破裂による多発性クモ膜下出血、細菌性髄膜炎を併発した。1月から心不全を発症、心エコーで僧帽弁疣贅が確認され、感染性心内膜炎の診断で当院転院となった。心エコーでは僧帽弁後尖lateral側に11×12mmの高輝度構造物と高度僧帽弁逆流を認めた。意識障害もあり、その時点では手術適応外と判断され内科的治療が優先された。11日後の心エコーでは僧帽弁後尖穿孔を疑う血流を認め、3ヶ月後には僧帽弁後尖の短縮が観察された。心不全及び感染治療の後に、僧帽弁形成術、僧帽弁輪形成術が施行された。組織破壊の強いMSSAによる感染性心内膜炎の劇的な経過の観察に心エコーが極めて有用であった貴重な症例と考え報告する。
34.脳出血で発症した感染性心内膜炎の診断・経過観察に心エコーが有用であった症例
1福岡記念病院 生理検査室、2福岡記念病院 循環器内科
症例は33歳男性。平成○年11月22日に脳出血を発症し当院に救急搬送され、緊急血腫除去術を施行された。合併症なく経過したが、発熱、CRP高値は持続し、血培でC.hominisを検出、UCGでAMLにVegetation、Severe MRを認めたために感染性心内膜炎(IE)と診断、PIPC投与を開始した。心不全徴候は認めなかったが、CRPが改善した後のUCGでも、AMLのmobile vegetation、Severe MRは残存したために、MVRを施行した。IEによる脳出血は、稀であるが重篤な合併症の一つであるため、早期の的確な診断加療が必要で、手術時期を逸しないようにUCGでの経過観察は重要である。このように、多発性脳出血で発症したIEに対して、開頭術、開心術を二期的に施行し神経学的合併症は全く認めず、社会復帰した症例の診断・経過観察に心エコーが有用であったので文献的考察を加え報告する。
35.当院で経験した心筋炎22例の検討
1天神会新古賀病院 臨床検査部、2天神会新古賀病院 循環器内科
【はじめに】心筋炎の病態やその重症度は多種多様であり、なかには短期間に重症化する症例がある。よって心エコー図検査での頻回な観察が必要不可欠である。【目的】心筋炎の心エコー像における所見の把握と劇症化の予測因子を明らかにする事【方法】2005年1月1日より2011年3月31日の間に心筋炎と診断された22例(男性13例、女性9例、平均年齢50±24歳)を対象とし、致死的増悪例5例(A群)と回復例15例(B群)に分類した。両群において左室壁運動異常、心嚢液貯留、左室壁肥厚、弁膜症について比較検討し、予後予測因子の評価を行った。【結果】壁肥厚(p=0.01)、心嚢液貯留(p=0.03)、重症MR(p=0.03)に関して有意に致死的増悪例が多い傾向にあった。【まとめ】心筋炎の予後予測において左室壁肥厚の程度とMRの重症度、心嚢液貯留の範囲の評価は有用である事が示唆された。
36.心嚢液の性状変化を観察し得た急性心膜炎の一例
1大分循環器病院 循環器科、2大分循環器病院 生理検査室
【症例】62歳男性。【現病歴】2010年2月頃より、発熱、労作時息切れを自覚したため、4月15日当院初診、著明な心拡大と胸水貯留を認めたため入院となる。【経過】入院後、38-39度の発熱を認め、CRP 5.7mg/dlと炎症反応の上昇を認めた。心エコー図上、肺動脈圧の上昇と心嚢液の貯留を認め、急性心膜炎が疑われた。入院治療にて炎症反応は3.1mg/dlと改善したが、心嚢液の量は変化を認めなかった。4月29日に突然40度の発熱を認め、CRP 上昇、心エコー図にて心嚢内にフィブリン様のnetworkの出現を認めた。心臓血管外科にて心嚢液を採取したところ膿状で、Staphylococcus aureusが検出された。また、HIV抗体陽性でHIV-associated infectionであることが判明した。【結語】経過中に心嚢液の性状が変化した急性心膜炎の症例を経験したため報告した。
座長:清家 正隆(大分大学)
37.後腹膜平滑筋肉腫原発の転移性肝腫瘍に対し、造影超音波検査を施行した一例
1久留米大学医療センター 臨床検査室、2久留米大学医療センター 消化器内科、3久留米大学医療センター 外科
74歳、女性。2008年、後腹膜腫瘍(平滑筋肉腫)摘出術施行。2010年の腹部超音波検査にて肝S3、S6に低エコー腫瘤を認めたため、肝転移を疑い精査となる。S3(48×33mm)の腫瘤をターゲットとして造影超音波を施行、動脈相にて腫瘍内動脈に濃染を認め、多血性の腫瘤であることが確認された。門脈相では欠損が始まり、肝実質に比して一部染影の低下を認めたが、腫瘍血管は持続して濃染した。また、後血管相においては、腫瘍全体は肝実質より低エコーを示し 欠損を認めたが、内部に造影剤流入の持続を認めた。肝腫瘍生検の病理診断の結果、平滑筋肉腫との確定診断がなされ、後日外科的切除術が施行された。本症例は、非上皮性腫瘍である平滑筋肉腫の肝転移であり、血管相で腫瘍内部まで濃染、後血管相においても染影が持続するという非典型的な転移性肝腫瘍の造影パターンが得られた。
38.ソナゾイドエコーが有用であった高分化型肝細胞癌の1例
1福岡大学筑紫病院 消化器内科、2福岡大学筑紫病院 病理部
症例は、80歳代、男性。6年前よりC型肝炎に対して経過観察していた。2011年2月、USでS5に径3cmの高エコー腫瘤を指摘され、精査目的にて入院となった。Dynamic CTで腫瘍は漸増濃染された。EOB-MRIでは、T1強調像で低信号、T2強調像で強い高信号、Dynamic studyはCTと同様であった。ソナゾイドエコーでは、早期に腫瘍辺縁より明瞭なtumor vesselを描出し、29秒後にwash outされ、後血管相では、明瞭な欠損となりHCCと診断した。CT、MRIではHCCと診断できなかったが、ソナゾイドエコーではHCCと診断し、外科的切除の適応と判断し、肝部分切除術を行った。病理診断は、Well differentiated hepatocellular carcinoma nodular typeの診断であった。ソナゾイドエコーが診断に有用であった1例を経験したので報告する。
39.ソナゾイド造影超音波検査が有用であった肝細胞癌再発の一例
1鹿児島逓信病院 検査室、2鹿児島逓信病院 肝臓内科、3鹿児島逓信病院 消化器内科、4鹿児島逓信病院 外科
【はじめに】肝細胞癌の画像診断では造影CT、EOB造影MR検査が一般的に施行されている。今回我々はCT、MRIが施行できない症例にて、造影超音波検査が肝癌の診断に有用であった一例を経験したので報告する。【症例】72歳男性 B型慢性肝炎の患者で、平成6年肝細胞癌初発、平成18年まで、TACE、外科切除等にて数回治療を行っている。平成22年1月造影CTにてショックを起こし、閉所恐怖症もあり、以降CT、MRI検査が施行不能になった。AFP値が2388ng/mlと上昇したため造影超音波検査を行った。S5/8にKupffer相で1.5cm大の欠損像を認めた。re-injectionすることにより早期動脈相で辺縁より内部に向かう強い造影効果あり。肝細胞癌の再発と診断した。【まとめ】今回他の画像診断ができない場合、Defect Re-perfusion imagingによるソナゾイド造影超音波検査が肝細胞癌の診断に非常に有用であった一例を経験したので報告した。
40.肝細胞癌診療におけるソナゾイド造影超音波の有用性
大分大学 総合内科学第一
目的:第二世代超音波診断用造影剤Perflubutane(ソナゾイド)造影US(CEUS)を施行した症例をretrospectiveに評価し、その有用性について検討した。対象と方法:当科で経験したCEUS 597症例783結節のうち、同時期に造影MRIや造影CTを施行した結節における、腫瘍検出率および血流検出能の検討を行った。結果と考察:EOBMRIを基準としたCEUSでの検出率は多血性腫瘍75.0%、乏血性腫瘍44.8%で特に乏血性腫瘍での検出率は低かった。MDCTで乏血性と診断されたが、CEUSの血管相で血流が認められた結節が6/29結節あり、いずれも治療を行った。CEUSでの早期血流検出能が、治療選択に貢献しうることが示唆された。結論:乏血性腫瘍におけるCEUSは、診断に関しては限界があるが、real-timeに血流を評価できる点が優れており、幅広い活用が期待される。
41.造影エコー法による肝細胞癌の三次元表示(3D)法
1ロコメディカル江口病院 内科、2佐賀大学 内科(肝臓・糖尿病・代謝)
(はじめに)超音波診断法においても3D表示が可能になった。今回我々は肝細胞癌に対する3D造影エコー法(早期動脈相)の現状について述べる。(方法)超音波装置はLOGIQ7: BT7、造影エコー法はSonazoid(0.0075 μL MB/kg:推奨の1/2量)を注入し C.P.I.法又はC.H.A.法で撮影した。そして早期動脈相における肝細胞癌の流入血管および染影像の3D像を装置に内蔵された3Dソフトを用いて作成した。(結果)早期動脈相(純粋な動脈相)は短くばらつきが強いものの、症例によっては血管造影の3D像に匹敵するような腫腫瘍流入血管と染影像の3D描出は可能であった。なお、腫瘍径が30mm以上では全体の同時描出は困難であり、症例による画像のばらつきも強かった。(終わりに)まだ問題も多いが腫瘍の流入血管の3D描出はIVR治療や穿刺治療を行う時に参考になり有用と思われた。
座長:湯淺 敏典(鹿児島大学)
42.心エコー図にて緊急手術が必要と判断された僧帽弁逸脱症の一例
1大分循環器病院 生理検査室、2大分循環器病院 循環器科
【症例】75歳女性。【現病歴】2008年当院初診時、僧帽弁逸脱による僧帽弁逆流を軽度認めていた。2010年9月5日頃より、労作時息切れ、夜間呼吸困難を自覚したため、9月8日当院再来となる。【経過】当院受診時、脈拍 80/min、血圧 105/58mmHg、酸素10L投与下にてSatO2 98%であったが、突然、強い喘鳴と呼吸困難が出現し、酸素飽和度が低下、ショック状態となった。気管内挿管にて人工呼吸を開始し、バイタルサイン、酸素飽和度は改善したが、経胸壁心エコー図にて、僧帽弁前尖の広範な逸脱による大量の僧帽弁逆流(逆流量 106ml、逆流率 74%、有効逆流面積 0.98cm2)を認めた。この結果、薬物治療では治療困難と判断し、心臓血管外科にて緊急手術を施行された。【結語】急に進行した僧帽弁逸脱による僧帽弁逆流に対して、心エコー図により緊急手術が必要と判断された症例を経験したため報告する。
43.偶然に発見されたMarfan Syndromeの一例
1筑後市立病院 中央検査部、2筑後市立病院 循環器内科、3筑後市立病院 消化器内科
症例は58歳男性。主訴は倦怠感・消化器症状。初診時腹単にて心拡大、心雑音を指摘され循環器科紹介となった。心エコー図検査にて大動脈弁輪部径30mm、バルサルバ洞径61mm、上行大動脈径89mmと著明な大動脈の拡大とsevere ARがみられた。また左室拡大や瀰漫性左室壁運動低下、少量の心嚢液貯留も認め、心不全傾向であった。身長177.3cm、体重69kgと著明な痩せ型ではなかったが、実子2人がMarfan Syndromeと診断されていることが分かり心不全管理と全身検索の為入院となった。心不全症状は速やかに軽快したが、胸腹部造影CTにて胸部下行大動脈にDeBakey Vaの解離、頭部CTにて右水晶体偏位を認めたため、手術目的に転院し大動脈基部置換術と全弓部大動脈置換術が行われた。今回Marfan Syndromeが偶然発見され、速やかに大動脈置換術を行えた症例を経験したので報告する。
44.Y graft術後感染に伴う椎体周囲炎の一例
1済生会福岡総合病院 検査部、2済生会福岡総合病院 放射線科、3済生会福岡総合病院 循環器内科
60歳男性。AAAに対してY-graft術後13年。狭心症の既往あり。当院循環器内科にて冠動脈造影検査施行し、約1週間後より腰痛出現。約2ヶ月後に腰痛の急激な増悪と高熱が出現し、再受診。血液検査にて白血球数及びCRPの上昇を認め、造影CTにてYgraft末梢側の左総腸骨動脈周囲から椎体周囲に及ぶ感染巣を認めた。超音波にても同部位に脂肪組織の集積及び低エコー領域を認め、炎症及び膿瘍形成による所見と思われた。抗生剤による治療が施行され、経過は良好である。Ygraft術後感染+椎体周囲炎を超音波にて経過観察しえた症例を経験したので、当日は経過観察も含め、考察を加えて報告する。
45.一次性血管炎・大動脈炎症候群の2症例
1出水群医師会立阿久根市民病院 診療技術部臨床検査科生理検査室、2出水群医師会立阿久根市民病院 診療部脳神経外科
一次性血管炎・大動脈炎症候群の2症例
(症例1)33歳、男性・微熱、頭痛、関節痛など体調不良を繰り変す。CT像ー胸部上行大動脈から弓部、下降大動脈、左鎖骨下動脈起始部〜椎骨動脈までびまん性に壁肥厚、壁不整有り。血管超音波ー頸部血管の総頚動脈両側に壁不整で、びまん性肥厚を示し、左椎骨動脈は逆行性の血流を認めた。
(症例2)60歳、女性・6年ほど前右肺癌。4年ほど前急性腸炎疑い、本年5月2日、吐気、眩暈にて当院受診。さらに本年6月17日声が出なくなり、当院救急外来受診。MRIーDWIにて総頚動脈は描出されず、内頸動脈は淡く描出される。血管超音波ー総頸動脈〜内頸動脈には両側に壁不整のびまん性肥厚で総頚動脈起始部から血栓閉塞され、内頸動脈は外頸動脈より血流されていた。CT、MRI、特に血管超音波検査により、壁不整でびまん性の内中膜肥厚が見られ、大動脈炎症候群が示唆された。
46.診断に心エコーが有用であった胸部大動脈グラフト縫合部仮性動脈瘤の一例
1鹿児島大学大学院 循環器・呼吸器・代謝内科学、2鹿児島大学病院 心臓血管外科、3鹿児島大学 保健学科、4鹿児島大学病院 臨床検査部
【症例】58歳 女性、2009年に上行および弓部大動脈瘤、重症大動脈弁逆流に対し、弓部置換および大動脈弁人工弁置換術を施行された。2011年5月下旬、発熱、CRP上昇など感染徴候を認め来院したが、心エコーでは人工弁および人工血管周囲も特に異常は指摘できなかった。後日胸痛などの症状も合併しレントゲンにて縦隔陰影の拡大を認めたため、再度心エコーを施行したところ、上行大動脈グラフト中枢側縫合部より血管外の腔にto and froの異常血流を認め仮性動脈瘤の可能性が考えられた。造影CTにて人工血管縫合部離断による仮性動脈瘤の確定診断が得られ、人工血管再置換術施行した。組織からはMRSが検出され感染を契機に発症したグラフト縫合部仮性動脈瘤と考えられた。【まとめ】人工血管置換後の代表的な合併症の一つに縫合部離断に伴う仮性動脈瘤があり、感染兆候を伴う人工血管置換例では常にこの可能性を念頭におき検査を行う必要がある。
47.マカロニサインを呈した四肢静脈炎の一例
1健康保険南海病院 検査部、2健康保険南海病院 小児科
【症例】6歳男児 主訴:発熱、両側大腿部痛遷延する発熱、咳嗽あり。マイコプラズマ肺炎と診断され加療。一旦解熱したが、14病日に発熱、咳嗽の再燃あり外来受診。肺炎像は改善傾向であったが、17病日に両側大伏在静脈に沿うように、線状の発赤・疼痛あり。下腿伸側には、有痛性の紅斑あり。【超音波所見】両側大伏在静脈には、全周性のびまん性壁肥厚と内腔狭小化を認めた。両側大腿静脈にも同様の所見を認めた。上肢には把握痛あり、両側上腕静脈も同様の所見であった。高安動脈炎で見られる、マカロニサイン様であった。動脈に有意所見なく、静脈炎を疑うも血栓は指摘できなかった。【経過】入院後、咳嗽は聞かれず発熱と下腿の紅斑および四肢圧痛のみであった。安静にて入院4日目には解熱。7日目には紅斑、四肢圧痛も消退し退院。後の超音波検査にて壁肥厚像は消失していた。【結語】マイコプラズマ感染症後にマカロニサインを呈する静脈炎を経験した。
座長:重田 浩一朗(霧島市立医師会医療センター)
48.術前診断が困難であった肝原発腺扁平上皮癌
1公立八女総合病院 臨床検査科、2公立八女総合病院 消化器内科、3公立八女総合病院 肝臓内科、4久留米大学医学部 消化器内科、5公立八女総合病院 放射線科、6公立八女総合病院 病理検査科
症例は79歳女性。右側腹部痛を主訴に当院受診。腹部超音波検査(以下US)で、肝S4に50mmの辺縁部低エコーを伴う等エコー腫瘤を認めた。Dynamic CTでは早期相で腫瘤辺縁部から淡く造影され、後期相では腫瘤内部が遷延性に不均一に造影された。ソナゾイド造影USでは血管相早期に、腫瘤辺縁部から血管構造が不均一に造影され、早期に境界不明瞭となり、腫瘤内を貫通する血管像も認めた。クッパー相では境界明瞭なdefect像を認めた。遠隔転移はなく、CEA 146ng/mlと上昇しており、肝内胆管癌を疑い拡大肝左葉切除術を施行した。病理所見では異型に富む類円形〜多菱形腫瘍細胞が管状〜厚索状、充実性に増殖し、一部に豊富な線維性間質と角化傾向が認められた。免疫染色ではinvolucrin(+)で肝原発腺扁平上皮癌の診断であった。本例は肝内胆管癌の亞型で、まれな予後不良な癌である。CTやUSでの造影所見は肝内胆管癌に類維しており、術前診断は困難であった。
49.転移性肝腫瘍(上行結腸癌術後)の右房内へ進展の一例
1鹿児島市医師会病院 生理検査室、2鹿児島市医師会病院 循環器内科
症例は75歳女性。2年前に上行結腸癌の診断で当院にて右半結腸切除術を施行した。術後、経口抗癌剤にて治療を開始したが、退院後に自己判断により中断し、その後の定期検査も受診していなかった。今回、全身倦怠感のため紹介医受診し、CTにて多発性肝転移を指摘されたが、肝腫瘍は下大静脈から右房まで進展を認めていた。化学療法目的に、1ヶ月後当院紹介入院となる。経胸壁心エコーにて肝内S4〜S5区域に69×65×68mmのクラスターサインを呈する転移性腫瘍を認め、右房内に下大静脈から連続する可動性の腫瘍を認めた。文献では続発性心臓腫瘍の原発部位は肺や腎臓、乳癌などが高頻度にみられるが、消化管から心臓への進展は低いとされる。今回我々は経胸壁心エコーにて観察し得た、転移性肝腫瘍(上行結腸癌術後)の右房内進展の一例を経験したので報告する。
50.術前診断に苦慮した胃肝様腺癌肝転移の1例
1医療法人天神会古賀病院21 臨床検査部、2医療法人天神会新古賀病院 臨床検査部、3医療法人天神会古賀病院21 消化器外科、4医療法人天神会新古賀病院 循環器科
術前診断に苦慮した胃肝様腺癌肝転移の症例を経験し,興味深い造影エコー像を得たので報告する.【症例】48歳男性.【現病歴】主訴は胃もたれ,近医で胃前庭部腫瘍と肝腫瘍を指摘され当院に紹介となった.【超音波検査所見】肝S5に34×22mmの辺縁低エコー帯を有する低エコー腫瘤を認めた.3週間後にS5の腫瘍は50×38mmと増大した.【造影エコー所見】早期血管相では辺縁より染影し,次第に腫瘍全体に高染影となった.後血管相では腫瘍全体に染影欠損を認めた.幽門側胃切除及び肝前区域切除術を施行.【病理組織所見】血管性間質でthick trabecular構造で肝細胞癌に典型的であるが,転移性腫瘍の可能性も考えられた.臨床経過等も考え,胃肝様腺癌肝転移と診断された.【まとめ】胃肝様腺癌は転移巣でも肝細胞癌に類似した組織像を呈し肝細胞癌との鑑別が困難である.これらを考慮して超音波検査を行う必要がある.
51.EOB-MRIで描出されなかったHigh-Grade Dysplastic Nodule(HGDN)が高分化肝癌に脱分化した1例
1久留米大学 消化器内科、2公立八女総合病院 内科、3公立八女総合病院 臨床検査科病理部
症例は75歳の男性。HCV陽性肝癌のラジオ波焼灼術後の経過観察中、腹部超音波検査(以下US)でS7に11.6mmの高エコー結節を指摘。sonazoid造影US、EOB-MRIではS7の結節は検出されず、肝腫瘍生検施行したが、HGDNであり経過観察をした。1年後には13.5mmに増大し、EOB-MRI 肝細胞相で淡く低信号化してきたが、sonazoid造影USでは検出されなかった。1年6カ月後には15.3mmに増大し、sonazoid造影USの血管相早期に一部defect様となり、kupffer相では一部淡くdefectを呈していた。再度施行した肝腫瘍生検では高分化肝癌であった。考察 EOB-MRIは小肝癌やDNの検出に優れているが、肝細胞相でEOBを取り込み、等信号となる結節もあり、USで指摘した結節がEOB-MRIでは検出されないこともある。本例はHGDNが、1年6カ月後に3.7mm増大し、EOB-MRI肝細胞相、sonazoid造影USの順に造影所見が変化し、高分化肝癌に脱分化する経過を観察できたので報告する。
52.ソナゾイド造影エコーが有用であった肝内仮性動脈瘤の一例
1天陽会中央病院 内科、2天陽会中央病院 放射線科、3天陽会中央病院 検査部、4天陽会中央病院 外科
症例は92歳の男性. 肝門部胆管癌にて放射線療法を受けていた.下血を主訴に昨年7月入院. 十二指腸乳頭部からの出血認め胆道出血と診断したが造影CT上胆管の拡張認めるが明確な出血源不明であった. その後も下血を繰り返した. 12月腫瘍性の出血か動脈瘤か鑑別する目的でソナゾイド造影エコー(phase inversion MI 0.3)行った. P5,P8の分岐部に動脈早期にて濃染する結節を認め 数分後通常観察するモード(THI)にて観察すると瘤内にソナゾイドの濁流が描出され肝仮性動脈瘤と診断した. 同部位は 血管造影にてコイルおよび ジェルパーツによる塞栓にて加療した. その後 下血も認めなくなった。 ソナゾイド造影エコーで発見した肝内仮性動脈瘤を経験したので報告する
座長:亀渕 克彦(大分中村病院)
53.高周波プローブによる超音波検査にて異物の検出が有用であった症例
1医療社団法人恵愛会 大分中村病院 超音波検査室、2医療社団法人恵愛会 大分中村病院 形成外科
【はじめに】今までの高周波(7〜14MHz)プローブによる表在疾患のオーダーのうち超音波検査にて異物が確認され摘出に至った、興味深い超音波画像10件と手術記録の対比を行い有用性を検討したので若干の知見を加え報告する。【結語】異物の輪郭を検査者が的確に捉え臨床側にどう報告するかであるが、特に後方エコーレベルが減弱しているものや異物の入射角度により異物のサイズが正確に捉えられないので注意が必要である。また、静止画による報告なので 最低でも異物の長軸方向の写真と短軸方向の写真は記載すべきであろう。また、大事なのは後方エコーをどう読むかで 異物がどういう成分の物であるかが見当がつくと考える。医師の診断の補助となりえる写真やレポートが書けるように 今後も超音波症例と手術の対比を重ねながら 質的診断に心掛けてゆきたいと思う。
54.爪下グロムス腫瘍において超音波検査が有用であった2症例
1医療社団法人恵愛会 大分中村病院 超音波検査室、2医療社団法人恵愛会 大分中村病院 形成外科
(はじめに)近年、超音波検査装置において高周波プローブの画像の向上は目覚しく、当院形成外科では表在の病変部の小さな良性腫瘍に対する画像診断の一角を担うように成ってきている。今回我々は、爪下の5mm以下の病変を発見し、手術に至った爪下グロムス腫瘍の2症例を経験したので報告する。(エコー所見)(1横断像とCTとの対比、2縦断像での健側との対比画像、3カラードップラーによる血流の状態観察)爪の下に境界明瞭、内部エコー均一な低エコー腫瘍として描出された。また、腫瘍に接した骨の窪みも確認できた。症例1は5.06×3.16×2.65。症例2が5.22☓2.51☓4.29mmであった。血流評価においては、腫瘍周辺に拍動流を認めた。
55.Lipofibromatous hamartoma of the median nerveの1例
1大分県厚生連鶴見病院 中央検査部臨床検査科、2大分県厚生連鶴見病院 形成外科、3大分県厚生連鶴見病院 放射線科
《症例》33歳、女性 《主訴》皮下腫瘤(前腕掌側〜手掌)の精査《現病歴》10数年前より、右手掌〜前腕掌側に皮下腫瘤が認められていたが、最近正中神経領域の痺れが増強してきたため、摘出術目的にて、当院形成外科に入院となる。《画像》USでは右前腕掌側皮下に正中神経と思われるhypoechoic lesionを認め、それと連続するように腫大したechogenic massを認めた。同massは右手掌まで進展しており、内部には大小のhypoechoic lesionをmu-ltipleに認めた。今回、比較的稀と思われ、興味深い症例と思われたので画像を含め、若干の文献的考察を加え報告する。
56.当科における皮下異物の診断と治療
1大分中村病院 形成外科、2大分中村病院 臨床検査部
2010年1月から12月までの1年間に異物迷入疑いにて当科を受診した患者は109名、そのうち実際に異物を認め治療を行った患者は51名であった。異物の内訳は金属15名、木片14名、石・砂6名、ガラス5名、その他10名、不明1名であった。代表症例を供覧し、診断法、治療法に関し考察を交え述べる。
57.形成外科領域でのエコーの応用 四肢穿通枝皮弁におけるカラードプラーエコーの有用性
1沖縄県立中部病院 形成外科、2沖縄県立中部病院 外科
【背景】形成外科手術の血管の評価としてカラードプラーエコーは有用である。今後穿通枝皮弁など形成外科領域検査は増加すると思われる。【対象と方法】症例は2004年8月より2011年6月までの 四肢穿通枝皮弁7例、四肢での穿通枝をpivot pointとする穿通枝皮弁を対象とした 。術前に穿通枝をエコーで精査、筋膜穿通部の同定、流速、主方向をしらべた。過去の瘢痕、穿通枝の流速、方向、ならびに組織の可動性を考慮して組織移動の際の皮弁デザインを決定した。【結 果】7例全例でカラードプラーエコーにより精査した穿通枝の同定部位は手術所見 と一致した。皮弁は1x3cmから8x23cm大で、穿通枝を1から3本含めた。 全例で完全生着した。【考察】カラードプラーエコーによる穿通枝の検索は、穿通枝の筋膜穿通点が同定でき、皮膚へ向かう方向が同定でき、血流の流速が計測できる。現在汎用されるacoutic Doppler 血流計よりすぐれている。
58.後方エコー増強の基礎的検証
1霧島市立医師会医療センター 放射線室、2霧島市立医師会医療センター 生理検査室、3霧島市立医師会医療センター 消化器科
超音波診断においてアーチファクトは誤診・所見の見落としにつながる事がある。その反面特徴的な像を呈するケースにおいては、診断にあたって有用な情報源として活用できるものもある。嚢胞性病変に見られる後方エコー増強(posterior echo enhancement:以下PEE)もその一つと考えられる。PEEの原因としては、より多くの反射波が発生する場合で@減衰の少ない組織を通過するときA音響レンズ効果を生じる構造物の後方(超音波ビームが集束する)考えられ、STCによって深さによるエコーレベルが調整された画面では、この反射波は他の部分より強く増幅され、エコーレベルの上昇として表示される。一般的には@がより強く関連していると思われるが、Aの効果について理解し検査をしているものは少ない。今回、形態の異なる嚢胞性病変を模試したファントムを作成し、それぞれの効果について検討したので報告する。
座長:酒井 輝文(聖マリア病院)
59.超音波断層法により術前診断された癒着性索状物による腸閉塞の1例
1沖縄県立中部病院 外科、2沖縄県立中部病院 形成外科、3沖縄県立中部病院 放射線科、4沖縄県立八重山病院 外科
【はじめに】超音波断層法は腸閉塞の診断,単純性か絞扼性かの鑑別に有用である.腸閉塞の直接の原因が判明することは少ない【症例】66才女性,既往歴:50才冠動脈バイパス術,縦隔への大網充填.腹痛,嘔吐にて当院受診した.臍の右方に圧痛はあるが腹膜刺激症状なし.初療医による腹部超音波断層法にて小腸の拡張像と壁肥厚,少量の腹水あり.CTにて小腸の拡張,壁肥厚,腹水あり.回腸の2ヵ所に狭窄部認めるが原因については不明であった.再度上級医により超音波断層法を行ったところ,小腸の狭窄部と同部を圧迫する索状物が発見され,癒着製索状物による腸閉塞と診断した.腹腔鏡手術を行い,回腸を圧迫する癒着性索状物を認め,切断して腸閉塞を解除した.回腸の鬱血はあったが壊死はなく改善した.術後5日めに退院した.【考察】超音波断層法による腸閉塞の原因診断について文献的考察を行う.
60.造影超音波検査を用いた微小膵癌の一例
小林市立病院 腫瘍外科
膵局所進展度診断に超音波検査(US)が有用であった1症例を経験したので報告する。70才代男性。CA-19-9の上昇を認めた。USにて膵体部より尾側膵管の拡張を認めた。腫瘍は描出できず。CT、MRCPでも膵管拡張を認めるのみであった。US:膵管レベルのやや足側に6.6x5.5mmの造影欠損を認めた。術中US:単純USでは膵管拡張を認めたが、閉塞起点は描出できず。造影検査にて血管早期相、血管後期相にて6.4x3.1mmの造影剤欠損部が確認され膵体尾部切除を施行した。病理結果はmoderately differentiated adenocarcinomaであった。造影USは微小膵癌の診断に有用であると考えられた。
61.当センターで経験した膵体尾部動静脈奇形の1例
1霧島市立医師会医療センター 臨床検査室、2霧島市立医師会医療センター 放射線科、3霧島市立医師会医療センター 消化器内科
【はじめに】膵動静脈奇形(以下,膵AVM)はまれな疾患であり,診断や治療方針に苦慮する症例もある.【症例】50代男性.高血圧症の既往あり.半年前から起床時に右側腹〜心窩部痛軽度あり.近医を受診し胆石症を指摘され当センター紹介受診.【画像診断】腹部超音波検査にて胆嚢内に胆石と胆泥を認めるが,腫大と壁肥厚は認めず.膵体尾部移行部に隔壁様エコー像を伴った27×23mmのcystic echo像を認め,カラードプラにて内部にモザイク状で拍動性の血流シグナルを認めた.FFTでは両方向性の拍動性の血流波形が得られた.これらにより膵AVMが鑑別のひとつにあげられた. 造影CTでこの腫瘤は多結節状に濃染され,脾静脈へ流出しているのが確認でき,膵AVMと診断された.その後,症状,サイズや形態に変化なく経過観察中である.【まとめ】膵AVMを経験したので,文献的考察を加え報告する.
62.虫垂胚細胞カルチノイドの一例
1霧島市立医師会医療センター 超音波検査室、2霧島市立医師会医療センター 消化器内科
【症例】69才男性【現病歴】右下腹部痛にて近医受診,急性虫垂炎疑いで当院紹介.【超音波検査所見】虫垂根部は8mmで層構造明瞭,中部から末端にかけて不整肥厚を認め一部層構造不明瞭また内腔は著明に拡張し粘液を疑う点状エコーを認めた.壁在石灰化は認めず回盲部に肥厚認めなかった.【CT所見】虫垂は著明に腫大,内腔拡張し不整な壁肥厚を認めた.周囲の炎症所見乏しく回盲部に肥厚認めなかった.【切除標本】著明な壁肥厚と虫垂根部の狭窄を認めた.【病理所見】胚細胞に類似した腫瘍細胞が虫垂壁全層に見られ固有筋層から漿膜下層に細胞外粘液貯留,腫瘍細胞は漿膜面に露出しており,虫垂胚細胞カルチノイドと診断された.【考察】虫垂胚細胞カルチノイドは比較的稀な疾患で本邦では2009年時点で約90例が報告されているが,超音波画像に関する報告は少ないので,文献的考察を含めて発表する.
63.上部小腸間膜への魚骨穿孔の1例
1天陽会中央病院 検査、2天陽会中央病院 内科、3天陽会中央病院 放射線科、4天陽会中央病院 外科
症例は67歳男性. 糖尿病及び腎癌術後にて外来通院中. 歩行にて突っ張るような様な痛みが突然出現し治らないため発症後3日目にて来院した. 来院時 左上腹部の圧痛および軽度のBlumberg’s sign認めた. 採血にてCRP 6.3mg/dl WBC 10200/μlと炎症反応を認めた. 腹部エコーにて疼痛部を観察すると限局性の少量腹水および腸間膜の高輝度で内部エコー異常その中に小腸壁を貫く二重線の高輝度エコーを認めた. 腹部MDCTにて左側腹部の脂肪織炎およびその中に小腸壁を貫く線状のhigh density areaを認め上部小腸間膜への魚骨穿孔と診断した. 絶食抗生剤にて保存的に経過を診たが改善せず発症一週間目で手術した. 従来の報告の多くは高輝度な線状エコーの報告が多いが等症例は2重線に描出された. 魚骨の消化管穿通は近年 MDCT検査が有用と報告されているが非侵襲的 簡便で安価な体外式超音波検査は、本疾患の診断において非常に有用であり報告する.
座長:丹羽 裕子(大分循環器病院)
64.三尖弁置換術により心不全が改善した修正大血管転位の一成人例
1長崎大学病院 循環器内科、2長崎大学病院 心臓血管外科、3長崎大学病院 超音波センター、4社会医療法人春回会 井上病院 循環器科
症例:59歳男性 主訴:呼吸困難 現病歴:12歳で修正大血管転位の診断。自覚症状なく大学卒業後、営業職に従事。 56歳より労作時息切れが出現、呼吸困難にて入退院を繰り返していた。 心エコー検査にて体心室(解剖学的右室)の著明な拡大(拡張終期径82mm)と駆出率の低下(EF29%)および体心室房室弁(解剖学的三尖弁)閉鎖不全(重症)を認めた。 難治性再発性心不全に対して三尖弁置換術(機械弁)が実施された。 手術中の経食道心エコー検査とその3D画像にて、体心室房室弁の三尖構造が明瞭に描出され、手術にて三尖構造が確認された。 術後は心不全が改善し退院、現在独歩で外来へ通院中。 考察:修正大血管転位は若年期に無症状で壮年期に心不全が顕著化する症例もまれではないが、三尖弁形成術や置換術など治療方針には議論がある。 経胸壁・経食道心エコー図と3D画像を供覧し、文献的考察を加えて報告する。
65.超高齢者でも大動脈弁狭窄は進行するか
1済生会みすみ病院 循環器内科、2済生会みすみ病院 検査室
背景:大動脈弁狭窄症(以下AS)の進行は大動脈弁弁口面積(以下AVA)で0.1〜0.3cm2/年と報告されている。しかし年代別の進行度の報告は少ない。今回、我々は超高齢者においてもASは進行するのか検討した。方法:peak velocityが2m/sec以上認められ、かつ2回以上心エコー検査を行っている182例(男性58例、女性124例)に対し、年間のAS進行度(ΔAVA)を「(初回のAVA−最終回のAVA)/フォローアップ期間」で算出し年代別に比較した(69歳以下18例、70歳代58例、80歳代85例、90歳以上21例)。結果:ASの進行が0.05cm2/年以下とほとんど進行しなかった例は全体で27%、69歳以下で45%、70歳代で16%、80歳代で31%、90歳以上で24%であり、平均ΔAVA/年は69歳以下で0.09±0.1cm2、70歳代で0.15±0.19cm2、80歳代で0.15±0.22cm2、90歳以上で0.22±0.21cm2であった。結語:超高齢者においてもASは進行する。
66.大動脈弁置換術直後に出現した左室流出路狭窄に対してシベンゾリン投与が有効であった大動脈弁狭窄症の一例
1産業医科大学 第2内科、2産業医科大学 心臓血管外科
症例は72歳女性。数年前より労作時の息切れがあり、心エコー検査にて重症大動脈弁狭窄症(弁口面積0.9cm2)、僧帽弁輪石灰化、求心性左室肥大、左室流出路に2.2m/s程度の加速血流波形を認めた。低容量ドブタミン負荷心エコー図検査をおこなったところ左室流出路の加速血流は6.0m/sまで上昇し、血行動態の変化で容易に左室流出路狭窄の悪化を来すことが予想された。大動脈弁置換術と左室中隔基部の心筋切除を施行した。しかし心肺離脱時にSAMの出現と僧帽弁閉鎖不全症(MR)の悪化を認めた。カテコラミン中止、短時間作用型ベータ遮断剤投与、輸液負荷にても改善は認められず、シベンゾリン静注を行ったところ、SAMおよびMRの軽減が認められた。後日施行した経食道心エコーではSAMは消失していた。本症例では、術中三次元経食道心エコー図検査にて薬物投与前後の流出路狭窄の経緯を観察し得たため報告する。
67.短期間に再発を繰り返した心臓腫瘍の一例
1鹿児島医療センター 臨床検査科、2鹿児島医療センター 臨床病理科、3鹿児島医療センター 心臓血管外科、4鹿児島医療センター 循環器内科、5九州医療センター 臨床検査科
患者は48歳女性.労作時動悸,息切れにて,平成22年1月当院受診.心エコーにて左房内を占拠する腫瘍を認め,僧帽弁流入障害及び高度の肺高血圧を認めた.同年3 月に腫瘍摘出術施行.病理診断で炎症性筋繊維細胞腫瘍(IMT) と診断.術後4 ヶ月後に腫瘍の再発を認め,同時に腫瘍が塞栓源と思われる脳梗塞も発症.2 回目の腫瘍摘出術を施行した.しかし,同年12月に左房内に三度再発.腫瘍摘出術を施行したものの,約1 ヶ月後に左室の自由壁に腫瘍を認めた.同時期には脳と左腎にも転移を認め,最終的には脳出血により永眠された.剖検では,初期左房内腫瘍と左室自由壁の腫瘍の性状が異なっていた.今回,心臓腫瘍の再発の発見に心エコーが有用であった.
68.右房内腫瘍との鑑別を要した冠動脈右房瘻の一例
1産業医科大学病院 臨床検査・輸血部、2産業医科大学病院 循環器・腎臓内科
症例は82歳女性。平成23年4月に動悸を自覚し他院救急外来を受診したところ、発作性心房細動と診断された。同日心機能評価のため経胸壁心エコー図検査を施行したところ、右房天井に付着する内部に一部free echo spaceを有する23×15oの可動性腫瘤を認めたため当科入院となった。経食道心エコー図検査では、右房内の上大静脈開口部側壁に付着する腫瘤を確認し、この腫瘤の表面から2ヵ所右房内と交通するシャント血流を認めた。さらに腫瘤内に流入する血管も確認できたことから右房内腫瘍を疑い、冠動脈CTおよび冠動脈造影検査を施行したところ、両側冠動脈から分岐する冠動脈の枝が右房内で瘤状になり、最終的に右房へ開口する冠動脈右房瘻であることが確認された。冠動脈瘤を伴う冠動脈瘻は非常に稀な心奇形であり、今回我々は、右房内腫瘤との鑑別を要した冠動脈右房瘻の一例を経験したので報告する。
69.脂肪肉腫が右室自由壁に転移し外科的に切除できた一例
1九州厚生年金病院 内科、2九州厚生年金病院 心臓血管外科、3九州厚生年金病院 病理検査科
症例は62歳女性.当院受診の約2ヶ月前から労作時呼吸困難,下腿浮腫を自覚.経胸壁心エコーで約15x12cmの球状の腫瘤が右室自由壁に付着し心のう液貯留も認めた.腫瘤表面は平滑で内部エコーは不均一でやや低エコーであった.また,隔壁構造とともに右室付着部に血管構造を認めた.右室は腫瘤にて圧排されるとともに右室内にも腫瘤の浸潤を認めた.左下肢の脂肪肉腫に対し手術歴があり,再発・再手術歴もあることから心臓への転移が最も疑われた.CTやMRIなどで心臓以外に病変は認めなかった.外科的に腫瘍摘出術を施行した。重量は1250gで13×13×8cmであった.病理所見でMyxoid Liposarcomaと診断された.術後4ヶ月後のフォローアップの時点でも再発を疑う所見を認めていない.脂肪肉腫の心臓転移症例は極めて稀であるので報告する.